川北英隆 京都大学大学院経営管理研究部特任教授(記事冒頭のみ)
適切なガバナンス体制が必要だというコラム記事。
冒頭のまとめの部分。
「・日本企業において経営者の暴走や経営権を巡る紛争が増えている。
・経営者がエンジンなら、ガバナンスはブレーキでありナビゲーションである。
・経営力強化と同時にガバナンス体制の整備がなければ、経営が揺るぎかねない。
・ただ、経営者の暴走と同様、支配株主の暴走の可能性にも留意が必要だ。」
コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)やスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)への対応にはいくつかのパターンがあるそうです。
「主なものをあげれば、第1に、コードの形式主義的な側面を批判するもの。第2に、コードの多くの原則を表面的に順守するか、順守したふりをするもの。第3に、経済団体に代表されるように、一部のコードの強化に反対姿勢を示すものである。
第1のパターンはともかくも、第2、第3のパターンは、コードが法令と異なることを認識していないか、軽視もしくは忘却している。さらにいえば、表面だけ順守することが、かえって経営力を阻害する可能性を理解していない。コードを単純にすべて順守する企業は、少なくとも独自性が消滅している可能性すらある。」
日本企業のガバナンスは以前から弱体でしたが...
「日本では、バブル期(1980年代後半)以前、コーポレートガバナンスが弱かった。それにもかかわらず、日本企業が成長し、魅力的だった理由は何か。欧米という手本があり、その手本を政府が読み解き、ナビしてくれたからにすぎない。」
「バブル崩壊後、企業経営の環境が激変し、政府のナビも確度を低めた。経営力が問われ、企業間格差が拡大した。同時に、ガバナンス体制が問われ始めた。かつての良き企業環境の中で育った経営者と、新しい企業環境との間には、多くの摩擦が生じうる。ガバナンスが不全であれば、摩擦は企業経営を暴走させるか、予期せぬ座礁に発展し、経営の根幹さえ揺るがしかねない。」
そのような例として、日産自動車、東芝、アスクルを挙げています。
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