(村上)
「つまり自分の受けた傷とかトラウマを,
自分のなかで処理することができないということですか,
かたちにすることができない。」
(河合)
「そうそう。
もちろんふつうは
自分なりに処理しようとして失敗するから
症状として出てくるんですが,
それを自分で処理しないで,
みんなに分かち与えるから,
お前がもう少ししっかりしてくれたらなどと
お互いに言い合っているのですね。」
(「村上春樹,河合隼雄に会いに行く」 p28,29)
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わたしたちの持つトラウマは,
自分ひとりで解決するのは,
困難なことがあります。
この困難は,互いに分かち合うことによって
解決が与えられることがあると
河合さんは言っているようです。
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新約聖書で,パウロは次のように言っています。
「互いに」がキーワードになっています。
(コロサイ3:13,14)
「互いに忍び合い,
だれかがほかの人に不満を抱くことがあっても,
互いに赦し合いなさい。
主があなたがたを赦してくださったように,
あなたがたもそうしなさい。
そして,これらすべての上に,
愛を着けなさい。
愛は結びの帯として完全なものです。」