日本郵政が「かんぽの宿」などを一括譲渡しようとした際の不動産鑑定評価額が、1週間で当初の約221億円から約97億円に減っていたという記事。
「関係者によると、総務省の聞き取り調査の内容では、日本郵政公社が、07年10月1日に民営化のため公社を解散する際の決算に備えて、かんぽの宿など70施設の不動産鑑定を3社に依頼。70施設を分担して鑑定した3社は8月24日に評価額を計約221億円と内示した。
これに対し、郵政公社や民営化準備企画会社の関係者らは「実際に売れる額なのか再検討してほしい」などと要請。3社は4~6日後に2回目の評価額として計約125億円を内示した。だが、郵政公社側はこの金額にも納得せず、「本当にこの値段で買い手がつくのか」「1億円を超える施設は売れない」などと発言したという。このため、3社のうち、69施設を鑑定した2社がさらに価格を下げて8月31日までに提出し、計約97億円を示した。」
「公社の資産を承継した日本郵政が08年12月、この鑑定評価などをもとに70施設に社宅9施設を加えてオリックス不動産に計約109億円で一括譲渡する契約を締結。だが、鳩山邦夫総務相(当時)の異議表明をきっかけに翌年2月に契約は白紙撤回となった。」
記事を読む限りでは、決算で予定していた数値が先にあって、それに合うように鑑定評価額を誘導したかのようです。もちろん、最初の鑑定額が絶対的に正しいわけではないとは思いますが・・・。
ちなみに、「専門家の業務の利用」という監査基準委員会報告書では、「監査人は、・・・専門家の業務の客観性を損なうような状況の有無を検討しなければならない」とされています。このケースではどうだったのでしょうか。
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