東芝がメモリー事業分社化などを公表したという記事。
「東芝(6502.T)が主力のメモリー事業の分社化と、外部資本の導入方針を正式発表たことで、3月末の債務超過回避が視野に入ってきた。ただ、メモリー会社の一部株式の売却手続きが年度内に決着するかどうかは綱渡りの状況だ。」
「東芝は現在、米原子力事業に伴う減損損失額について、監査法人との協議を続けており、5000億円を超える可能性が出ている。最終的には2月14日の第3四半期決算発表時に公表する予定だが、3月末に債務超過に陥るリスクが現実化していた。
関係者によると、東芝は来月初旬にも、メモリー会社の株式20%未満の売却手続きに入る。東芝は、メモリー会社の企業価値を1―1.5兆円と試算しており、2000億円の株式売却益を想定。減損額が5000億円を超えたとしても、資産超過を確保できる見通しだ。
買い手候補には、提携相手の米ウエスタンデジタルや、米シルバーレイクなど複数の投資ファンド、キヤノン(7751.T)など取引先のほか、日本政策投資銀行も視野に入れている。
ただ、通常の事業売却プロセスでは、買い手候補に資産査定の時間を与え、そのうえで数回の入札を経て、相手を絞り込む。この間、早くても2―3か月はかかるのが一般的だ。売却決定が4月を超えても、決算発表までの間であれば「後発事象」として処理できるが、「決して時間的な猶予があるわけではない」(取引銀行幹部)との懸念も出ており、薄氷のスケジュールとなりそうだ。」
まず、来月公表される第3四半期決算では、決算日が過ぎているので、こうした資本増強策は関係ありません。4~12月の通常の損益と、米国原子力事業の損失がそのまま自己資本に加減されるだけです(そのほか為替換算調整勘定などその他包括利益項目が加減される)。
3月末の本決算も、記事によると、かなり無理なスケジュールのようです。「決算発表までの間であれば「後発事象」として処理できる」ということもありません。3月末までに、子会社株式の売却が完了していなければ、3月末時点の自己資本増にはなりません(完了できても、連結「損益」上は、売却後も子会社のままであるため、利益は計上できません)。後発事象として注記することはあるのでしょう。
昨年の東芝メディカル売却と同じような秘策があるのかもしれませんが。
東芝、半導体事業の3月末分社化で「債務超過」回避へ 巨額損失生んだ原発事業は縮小(産経)
「米原子力発電事業で最大7千億円規模の巨額損失が見込まれる東芝は27日、半導体事業を3月末をめどに分社化すると発表した。外部から資金を募る入札を2月上旬に実施。3月下旬に開く臨時株主総会で正式決定し、決算期末に当たる3月末に負債が資産を上回る「債務超過」を回避したい考えだ。」
東芝、3月末に債務超過なら東証2部降格 内部管理体制に問題あれば「上場廃止」も(SankeiBiz)
「東芝は現在、株主数や流通株式数、時価総額などが相対的に大きい東京証券取引所第1部(東証1部)に株式を上場しているが、債務超過の場合は東証2部に降格となる。また、債務超過懸念とは別に、一連の不正会計問題を受けて東証による「特設注意市場銘柄」の指定が続いており、内部管理体制の改善が進んでいないとみなされれば上場廃止になりかねない。」
当社メモリ事業の会社分割による分社化の方針の決定について(東芝)(PDFファイル)
説明会(東芝)
東芝会長が退任へ 原子力事業を統括、責任明確化(朝日)
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