米EYがメディアで中傷、セクハラ被害告発の元パートナーが主張（economiaより）

Ex partner accuses EY of “trashing” her in the media

米EYからセクハラと差別を受けたと米国雇用機会均等委員会に告発したEY元パートナーが、EYグローバルの会長兼CEO、Mark Weinbergerに、EYが彼女をメディアで中傷したと批判する書簡を送ったという記事。

Ex EY US partner Karen Ward has accused the Big Four firm of being “out of touch” with society’s increased support for women who are subjected to sexual harassment

In a strongly-worded letter to EY Global chairman and chief executive Mark Weinberger, she accused the firm of “trashing” her in the media after she lodged a sexual harassment and discrimination complaint against the firm in the US Equal Employment Opportunity Commission (EEOC) on Monday.

EYは世界で3番目に大きな会計事務所であり、25万人以上の従業員がいる、それほどの規模と広範さを持つ雇用者は、他の手本となり、社会正義の先頭に立つべき道徳的義務を負っている、差別とハラスメントの被害者に対して、ひきょうな攻撃を行うようでは、女性はこうした行為を報告しなくなってしまうと、この元パートナーは書簡の中で述べているそうです。

“While one might expect to be bullied by political or Hollywood elites, EY is the third largest accounting firm in the world and employs more than 250,000 people,” she wrote.

“Being an employer of that magnitude and scope carries with it a moral obligation to lead by example and be at the forefront of social justice movements. Taking cheap shots at victims of discrimination and harassment only serves to make it less likely that women will come forward and report this kind of conduct in the future.”

彼女はまた、ＥＹの行為は、差別とハラスメントの加害者や、傍観してそれを止めようとしないＥＹの多くの男性たちを擁護するものだといっています。

She added that the firm’s conduct was protecting the perpetrators of discrimination and harassment, “as well as the many men at EY who stood by and did nothing to stop it”. “Is that the moral ground upon which EY wants to stand?”

書簡の中で彼女は、非公開の仲裁ではなく、公開の法廷において自分の主張を追求できるよう、パートナー契約の中にある仲裁条項から彼女を自発的に免除するよう求めています。

In the letter, Ward also asked Weinberger to voluntarily release her from the arbitration clause in her partnership agreement, so that she can pursue her claims in open court, rather than via secret arbitration.

陪審員の前ではなく、閉ざされたドアの奥で仲裁手続を行うことにより、ＥＹは、女性に対してハラスメントと差別を行った者に対して、秘密という安楽さを与えることになると主張しています。

She argued that by holding the arbitration behind closed doors rather than in front of a jury of her peers, the firm was giving those who harass and discriminate against women the comfort of secrecy.

EYの反論と、告発の内容についてはこちら。どちらの言い分が正しいかはわかりませんが、たしかに、メディアに対して、告発者について、そこまで厳しいことをいうのかという感じはします。
↓
EY US faces second sexual harassment case（economia）

EYは、彼女の主張は根拠がないと、強い言葉で反論しています。

The Big Four firm has responded with a strongly worded rebuttal, describing her complaint as “unfounded and baseless”.

彼女の退職は、彼女が3年間率いてきた不動産投資銀行アドバイザリー部門の閉鎖に伴うものである、EYがフルサポートしたにもかかわらず、彼女は1件のトランザクションもまとめることができず、EYは複数年の残念な財務成績を被った、赤字部門を閉鎖し、Ward氏（告発者）を解雇したのは、彼女の性別とはまったく関係がない、彼女がハラスメント的報復や不公平な報酬があると主張したのは、彼女が解雇を通告された後である、とEYは述べています。

“She was separated from EY following the firm’s decision to shut down the small real estate investment banking advisory practice that she led for three years,” it said in a statement.

“Despite the firm’s full support, Ward failed to close a single transaction in the period she led the group, and it suffered multiple years of disappointing financial results.

“The decision to close this money-losing operation and separate Ward was wholly unrelated to her gender. Her allegations of harassment retaliation and unfair pay were raised after she was informed of her separation.”

要するに、彼女は無能だからクビになっただけだと主張しているようです。

告発者側の主張についても、詳しく書かれていますが、長くなるので省略します。

いずれにしても、きれいごとばかりの宣伝パンフレットとは裏腹に、ビッグ4事務所の中は、厳しい競争社会のようです。日本のビッグ4事務所はどうなのでしょう。

セクハラ疑惑一色に染まった米最高裁判事の人事（日経ビジネス）

「米国ではいったい何が転機になってこれほどセクハラ追及が激しくなったのでしょう。

高濱：米主要紙の教育問題担当記者の一人は筆者にこう説明しています。「オバマ政権に教育省で公民を担当したロズリン・アリ副長官が11年4月に通達を出し、小中高校および大学でのセクハラや性的暴力に対する措置（学校当局は①被害を受けた生徒学生からの訴えを誠実に聞く、②学校内で事実関係を調査する、③その事案について公民権をつかさどる機関に即刻報告する、などを義務付けた）を徹底するよう指示したからではないか」

「これにより、それまで泣き寝入りしてきた学生や、大学に勤務する女性たちが当局に被害を届け始めた。関係当局も動かざるを得なくなった。告発の動きはキャンパスから外の社会へと広がった。そして社会現象となっていった」（"Archived Information: United States Department of Education," Office for Civil Rights, 4/4/2011）

セクハラの告発は、それまで地位と権力をほしいままにしてきた社会の「大物」に向かったのです。ハリウッドの超大物プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン 氏や黒人俳優のビル・コスビー 氏らが告発されています。コスビー氏は9月、禁固3年から10年の量刑判決を受けました。

「今まで怖くて告発できなかったけど、みんなで一致団結すれば声を上げられる」として、被害を受けた女性たちが立ち上がっているのです。いわゆる「#MeToo」運動です。」

最高裁判事候補にセクハラ疑惑が持ち上がるぐらいですから、ビッグ4事務所内でセクハラがあっても、不思議ではないでしょう。