JA秋田おばこという農協の役職員3人が背任容疑で書類送検されたという記事。
「県警によると、3人は共謀し、2015年4月1日~17年10月2日、取引先の宮城県栗原市のコメ卸売会社から売掛金が回収できなくなる可能性を認識しながら、おばこが定めるコメ販売の要綱に反し、計約2200回にわたり、あきたこまち1等米など約36万9千俵を販売。おばこに計約42億4300万円の損害を与えた疑いが持たれている。
おばこではコメを販売する際、相手業者の売掛残高など取引内容を記す「荷渡(に/わたし)承認書」を作成し、役員から決裁を得る必要があるが、3人はこの手続きをせずに販売していたという。既に公訴時効の5年を迎えた分もあった。
背任罪の構成要件には自分や第三者の利益を図る「図利(と/り)目的」と、損害を加える「加害目的」があり、県警は今回、図利目的を適用して書類送付した。どのような利益を図ったとみているかは明らかにしなかった。捜査に支障が出るとして、3人の認否も明らかにしなかった。」
なぜ宮城の会社とだけ…?未収金、特異さ際立つ おばこ問題(秋田魁新報)
「03年に始まったこの会社との取引では、05年から未収金が発生している。翌年、未収金が1億円に上ったところでいったん回収したが、その後も徐々に支払いが停滞。通常であれば取引を停止してもおかしくない状況だが、なぜかこの会社へのコメ販売は続けられ、未収金は膨らんでいった。
おばこではコメを売る際、相手業者名、販売数量、価格、売掛残高を記載した「荷渡(にわたし)承認書」を担当者が作成し、売っていいかどうかの決裁を受ける決まりになっている。しかし、この卸売会社に対してだけは荷渡承認書を作成せず、取引の適正さをチェックする機能が働いていなかった。
また、同社との取引は、東京の商社を交えた3者による異例の形態となっていた。商社から注文を受けたおばこがコメを卸売会社に売り、卸売会社が商社に渡す流れ。代金は商社が卸売会社を介しておばこに払うはずだったが、卸売会社で支払いの流れは滞った。」
売掛金が滞留している先に販売を継続したというだけでは、普通、犯罪にならないように思われますが、このケースはあやしいスキーム(卸売会社救済スキーム?)があるようです。この卸売会社だけ「荷渡承認書」によるチェックを回避していたという点は、経営者による内部統制無効化の例ともいえそうです。
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