2列王記 まとめ 2023.5.22
○
1.
2列王記1:1-13:25
エリヤとエリシャ
○
エリヤ,天に上げられる
(2列王2:1,2)
「主が嵐を起こして
エリヤを
天に上げられたときのことである。
エリヤはエリシャを連れて
ギルガルを出た。
エリヤはエリシャに,
『主はわたしを
ベテルにまでお遣わしになるが,
あなたはここにとどまっていなさい』
と言った。
しかしエリシャは,
『主は生きておられ,
あなた御自身も生きておられます。
わたしはあなたを離れません』
と答えたので,
二人はベテルに下って行った。」
預言者エリヤが死に臨んで,
弟子のエリシャに語った言葉です。
エリヤとエリシャは
バプテスマのヨハネとイエスの型です。
バプテスマのヨハネはエリヤと呼ばれます。
(マタイ11:14)
エリシャの奇跡は
イエスの奇跡の型となっています。
☆
エリヤが天に上げられる
エリヤとエリシャの経験は,
教会の携挙の型となっています。
(列王下2:11,12)
「こうして,
彼らがなお進みながら話していると,
なんと,
一台の火の戦車と火の馬とが現れ,
このふたりの間を分け隔て,
エリヤは,
たつまきに乗って天へ上って行った。
エリシャはこれを見て,
『わが父。わが父。
イスラエルの戦車と騎兵たち』
と叫んでいたが,
彼はもう見えなかった。
そこで,彼は自分の着物をつかみ,
それを二つに引き裂いた。」
○
エリシャ,ヨルダン川を渡る
(2列王記2:14)
「彼はエリヤの身から落ちた
外套を取って水を打ち,
『エリヤの神,主は,
どこにおられるのですか。』と言い,
彼が再び水を打つと,
水が両側に分かれたので,
エリシャは渡った。」
エリシャの最初の奇跡は,
エリヤが残していった毛皮の衣を
使って起こりました。
エリシャが衣でヨルダン川を打つと,
川が真っ二つに分かれました。
これはかつて,
イスラエルの指導者ヨシュアが
行った奇跡と同じでした。
そして,この奇跡によって,
他の預言者たちからも
エリシャは正式なエリヤの後継者だと
認められます。
☆彡
(2列王記2:8ー15)
エリヤは自分の外套を取り,
それを丸めて水を打った。
すると,水は両側に分かれた。
それでふたりはかわいた土の上を渡った。
渡り終わると,エリヤはエリシャに言った。
「私はあなたのために何をしようか。
私があなたのところから取り去られる前に,
求めなさい。」
すると,エリシャは,
「では,あなたの霊の,
二つの分け前が
私のものになりますように。」と言った。
エリヤは言った。
「あなたはむずかしい注文をする。
しかし,もし,
私があなたのところから取り去られるとき,
あなたが私を見ることができれば,
そのことがあなたにかなえられよう。
できないなら,そうはならない。」
こうして,
彼らがなお進みながら話していると,
なんと,
一台の火の戦車と火の馬とが現われ,
このふたりの間を分け隔て,
エリヤは,
たつまきに乗って天へ上って行った。
エリシャはこれを見て,
「わが父。わが父。
イスラエルの戦車と騎兵たち。」
と叫んでいたが,彼はもう見えなかった。
そこで,彼は自分の着物をつかみ,
それを二つに引き裂いた。
それから,
彼はエリヤの身から落ちた外套を拾い上げ,
引き返してヨルダン川の岸辺に立った。
彼はエリヤの身から落ちた
外套を取って水を打ち,
「エリヤの神,主は,
どこにおられるのですか。」と言い,
彼が再び水を打つと,
水が両側に分かれたので,
エリシャは渡った。
エリコの預言者のともがらは,
遠くから彼を見て,
「エリヤの霊が
エリシャの上にとどまっている。」と言い,
彼を迎えに行って,
地に伏して彼に礼をした。
○
エリシャの奇跡 油を増やす
(2列王記4:7)
「そこで彼女は
神の人のところにきて告げたので,
彼は言った,
『行って,
その油を売って負債を払いなさい。
あなたと,あなたの子供たちは
その残りで暮すことができます。』」
エリヤは,洗礼者ヨハネの型であり,
エリシの奇跡は,
イエスの奇跡と共通するものがあります。
エリシャはイエス・キリストの型です。
☆彡
エリシャの奇跡
(2列王記4:1-8 口語訳)
預言者のともがらの,
ひとりの妻がエリシャに呼ばわって言った,
「あなたのしもべである
わたしの夫が死にました。
ごぞんじのように,
あなたのしもべは
主を恐れる者でありましたが,
今,債主がきて,
わたしのふたりの子供を取って
奴隷にしようとしているのです」。
エリシャは彼女に言った,
「あなたのために何をしましょうか。
あなたの家にどんな物があるか,
言いなさい」。
彼女は言った,
「一びんの油のほかは,
はしための家に何もありません」。
彼は言った,
「ほかへ行って,
隣の人々から器を借りなさい。
あいた器を借りなさい。
少しばかりではいけません。
そして内にはいって,
あなたの子供たちと
一緒に戸の内に閉じこもり,
そのすべての器に油をついで,
いっぱいになったとき,
一つずつそれを取りのけておきなさい」。
彼女は彼を離れて去り,
子供たちと一緒に戸の内に閉じこもり,
子供たちの持って来る器に油をついだ。
油が満ちたとき,彼女は子供に
「もっと器を持ってきなさい」と言ったが,
子供が「器はもうありません」
と言ったので,油はとまった。
そこで彼女は
神の人のところにきて告げたので,
彼は言った,
「行って,
その油を売って負債を払いなさい。
あなたと,あなたの子供たちは
その残りで暮すことができます」。
ある日エリシャはシュネムへ行ったが,
そこにひとりの裕福な婦人がいて,
しきりに彼に食事をすすめたので,
彼はそこを通るごとに,
そこに寄って食事をした。
○
エリシャが,ナアマン将軍をいやす 。
(2列王5:10)
「エリシャは,
彼に使いをやって,
言った。
『ヨルダン川へ行って
七たびあなたの身を洗いなさい。
そうすれば,
あなたのからだが
元どおりになってきよくなります。』」
☆
(2列王5:13)
「そのとき,
彼のしもべたちが近づいて彼に言った。
『わが父よ。
あの預言者が,
もしも,
むずかしいことをあなたに命じたとしたら,
あなたはきっとそれを
なさったのではありませんか。
ただ,彼はあなたに
「身を洗って,きよくなりなさい」
と言っただけではありませんか。』」
神の御言葉とわたしたちの思いは
異なります。
神の言葉は力があります。
神の言葉は
信じるとその通りになります。
☆
(2列王5:14)
「そこで,ナアマンは下って行き,
神の人の言ったとおりに,
ヨルダン川に七たび身を浸した。
すると彼のからだは元どおりになって,
幼子のからだのようになり,
きよくなった。」
☆
皮膚病の癒しは,
イエス・キリストもなされます。
(マタイ8:1-4口語訳)
「イエスが山をお降りになると,
おびただしい群衆がついてきた。
すると,そのとき,
ひとりの重い皮膚病人が
イエスのところにきて,
ひれ伏して言った,
『主よ,みこころでしたら,
きよめていただけるのですが』。
イエスは手を伸ばして,彼にさわり,
『そうしてあげよう,きよくなれ』
と言われた。
すると,
重い皮膚病は直ちにきよめられた。
イエスは彼に言われた,
『だれにも話さないように,
注意しなさい。
ただ行って,
自分のからだを祭司に見せ,
それから,
モーセが命じた供え物をささげて,
人々に証明しなさい』」。
※
エリシャの働きは,
祝福といやしの働きです。
この点でエリシャはキリストの型です。
(1ヨハネ1:7)
「神が光の中にいますように,
わたしたちも光の中を歩くならば,
わたしたちは互に交わりをもち,
そして,御子イエスの血が,
すべての罪から
わたしたちをきよめるのである。」
○
エリシャはエリヤから聖霊を受けます。
エリシャの与えられた聖霊の賜物には,
いやしの賜物があります。
(2列王記2:9)
「渡り終わると,
エリヤはエリシャに言った。
『私はあなたのために何をしようか。
私があなたのところから取り去られる前に,
求めなさい。』
すると,エリシャは,
『では,あなたの霊の,
二つの分け前が
私のものになりますように。』
と言った。」
☆
(2列王記2:15)
「エリコの預言者のともがらは,
遠くから彼を見て,
『エリヤの霊が
エリシャの上にとどまっている。』
と言い,
彼を迎えに行って,
地に伏して彼に礼をした。」
○
エリシャの奇跡
(2列王記6:6)口語訳
「神の人は言った,
『それはどこに落ちたのか』。
彼がその場所を知らせると,
エリシャは一本の枝を切り落し,
そこに投げ入れて,
そのおのの頭を浮ばせ,」
エリシャによる預言の働きです。
エリシャは
預言を行なうことによって,
神の業をなすことが出来ました。
神の業をなすことが出来ました。
聖霊の働きを知ることのできた時代です。
このエリシャとその師エリヤの時代は,
奇跡の多いい時代でした。
☆
エリシャは,
紀元前9世紀で活躍した
イスラエル初期の2大預言者の一人で,
預言者エリヤの弟子であり,
後継者です。
○
重い皮膚病の4人による良い知らせ
(2列王7:9)
「そして彼らは互に言った,
『われわれのしている事はよくない。
きょうは
良いおとずれのある日であるのに,
黙っていて,夜明けまで待つならば,
われわれは罰をこうむるであろう。
さあ,われわれは行って
王の家族に告げよう』」。
重い皮膚病の4人は,
食糧がなくて死に瀕していたが,
アラム人たちの空の陣営において,
食糧にあずかりました。
彼らは,イスラエルの町へ行って
食糧があると伝えます。
その知らせは,
町の人々にとって「良い知らせ」
すなわち福音となりました。
「良い知らせ」は,
70人約聖書では,
「ユーアンゲリオン」(福音)
と訳されています。
このとき,副官(王の侍従)は,
エリシャの預言を信じませんでした。
神はこの副官を用いませんでした。
全く希望のない病人を用いて,
この「良い知らせ」を
サマリヤに伝えます。
この4人の病人は,
わたしたちの姿です。
☆彡
(2列王7:1-9口語訳)
エリシャは言った,
「主の言葉を聞きなさい。
主はこう仰せられる,
『あすの今ごろサマリヤの門で,
麦粉一セアを一シケルで売り,
大麦二セアを一シケルで
売るようになるであろう』」。
時にひとりの副官すなわち王が
その人の手によりかかっていた者が
神の人に答えて言った,
「たとい主が天に窓を開かれても,
そんな事がありえましょうか」。
エリシャは言った,
「あなたは自分の目をもって
それを見るであろう。
しかしそれを食べることはなかろう」。
さて町の門の入口に
四人の重い皮膚病人がいたが,
彼らは互に言った,
「われわれはどうしてここに座して
死を待たねばならないのか。
われわれがもし町にはいろうといえば,
町には食物が尽きているから,
われわれはそこで死ぬであろう。
しかしここに座していても死ぬのだ。
いっその事,
われわれはスリヤびとの
陣営へ逃げて行こう。
もし彼らがわれわれを
生かしておいてくれるならば,
助かるが,
たといわれわれを殺しても死ぬばかりだ」。
そこで彼らはスリヤびとの陣営へ行こうと,
たそがれに立ちあがったが,
スリヤびとの陣営のほとりに行って見ると,
そこにはだれもいなかった。
これは主がスリヤびとの軍勢に戦車の音,
馬の音,大軍の音を聞かせられたので,
彼らは互に
「見よ,
イスラエルの王が
われわれを攻めるために,
ヘテびとの王たち
およびエジプトの王たちを雇ってきて,
われわれを襲うのだ」と言って,
たそがれに立って逃げ,その天幕と,馬と,
ろばを捨て,陣営をそのままにしておいて,
命を全うしようと逃げたからである。
そこで重い皮膚病人たちは
陣営のほとりに行き,
一つの天幕にはいって食い飲みし,
そこから金銀,
衣服を持ち出してそれを隠し,
また来て,他の天幕に入り,
そこからも持ち出してそれを隠した。
そして彼らは互に言った,
「われわれのしている事はよくない。
きょうは良いおとずれのある日であるのに,
黙っていて,夜明けまで待つならば,
われわれは罰をこうむるであろう。
さあ,
われわれは行って王の家族に告げよう」。
○○
2.
2列王記14:1-17:41
2つの王国
エリシャの死からサマリヤの没落まで
○
北イスラエル,アッシリヤに捕囚される
(2列王15:28,29)
「彼(ペカ)は
主の目の前に悪をおこない,
イスラエルに罪を犯させた
ネバテの子ヤラベアムの罪を
離れなかった。
イスラエルの王ペカの世に,
アッスリヤの王テグラテピレセルが来て,
イヨン,アベル・ベテマアカ,ヤノア,
ケデシ,ハゾル,ギレアデ,ガリラヤ,
ナフタリの全地を取り,
人々をアッスリヤへ捕え移した。」
イスラエルの王ペカの時代,
イスラエルは
アッシリヤにより捕囚されます。
南王国は存続することになりましたが,
反アッシリヤ同盟の首謀者レツィンは
殺害され,
北王国は一部占領されました。
(2列王15:29,第1回捕囚)
その時ホセアは
ペカを殺害し貢ぎ物を納めたので,
北王国は滅ぼされず余命を保ちました。
(2列王15:30口語訳)
「時にエラの子ホセアは徒党を結んで,
レマリヤの子ペカに敵し,彼を撃ち殺し,
彼に代って王となった。
これはウジヤの子ヨタムの
第二十年であった。」
ペカとレツィンの死の順序
(プルの遠征経路)
については不明です。
○
イスラエル,アッシリヤに滅亡される。
(2列王記17:5,6)
「アッシリヤの王は
この国全土に攻め上り,
サマリヤに攻め上って,
三年間これを包囲した。
ホセアの第九年に,
アッシリヤの王はサマリヤを取り,
イスラエル人をアッシリヤに捕え移し,
彼らをハラフと,ハボル,
すなわちゴザンの川のほとり,
メディヤの町々に住ませた。」
イスラエル(北王国は),
第19代の王ホシェアの時代,
紀元前722年に滅ぼされます。
北イスラエルは,
ヤロブアムがソロモンの子レハブアムに
反逆に加担した
北部10部族からなる国であります。
北イスラエルの歩みは,
神に反した歩みであり,
その結果アッシリヤの捕囚となりました。
☆彡
(2列王記17:1-6)
「ユダの王アハズの第十二年に,
エラの子ホセアが
サマリヤでイスラエルの王となり,
九年間,王であった。
彼は主の目の前に悪を行なったが,
彼以前の
イスラエルの王たちのようではなかった。
アッシリヤの王シャルマヌエセルが
攻め上って来た。
そのとき,ホセアは彼に服従して,
みつぎものを納めた。
しかし,アッシリヤの王は
ホセアの謀反に気がついた。
ホセアがエジプトの王に使者たちを遣わし,
アッシリヤの王には
年々のみつぎものを
納めなかったからである。
それで,アッシリヤの王は
彼を逮捕して牢獄につないだ。
アッシリヤの王はこの国全土に攻め上り,
サマリヤに攻め上って,
三年間これを包囲した。
ホセアの第九年に,
アッシリヤの王はサマリヤを取り,
イスラエル人をアッシリヤに捕え移し,
彼らをハラフと,ハボル,
すなわちゴザンの川のほとり,
メディヤの町々に住ませた。」
○
(列王記17:7,8)
「こうなったのは,イスラエルの人々が,
彼らをエジプトの地から連れ上り,
エジプトの王パロの支配下から
開放した彼らの神,
主に対して罪を犯し,ほかの神々を恐れ,
主がイスラエルの人々の前から
追い払われた異邦人の風習,
イスラエルの王たちが
取り入れた風習に従って
歩んだからである。」
○
北イスラエル王国の滅亡
(2列王記17:21-23)
「主がイスラエルを
ダビデの家から引き裂かれたとき,
彼らは
ネバテの子ヤロブアムを王としたが,
ヤロブアムは,
イスラエルを主に従わないようにしむけ,
彼らに大きな罪を犯させた。
イスラエルの人々は,
ヤロブアムの犯したすべての罪に歩み,
それをやめなかったので,
ついに,主は,
そのしもべであるすべての預言者を
通して告げられたとおり,
イスラエルを御前から取り除かれた。
こうして,
イスラエルは自分の土地から
アッシリヤへ引いて行かれた。
今日もそのままである。」
前721年,
北イスラエルは
アッシリヤ帝国によって滅びます。
北王国崩壊は世界征服の途上ないし,
完成の域にあるアッシリヤと,
それに対応出来なかった,
小国間での政治的必然でした。
だが,ソロモン以後分裂し,
すでに本来の正統的な流れから
逸脱してきたとはいえ,
崩壊が持つ意味は
全イスラエル人にとって,
特になお存続している
南王国にとって深刻でした。
対アッシリヤ政策では,
南北両王国のどちらが
正しかったのかは言いがたい。
しかし,列王記は北王国崩壊の道筋を
極めて明快に記しています。
崩壊は北王国が
主に反逆したことが原因であり,
そのため
神が北王国を捨てられたと
断言しています。
○○