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字源

2022-08-29 13:15:34 | 字源、字音、字義

-------- AUTHOR: itouK TITLE: 「舟」「船」「犬」「狗」「昴」「昂」「楽」「薬」「学」「首」「道」「導」「白」 DATE: 02/24/2008 13:58:00 PRIMARY CATEGORY: 一  漢字、字源を「中国語」で解析 STATUS: Publish ALLOW COMMENTS: 1 ALLOW PINGS: 1 CONVERT BREAKS: 1 CF50_USERNAME:ivory.ap.teacup.com/khanczy/ ----- BODY: ・ ・ ・ 1. 漢字の字源を「中国漢語」で分析する

日本語の訓読みと字形だけで字源、字体を説明する日本の世俗向け漢字論には、中国音への視点が缺落(缺は欠と別字)している。

●「舟」zhōuと「船」chuán  「舟」zhōuは「周」zhōuと同系で、周圍をとりかこんだフネ。 上古代漢語tiogにさかのぼる。  「船」chuánは語源的に右の「㕣」が本来の姿をあらわし、 「沿」yánや「鉛」yán、qiānと同系。  例;朝鮮語「沿海」yeon-hae       「鉛筆」yeon-phil ●「犬」quănと「狗」gŏu  藤堂明保偏『学研漢和大字典』で「犬」quănの上古代音ではk‘uənになり、犬の泣き声の擬音としているが、 一説によると英語hound(猟犬)や独語Hund(犬)などと同系らしい。 「狗」gŏuは語源的に「句」gōu、jù(小さく身体を曲げた様子)から来ており、「駒」jū(小さい馬)、「鉤(=鈎)」gōu(曲がったカギ)と同系。 「狗」gŏuは「小さい犬」から「犬」一般になった。 「佝僂病」gōulóubìngは身体が湾曲する病気で俗称「小儿軟骨病」xiăo'ér ruăn-gŭ bìng。  日本では「拘留(こうりう<~りゅう)」と「勾留」の使い分けがあり、「勾留」を「こう留」と書くと、どちらか区別できない。そもそも、「拘留」と「勾留」を漢字で書き分けること自体、余り意味がないような気がする。 中国で「高句麗」は「高句驪」と書かれ、發音では「句」を「勾」と同音にして Gāogōulíと読むらしいが、 中国では唐代の高句麗を「高麗」Gāolí、 元朝のころの高麗を「朝鮮」Cháoxiānと呼ぶ習慣があるらしい。  中国大陸では「(構>)构」gòu、 「(溝>)沟」gōuと「(購>)购」gòuの右を「勾」gōu、gòuにしている。 また、「講」jiăngは「讲」で音符が「井」jĭngになる。

●「昴」măoと「昂」áng  「昴」măoは「卯」măoを音符とし、「貿」màoと同系列。  「昂」ángは「卬」ángが音符で、「仰」yăngや「迎」yíngと同じ系列。  2002年~2003年ごろ、大連の開發区と青島で、それぞれ、日本語で「昴(すばる)」という名の店があり、中国語で「昂」Ángを名乗ることがあった。 それで青島では「昴」と「昂」の2種類の店ができそうになり、紛らわしいので、あとからできたほうが 「昇」Shēngに改名した。 しかし「昇」は大陸で「升」になるので、簡体字だけのパソコンでは入力できない。 中国人が中国式のパソコンで「昇」を五筆(wŭbĭ、字形による入力方法らしい)か何かで打とうとして、一向に出なかったことがある。中国でも名刺を作る店では繁簡両方を打てるパソコンを準備しているようだ。 ●「樂」lè、yuèと「藥」yào 音樂の「樂」ŋlok―ŋok―io―üe(=ye、чε、拼音yuè) 快樂の「樂」ŋ°lok―lok―lo―l ə(lè) 上古(周、秦、漢)-中古(隋、唐)-宋、元、明-清以降の順。 (藤堂明保=とうどうあきやす編『学研漢和大字典』より)  「楽」の日本語音で「ガク」であるものは北京語でyuèであり、 「音楽」は「音乐」yīnyuèで「楽隊」は「乐队」yuèduì。 「ラク」であればlèになるので「快楽(くわいらく>かい~)」は「快乐」kuàilè、 「楽園」は「乐园」lèyuán。 「口+樂」や「小(心)+樂」のように部首をつけて二通りの漢字にしてもよさそうなものだ。 廣東語では「音樂」はyam-ngok、「快樂」はfai-lokのように、ngokとlokになる。  シンガポールの謝世涯Xiè Shìyá(おそらく華人)が『新中日簡体字研究』で指摘しているが、日本では「樂(ラク、ガク)」を「楽」にして、これを「藥(ヤク)」の音符にも適用して「薬」にした。 その一方で、中国大陸では「樂」を草書から簡体字にして「乐」と書き、形声文字 「藥」yàoは「葯(>药、糸偏を簡略化)」yàoで代用される。 これは「約」yuēの異読にyāoがあるからで、 「紐約」Niŭ Yuē はNew Yorkの音譯であり、廣東語でNau Yök(oの上は¨)と読む。  日本式の「楽」は明祝允明『離騒教巻』にあり(『新中日~』33ページ)、同じく日本式の「薬」は明刊『薛仁貴跨海征東白袍記』にあったらしい(『新中日~』36ページ)。 ●「(學>)学」xué  上古代漢語でɦŏkのような發音。これが以下のように変化した。 ɦŏk―ɦɔk―hio―šüe(=ɕye、ɕчε、拼音xué)、šiau(=ɕiau、拼音xiáo) 上古(周、秦、漢)-中古(隋、唐)-宋、元、明-清以降の順。 (藤堂明保編『学研漢和大字典』より)  「(學>)学」は廣東語でhok、ベトナム語でhoc、朝鮮語でhakになる。  「学生」の發音は日本語gak(u)sei、台湾語hakseng、 朝鮮語haksaeng、廣東語hoksang、 北京語ではxuéshēngになる。  「文学(=文學)」の發音比較 廣東語manhok―朝鮮語munhak 台湾語bunhak―日本語bungaku(「天文学」はtenmongaku) 上海語v ə n ɦ oʔ ―ベトナム語vanhoc 北京語wénxué  「文」の最初の子音は、上古代(周、秦、漢)はmで、隋、唐代にmbになり、宋、元、明あたりからwになった。mの段階で止まっているのが廣東語と朝鮮語と日本語の呉音。mbがbで残ったのが台湾語と日本語の漢音。mbからwに移る途中の段階がvで残るのが上海語とベトナム語である。  「学」の字音には北方漢語の異読で xiáo もあるが、 これは「約」yāoの異読yuē、「角」jiăoの異読jué、 「覚」jiàoの異読jué、「削」xiāoの異読xuē、 さらに「脚」jiăoの音符「却」quèを考えれば珍しくない。 日本語音読みで「ア段+ク」akuであり、古代漢語のakまたはokのような韻母にさかのぼる。 中国で「かぎ(鍵)」を「钥匙」yàoshiと呼ぶのは「中国語」の初歩で習うが、 中国人が「鑰」yàoの簡体字を「钥」にしたのは、 「鑰」の異読でyuèがあるから音符を「月」yuèにしたのだろう。 ●「首」shŏuと「道」dào、「導」dăo  上古代漢語では「首」がthiogで「道」がdogだった。「道」の日本語音「ダウ」は「道」の中国音からで、TaoismのTao-も同じ。「入道」は「にふだう」になる。『タモリのジャポニカロゴス』で「道」を「生首を持って道を歩く」などと解説していたが、これは語源や古音を無視した解釋である。 「首」;頭髪の生えた頭の象形 呉音「シュ」、漢音「シウ」 thiog―ʃɪəu―ʃɪəu―ʂəu(shŏu) 「道」;頭を向けて進む 呉音「ダウ」、漢音「タウ」 dog-dau―tau―tau(dào) (「藤堂漢和」より。巻き舌のʂは漢和字典ではsの下に点で表記)  そして、「道」dàoの動詞形が「導」dăoである。  宗教の「傳道(デンダウ、校正者は傳=デンと傅=フの違いに注意。パソコンで傳=デンがフの読みで出るのもプログラマーの間違い)」と物理学の「傳導」がある。大陸で「導」を「导」にしたのは字音をわかりにくくしている。「導」を「道」で代用し、第三声と第四声で異読を使い分けてもよさそうなものである。 ちなみに中国大陸では「報道」bàodàoという熟語には「道」を採用し、「报道」(簡体字を知らない日本人は校正や植字で「报」を「扱」にしないように注意。文脈から漢字を判断すること)にしている。「報」bàoの略字「报」は手書きで「扱」jíと似ているので惜しい。 参考になるHP(Blog記事) 文字 - 空の手に思いを込めて Google 簡体字 中国 導 道 老子 Y!Blog 「愛」と「親」について、2011年8月2日産経新聞「上海余話 心のない『愛』なんて」 ●「白」系列  「白」は北京語でbái、「百」はbăiだが、日本語音で「白」は「ハク」haku、「百」は「ヒャク」hyakuになり、朝鮮語で姓の 「白」がPaek(慣用表記Paik)、「百済」がPaekche(chは平音)であるように、もとはkで終わっていた。韓国人の 「白」Paek氏は中国でBáiを名乗ることになる。  日本語の「白夜(ビャクヤ)」byaku-yaは例外として、「淡白」や「蛋白」、「関白(クワンパク)」、「腕白」、 「潔白」では「白」が「パク」でpakuになる。「百」も「三百」では「ビャク」 byaku、「六百」で「ピャク」pyakuになる。これらは日本語を学ぶ中国人にとっては難点であり、日本人はどういうときにハ行がバ行やパ行になるか、法則を説明しないといけない。  中国で「百」の異読にbóがあり、「伯」はbăiとbó、「柏」もbăi、bó、bòである。日本のパソコンで「ベルリン」と打って変換すると「伯林」が出るが、中国では「柏林」Bólínで、逆に覚えてしまいやすい。 今なら李白の英語名はLi BaiまたはLi Paiでいいだろうが、 日本の一部の英和辞典ではLi Poを載せており、Li Boもあるらしい。 「白」の異読でboがあったのだろう。これを採用すれば、ベルリンは*「白林」でよさそうなものだ。 ちなみに、英語で李鵬はLi Pengなので、Li Po(李白)と間違えないように気をつけたほうがいい。  また、英語でbok choyが「白菜」の意味で採用されており、これは明らかに廣東語の發音bak choiである。  「白(ハク)」は「珀(ハク)」の音符となり、「珀」は「碧(ヘキ)」の音符になる。北京語で「白」bái→「珀」pò→「碧」bìになる。「白」と似た音で「玉」をあらわすのが「珀」で、さらに「石」を加えた「碧」が青緑色を意味するのは不思議。  色に関して、中国では以下の宝石を色で分類している。 (ruby>)ルビー=紅宝石hóngbăoshí (sapphire>)サファイア=藍宝石lánbăoshí (emerald>)エメラルド=緑宝石lüˋbăoshí (opal>)オパール=蛋白石dànbáishí Y!Japan Y!辞書 Google Wikipedia Wik辞典(=Wiktionary) 中国語方言字音データベース 2008年2月投稿、目次 ----- --------