「底なしに悪い会社」東芝の一連の不祥事を振り返り、そこから得られる教訓を述べたコラム記事。
だいたい当たっているような気がします。
教訓のうちのいくつか。
「一般論として投資家は、外形的に優れたガバナンス体制を整えている企業に対して、「感心する」よりは、むしろ「疑わしい」と思うくらいでちょうどいい。
委員会等設置会社も社外取締役も取締役会の「多様性」も、それぞれに結構な側面があるが、格好だけに騙されてはいけない。
年金基金などの機関投資家は昨今、議決権行使の助言会社(妙な商売があるものだ)のアドバイスに従って議決権を行使することが多い。ところが、その助言会社も企業の「外面」しか見ていない場合が少なくない。
「不祥事を起こした東芝的な会社について、助言会社はどうアドバイスしていたか過去を検証してみよう」とまで意地悪を言うつもりはないが、「体裁だけの先進的ガバナンス」に気をつけよう。ちなみに、外面だけ良くて中身がダメな会社を見抜く有力な判別手段は、「どう見てもビジネスの機微が分からなそうな社外取締役」の存在であるように思われる。しかし、サンプル数が多すぎて検証が難しいかもしれない。」
「経産省は現時点で、防衛などの点で国策上重要な企業の経営に同省が関与することがあるのは当然だと半ば開き直っている。だが、上場会社の株主に対して不公平が生じる関与を行っていいとは思えない。驚く読者がおられるかもしれないが、実は、経産省は上場企業のコーポレートガバナンス改革を主導する立場の官庁なのだ。
百歩譲って「東芝は特別な会社なのだから、われわれが経営に介入することがあってもいいはずだ」という経産省の言い分を認めるとしよう。そうだとしても、上場会社である東芝の株主にとって、そのことは事前に明らかでなければならなかったはずだ。...
経産省に関しては、少なくともこの人たちにコーポレートガバナンスを語る資格はないと強く感じる。」
「東芝の経営問題は、狭くは東芝の株主、広く見ても投資家一般にとっての問題だが、上場企業の経営に隠れて介入するような腐敗した官庁が存在することは、広く国民全体にとっての問題だ。東芝経営陣の責任よりも、経産省の関与の実態解明と責任の明確化の方がはるかに重要な問題だろう。...
本件の重要性に鑑みると、誰が、いつ、何をしたのかについて、事実が明らかにされなければならない。調査の必要性を認めないとする梶山弘志経産大臣の発言は、経産行政の責任者として著しく危機感を欠いている。」
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