日本のPwCで起きているパワハラ疑惑を取り上げた記事の続報。
記事へのPwC幹部の反応は...
「記事掲載を受けてPwCでは、社員に向けて「記事の内容は事実と大きく乖離があり、当グループの名誉を著しく棄損するものです。また、個人名を挙げての誹謗中傷など看過し難い内容も含まれており、大変遺憾です」とのメールを送信。7月7日には木村浩一郎代表も同様のメールを社内に向けて送信した。
さらにAさんの上司で、PwCグループのマーケティング部を統括する森下幸典パートナーは部内の会議で、筆者の記事が事実無根であること、(女性社員にパワハラを加えた)永妻恭彦ディレクターへの名誉棄損であること、Aさんはあらゆる職務規定違反をしたため当然の降格人事であったと発言。今後、自分自身の名前が報道される可能性もあるが、まったく会社的にも個人的にも問題にはしていない。会社が自分や永妻氏を処分する理由はひとつもないし、PwCは正しいことをしているので、安心して業務に励むようにと伝えたそうだ。」
記者のもとには新しい情報が寄せられているのだそうです。問題のパワハラ事件そのものというより、関連するPWC内の状況に関するもののようです。
「寄せられた情報によれば、記事で触れた女性社員Aさんの身に何が起きたのか社内で知らされることもなければ、話題にすることもためらわれるタブーになっているとのことだ。PwC内部ではAさんに関連した訴訟で発生した弁護士費用が目立たないように処理され、経理の者さえ何の支出か分からない費目になっていた。弁護士費用として計上してよいとの指示が出たのは、2020年6月期末が迫った頃からだったという。
さらにAさんに対する人事評価でも機微に触れる部分は社内でメールのやり取りはせず、「口頭のみや、短期間で履歴の消える社内チャットツールを使っている」(PwC関係者)と言うから、組織ぐるみでパワハラを行い、これを隠そうとしていると見られても仕方ないだろう。」
ホットラインや社員満足度調査も機能していないのだそうです。
「PwCにはパワハラなどの問題を通報するホットラインもあるが、「実際には機能していないことは、社員のみんなが分かっているから使おうとしない」。
経営上層部に社員の声が届くはずの社員満足度調査という仕組みも設けられているが、「パワハラが横行して、社員の退職が後を絶たないことをここに書き込んだ複数の社員たちに対して、いずれも退職に追い込まれた。ヒアリングさえ行われないままだった」という。社内の不満分子をあぶり出すためのゲシュタポのような仕組みなのだ。」
パワハラの背景は...
「なぜPwCではパワハラがここまで横行するようになったのか。PwCはこの数年、組織が肥大化しており、内部統制がこれに追いついていないのに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、経済の先行きを厳しく見なければならないことが響いているようだ。
PwCは常々「パワハラを許さない」と言い、パワハラ撲滅のためにやってはいけないことや、使ってはいけない言葉などを具体的に列挙したガイドラインを設けている。6月のパワハラ防止法施行のタイミングでも詳細なガイドラインの更新が行われているほどだが、声を上げた社員は退職に追い込まれているのが実態だという。
ある男性の情報提供者は「パワハラ行為を明示することで、違法すれすれのパワハラを逆説的にガイドライン化しているようなもの」と言い、いかにも法律の専門家が指南しそうな悪知恵だ。」
これを読むとひどい職場のように思われますが、そうでないというのなら、PwCとして正式に反論を公表すべきでしょう。
一般論としては、顧客から報酬を獲得しているパートナーが絶対的に偉くて、その配下の職員の生殺与奪の権限を握っている、パートナー自身も厳しい採算責任を負わされている、組織全体は大きくても、運営はそれぞれ独立している比較的小さな部門やチーム単位で行われている(ほかから口を挟まれることもない)という状況では、パワハラやセクハラは起こりやすいといえそうです。新型コロナの影響で、監査やコンサルの報酬増が見込めない状況になれば、その傾向はますます強まるでしょう。
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