タザ記

目指せ枕草子。

オリジナル小説 冬烈火 第3話

2020-12-06 23:53:00 | 日記
急いで作ったので打ち間違いあったらごめんなさい。


「俺の戒は・・・」
切り出したのは建樹だった。と、建樹が大きく手を振った。
「ブワッ」大きな音をたてて風が巻き起こった。「風戒(ふうかい)だ。」
すごい。こんなことができるのか。
「建樹すごい!」「かっこいいじゃん!」
鈴望と華日も興奮して言う。
「風って悪くないよな。」建樹がそう言って得意げに笑った。

「私の戒は・・・」
続いては鈴望だ。鈴望が杖を振りかざすと
俺はなんだか暖かいものに包まれている感じがした。疲れが取れていく感じだ。
「癒しをもたらす、祝戒(しゅくかい)だよ!」
すごい。戒はこういうタイプの力もあるのか。
「回復って、なんか鈴望らしくていいね。」
華日が笑う。
「そう?なんか照れるなぁ。」鈴望が言った。俺はただ感心していた。
「次は私だね!」華日が言う。
華日は両手を合わせて何かを呟いた。次の瞬間、眩い光が放たれた。3人は思わず目をつぶった。
「どう?私の陽戒(ようかい)!」
華日が得意そうに言う。
「もうちょい加減できんの?」建樹の言葉にみんなが笑った。
「最後は畑崎だね。どんなやつなの?」
鈴望が俺にきいてきた。
「ああ、俺のか。ええっと、そのなぁ
ごめん、今はまだ見せられないんだ。」
俺がこう言うと、3人は訳がわからないようだった。それもそのはずだろう。
「見せれないって・・・。どういうこと?
華日が俺に言った。俺は答えることができず適当にその場を切り抜けた。




次の日、俺は建樹に呼ばれた。
「なあ、畑崎なんか隠してるだろ。教えてくれよ。」
「いや、隠してなんか・・・。」
「嘘つけ。隠してなきゃあんなこと言わんだろ。」
そう言われると返せない。俺は仕方なく本当のことを言うことにした。
「俺、うまく戒が使えないんだ。」
「はあ?どういうことだ?」
「なんか、思った通りに力を集中できないんだよ。思ってる方向に向かってくれないし。」
「そうだったのか。早く言えばいいのに。」
「いや、なんか恥ずかしいじゃん。みんなあんなうまく使えるのに俺だけなんてさ。」
「・・・。」
「華日たちには言わないでくれ。なんとか出発までには使えるように仕上げとく。」
「おけい。頑張れよ。」

建樹は部屋に戻っていった。
「今にはじまったことじゃねえけどな。」
俺は呟いた。部活のときも、みんなはできるのに自分だけ出来ないことばっかりだった。ここでもそうなのか。まいったな。やっぱり俺には無理だったんだな。







冬烈火のスタート当日、参加者が大門の前に集まっていた。
「いよいよだな。」
「うん。がんばろう!」
俺もそれなりに気合は入れてきた。戒が上手くいかなくても、きっとできるはずだ。
「では、準備はいいな。よーい、始め!」
掛け声と共に門が開きはじめる。参加者は我さきにと前に向かっていく。
「私達も行こう!」鈴望が前に進もうとする。
「待て。」俺は止めた。
「幸界って、どっちの方角だ?」
続く・・・。



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