会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

KPMG、合法大麻栽培会社の監査報告書を撤回(CFOより)

KPMG Withdraws Two Audits for CannTrust

KPMGが、カナダの合法大麻栽培会社CannTrust Holdings社の連結財務諸表の監査報告書2期分(2018年と2019年)を撤回したという記事。

KPMG is withdrawing its report on the consolidated financial statements of CannTrust Holdings, a licensed producer of cannabis in Canada, saying its reports for 2018 and for the March 2019 quarter should no longer be relied on.

これに先立ち、カナダの監督当局が、同社が栽培施設を無許可で運営していたことを発見し、5,200キログラムの大麻製品を差し押さえていました。

The announcement comes after Canadian regulators found the company was operating an unlicensed grow facility and placed a hold on 5,200 kilograms of the company’s cannabis product.

会社によると、KPMGは、監査報告書を発行する時点では、この情報を認識しておらず、すでに会社を退職した複数の人物による陳述に依拠していたとのことです。

“KPMG was not aware of the information recently shared by the company when it issued the KPMG reports and had relied upon representations made by individuals who are no longer at the company,” CannTrust said.

会社の上級役員が違法な施設の存在を知っていて、デンマークの会社へ大麻が違法に輸出されたとの報道がなされ、CEOと社長が7月に退任しているそうです。

会社は、暫定CEOを長とする特別委員会を設けて調査するとのことです。

KPMGは、監査報告書を撤回したとはいえ、独立監査人としては残っているようです。

KPMG remains CannTrust’s independent auditor.

会計監査は、会社の事業の合法性を保証するものではありませんが、正当な事業活動の中でたまたま違法行為が行われたというのではなく、事業そのものが違法なものであった場合には、そこから発生した債権や棚卸資産が法律上有効なものかどうかは問題です。法律上の効力がなければ資産性もないでしょう。在庫を当局に没収されても文句は言えません。事業が合法的であることを前提にした監査意見は出せないということになるのでしょう。取締規定の違反か、効力規定の違反かという論点にも関係しそうです。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事