先日破産開始決定を受けたNutsのプレスリリース。
証券取引等監視委員会による強制調査の対象となった虚偽情報開示疑惑や、会計監査人から指摘された巨額現金消失事件について調べていた外部調査委員会の調査結果を受領したとのことです。
以下、調査結果の概要より。(調査対象①は偽計など虚偽情報開示疑惑、②③は現金消失問題とそれと関連があるとみられる会員権売上の問題です。)
「調査対象①
本件 IR は、企図した医療関連施設のビジネスモデルを背景にしたものであるが、その事業計画の具体的な目途と展開が立たないまま、当該年度の損益にまで踏み込んで公表したことは、明らかに金融商品取引法第 158 条が規制する偽計又は風説の流布に該当する疑いがあると認められ、Nuts の代表取締役であった森田氏がそのことを認識し、有価証券の取引等のため、又は相場の変動を図る目的で、主体的に行ったものであると合理的に推認される。
なお、本件 IR は Nuts の経営会議及び取締役会の決議を経て公表されているが、これらの決議に参加した森田氏以外の Nuts の取締役等が森田氏と同等の認識及び目的を有していたとまでは認められなかった。」
「調査対象②③
本件現金差異が生じている理由は、医療施設事業に係る会員権売上高に係る取引の大半について、会計上は、売上げ及び現金を計上していたにもかかわらず、実際には、その取引は、Nuts 及び当時の代表取締役である森田氏を含む複数の個人及び法人が資金を拠出した架空取引(以下「本件架空取引」という。)であり、現金が溜まらなかったことが理由であると認められる。また、Nuts は、本件各取引による売上げを毎月公表しているところ(以下「本件架空取引 IR」という。)、これは明らかに金融商品取引法第 158 条が規制する偽計又は風説の流布に該当する疑いがあると認められ、森田氏がそのことを認識し、有価証券の取引等のため、又は相場の変動を図る目的で、主体的に行ったものであると合理的に推認される。
なお、本件架空取引及び本件架空取引 IR は、森田氏が主導したものであり、森田氏以外の Nuts の取締役等が森田氏と同等の認識や目的を有していたとまでは認められなかった。」
どちらも、予想されたとおりの結論だったようです。
会計の問題かどうかという点で考えてみると、①は純粋に開示の問題で会計数値には影響はなく、②③は、本決算の監査で発覚し決算数値は公表していないので財務諸表の虚偽記載にはならないと思われます。ただ、四半期決算では、架空売上を含んだ数値で四半期報告書を出していたことになるので、その点は摘発される可能性がありそうです。もちろん、当初から問題となっていた医療関連施設事業の虚偽開示は、それだけで摘発対象でしょう。
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