国際会計基準の採用などを議論した10月23日の企業会計審議会企画調整部会の議事要旨が金融庁サイト上で公表されています。
委員のコメントの中から気になるものを紹介します。今後の会計基準については、IFRSの選択適用を認めること以外は、連単分離なのか連結先行なのかなど何も決まっていないようです。
1.会計基準をめぐる国際的動向について
・有価証券の時価評価の問題について、一部に誤解を与えるような報道がなされている。マーケットが未曾有の状況となっていることからすれば、時価とは何かを検討するということは重要。しかし、保有目的区分の変更の問題は、通常、企業が有価証券を保有するときには保有目的が決まっているはずであり、途中でこれを変えることを認めることについては慎重な議論が必要。
・時価会計は資産算定の基礎として必要であり、金融機関を守るために、投資家が犠牲になるということが起きないようにしなければならない。
・危機だからと言って基準を変えたらそれは基準にならない。
2.「連結先行論」について
・個人の意見として申し上げるが、連単分離ではどうしていけないのかと思う。
・実務サイドとしては、連単を別々の基準で作るのはいかがなものかと思う。別々の基準で作るためには二重帳簿が必要になる。・・・将来的には、個別についてもIFRSないしその簡易版に移行していくという前提で連結先行を理解している。
・配当規制や税の問題が解消されるのであれば、単体もIFRSでかまわない。
・制度の問題のほかにインフラ整備の問題があり、これには教育の問題が含まれる。
・全ての基準について連結と単体を違う取扱いにしていくことはできないだろう。
3.国際会計基準(IFRS)について
・IFRSを受け入れるが、最初は選択適用(オプション)にしてほしい。・・・基準が2つというのは望ましくないため、将来的には1つにしていく必要があり、とすればIFRSということになる。
・強制適用についてはより慎重に考える必要がある。IFRSを採用した各国でどういうことが起きているのか、プリンシプル・ベースでの実務への対応がどうなのかということについて、データがはっきりしない。
・アドプションとオプションとではまったく話が違う。いきなりアドプション(強制適用)するのはリスクが大きい。強制するのではなくとりあえず容認することとし、世界の動向に注意を払うこととしてはどうか。
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