三菱自動車の燃費不正で下請け業者が打撃を受けているという記事。
「三菱自動車の燃費偽装で、下請け企業が苦境に立たされている。軽自動車の生産を止めている水島製作所(岡山県倉敷市)の周辺では、操業停止が下請けに波及し、派遣社員の仕事も失われつつある。三菱自と取引がある企業は全国に多数あり、影響の広がりが懸念される。」
三菱自動車の元下請け社員が見た異質な風土(東洋経済)
どこが異質かというと、値引きの仕方です。
「当時、筆者は三菱自動車の購買担当者と年2回交わされる部品納入の契約交渉に臨んでいた。三菱自動車に限らないが、自動車メーカーと部品メーカーの間でこうした契約交渉が行われる場合、最大の焦点になるのはすでに納めている部品の契約単価見直し、つまり値下げだ。」
「リコール隠しの再発覚後、三菱自動車の生産台数はどんどん落ちていっており、当時の値下げ要求は筆者が在籍していた部品メーカーとしては、とても受け入れがたかった。筆者は上司である事業責任者にも同行してもらい、何度も三菱自動車の購買責任者と交渉を重ねた。
そして最終的には単価を値引きするのではなく、ある月の取引額の中から一定金額を差し引くという条件での決着となった。たとえば一律1000万円、といった具合にだ。このやり方は値引きの総額が三菱自動車側と決着しない場合の妥協策だが、値引き総額を引き下げてもらう代わりに、単月に1発で三菱自動車に支払うことになった。
部品単価を引き下げる場合は、値引き効果が毎月少しずつ積み上がるものの、この場合は三菱自動車側は短期間で多額のコストダウンになり、文字通り部品メーカーが支払う「一時金」となる。筆者の勤務していた部品メーカー側からすると部品単価は据え置きとなるものの、単月でみると損益が大きく悪化した。この案件は部品メーカー側の役員決裁で処理した。
筆者は横のつながりがあった下請け部品メーカー複数社の担当者からも同じ条件での契約になったことを聞いており、彼らは「ほかの自動車メーカーとの取引で、こんな話は聞いたことがない」と口をそろえ嘆いていた。今はわからないが当時の筆者の経験でいってもトヨタ自動車やホンダとは少なくとも、三菱自動車と同じやり方で契約したことはない。」
将来分も含めた部品単価の引き下げではなく、形式上当期までの納入分の割り戻しということで、三菱側は一挙に利益に計上したのでしょう。間違ったやり方とはいえませんが、利益操作的であり、また、保守主義にも反しています。
こちらは日産の販売会社の状況。
現場から悲鳴、日産「軽販売半減」の巨大衝撃
三菱自動車の燃費不正で販社が混乱している(東洋経済)
「軽自動車と登録車を合わせた日産の国内シェアは約13%(2015年度)と以前に比べ振るわないが、2%台と主要8社の最下位である三菱自動車に比べれば、はるかに販売力がある。それゆえ、日産が販売した不正対象車両は46万8千台と三菱が販売した「ekワゴン」「ekスペース」の約3倍に上る。台数だけを見れば、販売現場の混乱ぶりは日産の方がより深刻だ。」
「三菱自動車グループ国内取引状況」調査(東京商工リサーチ)
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