会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「二大資格」で明暗くっきり…司法試験は「底這い」なのに、公認会計士試験が「人気復活」のワケ(現代ビジネスより)

「二大資格」で明暗くっきり…司法試験は「底這い」なのに、公認会計士試験が「人気復活」のワケ

公認会計士資格は受験者も合格者も着実に増えているのに対し、司法試験は受験者数が減少傾向(2023年までの3年連続で増加したが2024年は減少)であるが、その理由は何かという記事。

会計士試験もずっとうまくいっているわけではなく、相当の浮き沈みがあります。一時期、試験制度見直しで合格者が大幅に増え、2010年には志願者が2万5648人に達しましたが、その後は不況と大量合格により会計士の余剰が発生、「会計士業界では試験を易しくしすぎたとして、合格率の引き下げを金融庁に要望する事態」になります。そして、合格率は引き下げられます。

就職できないのに、試験は難しいということで、会計士試験は学生からそっぽを向かれる事態に。志願者が1万人割れ寸前まで行ったのはこのためだった。また、粉飾決算など会計監査を巡るスキャンダルが相次いだことも会計士離れに拍車をかけた。」

そこで、会計士業界はイメージアップのキャンペーンを行うほか、「金融庁に要望して合格率を10%台に引き上げ」ます(合格率を下げてくれといったり上げてくれといったり、いそがしいことです)。

この記事では、その効果があったとみているようです。

「これが着々と会計士人気につながっていった。勉強すれば現役の大学生のうちに合格できる資格、というイメージが定着していったことが志願者を増やしていった。2024年の合格者のうち大学在学中が37.7%に達している。高卒も含め、4割が大学卒業前に合格している。大学卒業後に予備校に通って受験する人もいるが、年齢で見ると25歳未満での合格者が62.6%に達する。30歳未満だと88.7%だ。難関試験には違いないが、きちんと合格できる資格になったというわけだ。」

また、社会の側でも「ビジネス社会で会計知識が求められる場面が増えていて、会計士へのニーズが高まっている」とのことです。

そのほか、学生の就職観や企業の人材ニーズの変化も、会計士資格人気の要因として挙げています。

他方、司法試験が振るわないのは...

「司法試験の場合、まだまだ資格を取ったら法曹(裁判官、検事、弁護士)として働くというイメージが強く、ビジネスで必要な資格という発想は乏しい。弁護士業界には、資格を取っても食べていけないので、合格者を増やすべきではないという声が根強くある。

学生からすれば、大学在学中に合格するのは極めて困難で、法科大学院にお金をかけて2年通ったからといって合格が保証されるわけでもない。そうした資格制度・試験制度のあり方の違いが大きく明暗を分けている。」

専門職になるためには大学院レベルの教育が必要というのは、理念としてはわかるのですが、今の日本にそれだけの余裕はないのでしょう。また、資格試験にすぎないのだから、一定のレベルに達していれば、いくらでも合格させればよい、合格後就職できるかどうかは、自己責任だというのも、一種の正論ですが、試験を受ける側の事情を無視した考え方だったのでしょう。

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