会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ファーストリテ、当期益を下方修正 国内ユニクロの利益率は改善(ロイターより)

ファーストリテ、当期益を下方修正 国内ユニクロの利益率は改善

ファーストリテイリングが、2014年8月期第3四半期の決算発表を行ったという記事。

国内は好調だったようですが、通期見込みでは、米国事業で減損損失を見込んでいます。

「14年8月期については、連結当期利益予想を880億円から前年比13.7%減の780億円に引き下げた。米国のプレミアムデニムJブランド事業で赤字が続いており「減損損失の兆候があるかも含め、検討している。減損損失の可能性について否定することは難しい」(岡崎CFO)として、100億円の特別損失を計上したため。Jブランドは2005年に米ロサンゼルスで設立されたブランドで、2012年12月にファーストリテイリングが子会社化した。業績不振も、主に米国での事業だという。」

第3四半期で減損の兆候があるのかないのか、はっきりしないいいかたです(記事では「計上した」と書いていますが、第3四半期の特別損失には計上されていません)。「減損損失の可能性について否定することは難しい」ということは、いいかえると「減損損失の可能性がありそうだ」ということですから、第3四半期でいわゆる減損テストを行ってもよさそうなものですが、四半期の適用指針などでは、微妙な書き方をしているので、やらなくてもいいのかもしれません。

同社は、決算発表とあわせて、今期の通期決算からのIFRS任意適用を公表しています。

「同社は2014年8月期の通期決算発表から国際会計基準(IFRS)を適用すると発表した。IFRS導入により、のれんの償却がなくなることや為替要因で、14年8月期の当期利益で約40億円の押し上げ要因になるという。ただ、Jブランドの減損損失が発生した場合、日本基準で計画として発表している780億円とほぼ同水準になる見通し。」

減損処理してしまえば、のれん償却の有無はあまり関係なくなるようです。(ただし、同社ののれんは280億円程度ですから、会社の規模からするとそれほど大きな金額ではありません。)

平成26年8月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(PDFファイル)

国際会計基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ

「財務情報の国際的な比較可能性の向上を図る」というのが理由になっています。

ユニクロ、今期2度目の下方修正が映すもの
減損損失計上で純利益予想を100億円引き下げ
(東洋経済)

「Jブランドの買収金額は、アドバイザリー費用なども含めると、3億ドル(当時の為替レートで約250億円)。営業利益率25%(2011年12月期)の高収益企業という触れ込みで買収したJブランドだったが、買収からわずか2年で赤字に転落した。

国内での成長余地が狭まる中、ファーストリテイリングにとって海外ブランドの買収と早期育成は最重要課題だった。だが、重点分野で100億円の減損が発生したことは、同社の先行きに一抹の不安を残すことになりそうだ。」
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