東芝が東京証券取引所の1部から2部に降格したという記事。上場維持のためのさまざまなハードルについてふれています。
(新しい情報はありませんが)そのうち監査に関する部分。
「東芝は8月10日までに17年3月期の有価証券報告書(有報)の提出を目指しているが、監査法人のPwCあらたとの協議は難航している。有報には監査法人の意見を付ける必要があり、あらたが最も厳しい「不適正意見」を付ける可能性も浮上。東証は東芝を上場廃止にすべきかどうか審査しており、結果次第で審査に重大な影響を与える可能性がある。
あらたと見解の違いが生じているのは、米原発事業の損失を認識した時期だ。東芝は16年12月に認識したと説明し、16年4~12月期決算に7000億円超の損失を計上した。だが、関係者によると、あらたは「東芝は15年度に認識していたのではないか」と疑問視。企業決算では損失が分かった時点で計上する必要があるため、計上時期をめぐる溝が埋まっていない。」
焦点:東芝、WDとの係争で時間空費 3つの難題で高まる経営リスク(ロイター)
こちらの記事でも、3つの難題のうちの一つが監査です。
「さらなる難題は、監査法人PwCあらたとの協議だ。東芝は17年3月期の有価証券報告書の提出について法定期限の6月末には間に合わず、8月10日に延期している。
朝日新聞は今月13日、「PwCあらたが監査意見を表明しない見通しを関係者に伝えた」と報道。当日、東芝は報道を否定しているが、関係者によると、米原発事業での巨額損失の認識時期をめぐって、監査法人との調整が難航しているもようだ。
東芝株は上場廃止の恐れがある「監理銘柄」に指定されている。監査法人から決算の適正意見が得られなければ、上場廃止のリスクは一段と高まりそうだ。」
また、難題の1番目は「WDとの係争」です。仮にメモリー事業売却手続きが進んだとしても、仲裁で「東芝メモリ株式の移転は無効との判断が出るリスク」が残ったままとなりそうです。そうなった場合、会計上、売却処理を認めるかどうかという論点が出てくるのかもしれません。
「スズキ(6502.T)や三菱重工業(7011.T)といった日本の大企業が絡んだICCを舞台とした過去の係争案件では、仲裁判断が出るまでに3、4年を要している。WDとの係争では今年度中に最終的な仲裁判断が出るかどうか極めて不透明だ。
係争が決着しないままの状態では、今年度中にメモリー事業の売却を完了したとしても、仲裁裁判所がWDの主張を認め、東芝メモリ株式の移転は無効との判断が出るリスクが残ってしまう。革新機構関係者は「東芝とWDとの係争が決着しないと物事が進まない」と指摘している。」
【東芝危機】「上場廃止」に現実味 債務超過解消のメド立たず 半導体子会社売却も難航(産経)
「東芝はPwCあらたから具体的な修正額が示されれば、それに沿って修正する構えだが、いまだに「結果待ちの段階」(関係者)という。残された期間で決算を修正し、再度の監査を経て適正意見を得るのは現実的に難しい。東芝は東証による上場可否の審査を受けている最中であり、有報に「意見不表明」や「不適正意見」がつけば、審査に悪影響が出るのは必至だ。」
期限まで10日前で、こういう状況だとすれば、たしかに「難しい」といえそうです。
東芝、1日に東証2部降格 上場廃止のおそれも(朝日)
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