企業会計基準委員会は、 「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」を、2016年2月4日付で公表しました。
「今後、収益認識に関する包括的な会計基準の開発に向けた検討を進めていくにあたり、検討の初期の段階で適用上の課題や今後の検討の進め方に対する意見を幅広く把握するため」(7項)の意見募集です。
同委員会は、仮に IFRS 第 15 号の基準本文(適用指針を含む。)の内容のすべてを、我が国における収益認識に関する包括的な会計基準として導入した場合に生じ得る論点を予備的に識別するとともに、適用上の課題の分析を行っています。
その内容を第1部として示し、以下のような質問について意見を募集しています(抜粋・要約しています)。
○我が国における収益認識に関する包括的な会計基準の開発にあたっては、IFRS 第 15 号の内容を出発点として検討を行っていますが、この点について、ご意見があればお寄せください。(質問2)
○識別された 17 の論点及び適用上の課題の分析の内容について、例えば、次の観点から、ご意見があればお寄せください。(質問3)
・ 各々の論点の「予備的に識別した適用上の課題」に記載されている内容は適切か。また、当該論点について、記載されている課題以外に適用上の課題として検討が必要と考えられるものはあるか。
・ 各々の論点の「影響を受けると考えられる取引例」に記載されている取引例は適切か。また、各々の論点について、記載されている取引例以外に影響を受けると考えられる取引はあるか。
・ 各々の論点について、他にコメントはあるか。
○ 17 の論点以外の論点に関する適用上の課題を識別している場合、可能な限り、詳細に当該内容をご記載ください。 (質問4)
○第 1 部 では、IFRS 第 15 号に定められている注記事項を示しています。
これらの注記事項の中で、収益に関する分析を行うにあたり、特に有用であると考えられる注記事項を、その理由とともにご記載ください。また、コストと便益を比較考量した観点から、特に取り入れることに懸念がある注記事項を、その理由とともにご記載ください。(質問5)
意見募集期限は5月31日です。
(「仮に」といっても、他の案は示されていないわけですから、「IFRS 第 15 号の内容を出発点として検討」するしかないのでしょう。当然、できる基準も、IFRS15号そのままか、IFRS15号に近いものとなります。)
同委員会が論点を整理した第1部は以下のような構成となっています。 IFRS 第 15 号を適用するための 5 つのステップにほぼ沿った形でまとめられています。
Ⅰ.主に収益認識の金額や時期に影響を与える可能性のある主要な論点
(ステップ 1: 顧客との契約を識別する)
【論点1】 契約の結合
【論点2】 契約の変更
(ステップ 2: 契約における履行義務を識別する)
【論点3】 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
【論点4】 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション(ポイント制度等)
【論点5】 知的財産ライセンスの供与
(ステップ 3: 取引価格を算定する)
【論点6】 変動対価(売上等に応じて変動するリベート、仮価格等)
【論点7】 返品権付き販売
(ステップ 4: 取引価格を契約における履行義務に配分する)
【論点8】 独立販売価格に基づく配分
(ステップ 5: 履行義務の充足時に(又は充足につれて)収益を認識する)
【論点 9①②】一定の期間にわたり充足される履行義務
【論点10】 一時点で充足される履行義務
【論点11】 顧客の未行使の権利(商品券等)
【論点12】 返金不能の前払報酬
Ⅱ.主に財務諸表における収益の表示に影響を与える可能性のある主要な論点
【論点13】 本人か代理人かの検討(総額表示又は純額表示)(ステップ2)
【論点14】 第三者に代わって回収する金額(間接税等)(ステップ 3)
【論点15】 顧客に支払われる対価の表示(ステップ 3)
Ⅲ.その他の論点
【論点16】 契約コスト
【論点17】 貸借対照表項目の表示科目
Ⅳ.開 示(注記事項)
第2部では、「IFRS 第 15 号の概要」が示されています。
会計・監査ニュースフラッシュ ASBJ、「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」を公表 (KPMG)
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