節税目的で航空機のリース取引が活発になっているという記事。
「この取引では、航空機の価値が減る分を損失とみなす「減価償却費」が大きく生じる。これは現金の支出が実際はない、「仮想」の損失だ。会長はこの損失と本業の利益とを相殺し、法人税額を減らした。」
どのようなスキームなのか詳しくはわかりませんが、オペレーティング・リースを前提にすると、リース料収入は各期均等に計上されるのに対し、償却費は定率法であれば、前倒し計上され、また、借入により資金を調達する場合には、支払利息も逓減的に計上されるということを利用しているのでしょうか。
「リース会社の40代社員は「安倍政権が法人減税の方針を固めたので今年も節税リースの需要は旺盛だ」。節税取引によって利益を翌期以降に繰り延べることができる。法人税率が高い間は赤字にして納税せず、減税されてから利益を出す操作が可能だ。」
減価償却費を前倒ししても、時期のずれだけであれば、全期間を通じれば、さほどのメリットはないのでしょうが(納税を先送りできるメリットのみ)、今後数年間で税率が大幅に下がるという場合には、期間を通じて納める税金自体が変わってくるので、大きなメリットかもしれません。
「米ボーイングなどの推計では、「日本マネー」による航空機の調達額は昨年、1兆円に達した。あるリース業界の関係者は「試算では、この8割近くの約7880億円が節税リースで調達された。前年の約4300億円から急増し、過去最大だった」と話す。」
結構盛んに行われているようです。
記事によれば、企業オーナーが、自分の会社の株価を下げるために節税リースを使うこともあるようです。「見掛け上利益が減る→株式の評価が下がる→相続税・贈与税の節税」という仕組みのようです(相続の時期は予測できないので節税効果があるかどうかはわからないはずですが、贈与であれば大丈夫ということでしょうか)。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事