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G20会合で見えたパナマ文書問題「3つの論点」(ダイヤモンドオンラインより)

G20会合で見えたパナマ文書問題「3つの論点」

パナマ文書を取り上げた解説記事。ワシントンDCで開催されたG20会合にもふれています。

「第1の論点は、「すべて法にのっとっており合法である」という(一部政治家などの)認識は間違いということである。」

「タックスヘイブンに送金し会社をつくることは合法だが、その後の税務処理がきちんと行われていなければ、「脱税」に問われるということである。」

「第2の論点は、わが国の税務当局はどうやってその情報を掴むのかという点である。

これを可能にするのは、タックスヘイブン国も含む各国の「自動的情報交換」である。日本居住者がタックスヘイブンを含む外国に口座を開設すれば、その情報(口座残高、利子、配当など)が自動的にわが国の税務当局に送られてくる仕組みを構築することである。」

「4月16日、17日、米国ワシントンDCで開催されたG20会合の声明文には、「自動的情報交換に係る基準を2017年又は2018年までに実施することにコミットしていない全ての関係する国に対して……コミットすること及び多国間条約に署名することを求める」としている。その上で、「7月会合までに税の透明性に関する非協力的地域を特定するための客観的基準をつくることを指示する」となっており、あらゆるタックスヘイブンについて、自動益情報交換を迫ることとなる。それをモニターするメカニズムも構築される。

これを受けてすでにパナマは、自動的情報交換に参加するとしている。その他の国・地域も参加せざるを得ないだろう。そうなれば、基本的に逃げ場はなくなると考えてよい。」

「3つ目の論点は、そうは言っても、実際に日本の税務当局にそこまで調査できるのか、という疑問である。確かに日本の税務職員の数は限られており、税務調査権限は一般的に国境を越えて他国には及ばないので、そこは困難が伴う。現実に、オリンパス事件のケースで、オリンパスから粉飾を手助けした者への報酬資金の流れを見ると、香港、シンガポール、ルクセンブルクの3ヵ国の銀行口座・金融機関が使われている。」

「そこでこの点について、今回のG20会合で話し合われ、大きな進展が見られた。声明には、「特に法人及び法的取極めの実質的所有者(beneficial ownership of legal persons and legal arrangements)情報に関し、金融の透明性及び全ての国・地域による透明性に関する基準の効果的な実施に付した高い優先性を再確認する」と書かれているのである。」

「今後は「権限ある当局間の国際的な実質的所有者情報の交換」がキーワードとなり、それに向けての作業が開始される。」

当局間の情報交換強化により、脱税を発見しやすくするという話ですから、違法なこと(脱税)をしていなければ、問題ないのでしょう。

しかし、グレーゾーンの租税回避をどうするのかという問題は別にありそうです。

パナマ文書で人為的な課税逃れは防げるか
国際的な課税制度確立を目指す動きが加速
(東洋経済)

「「パナマ文書」の影響は、ひとまず政治家やその関係者が関与した租税回避に焦点は限定されるだろう。そして、マネーロンダリングや賄賂の授受といった、「パナマ文書」を基に捜査が進んだ犯罪も順次焦点となろう。民間の個人や企業が関与した租税回避は、違法でなければ責任追及はなかなか難しいだろう。」

「タックスヘイブン問題は、どのように解決しようとしているのか。解決しようとした主立ったポイントは2つある。1つは税務の透明性や情報交換の国際協調が不備である点。もう1つは所得税や法人税や資産課税が低税率であったり無税であったりする点である。「パナマ文書」が公表される前から、この2つに対しては解消に取り組んできたが、「パナマ文書」が公表された今日、前者は国際協調が進んだものの、一部に進展が遅い国・地域があり、後者は課税権という主権の発動がからむため解消は容易でないという障害に突き当たっている。」

OECDのBEPS(Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と利益移転:ベップス)プロジェクトについてもふれています。

この解説記事でふれている資料へのリンク。

第6回 国際課税ディスカッショングループ(2015年10月23日)資料一覧(内閣府)

【パナマ文書の衝撃】英と海外自治領結ぶ不正資金ネットワーク 31万社が約26兆円投資、10年で不動産2倍に(産経)

「タックスヘイブン(租税回避地)を利用した資産隠しを暴いた「パナマ文書」問題を受け、英国の自治領と本土を結ぶ不正資金のネットワークの実態にようやく疑惑の目が注がれている。」

楽天・三木谷会長の名も
パナマ文書、10日に一部公表
(共同)

「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に参加する共同通信のパナマ文書分析で8日、インターネット通販大手楽天の三木谷浩史会長兼社長がタックスヘイブン(租税回避地)法人の株主となっていたことが分かった。」
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