金、土と失踪してました。すいません。
前回の続きになります。
疲れていた4人はすぐに眠りに落ちた…。
チュンチュン…
「う〜ん…」
俺は鳥のさえずりで目を覚ました。山の中にあるこの宿では鳥の声もよく聞こえる。
「あ、畑崎おはよう。」
華日が先に起きていた。
「ああ、おはよう。」
2人が寝ているので、まだカーテンは閉めてある。やさしい明かりが部屋を満たしていた。
「2人ともまだ寝てるね。」
「相当疲れてたんだろうな。」
「そうみたいだね。2人とも頑張ってたもん。」
「俺たちがここにいるのも2人のお陰だもんな。」
「ねえ、私たち絶対1位とるよね!」
「あ、うん。あたりまえだ!」
そんな話をしていると、鈴望と建樹が起きてきた。
「あ、先起きてたんか。おはよう。」
建樹が目をこすりながら言った。
鈴望は寝ぼけているのかぼーっとしている。
「なあ、朝ごはんってまだ?」
俺は聞いた。急に空腹感が出てきたのだ。
「8時じゃなかった?」
鈴望が眠そうに答える。
「そっか。じゃああと30分ぐらいあるのか。」
その間、俺たちは顔を洗ったり着替えたり支度を済ませた。
「ごちそうさまでした!」
朝ごはんを食べ終え、俺たちは出発の準備を整えていた。
「よし、行くか!絶対1位になってやる!」
建樹はかなりやる気のようだ。旅館を出発する時に主人に声をかけられた。
「この街より先にはもう街はない。しっかり準備を整えて行った方がいいですよ。」
なんということだ。ということはまともに休めるのはこれで最後かもしれないということか?
「大丈夫です!私たち絶対1位とりますから!」
鈴望が自信たっぷりに言う。
「あと、よければこれを…。」
そう言って主人は何かを下から取り出した。とても立派な刀と槍だ。
「え、これくれるんですか?」
俺は思わずきいて叫んでしまった。
「この先は魔物も増えてきます。鈴望さんは杖がありますが、さすがに武器なしでは厳しくなってくるでしょうから。」
「本当にいいんですか?こんなに立派なものを…。」
「ええ。あなたがたには是非健闘して貰いたいですから。」
主人はこう言って笑った。
「すごい物貰っちゃったなあ。」
建樹が呟く。
「これでたいぶ心強いね!」
鈴望が嬉しそうに言う。しかし、これはレースだ。方向が掴めたし、ここからはどんどんペースを上げていく必要がある。
「よし、とにかく進んでみよう。ゆっくりしている時間はないぞ。」
俺たちはとにかく真っ直ぐに進んだ。自分たちはきっとできる、大丈夫だと自信を持ちながら。
続く・・・。
ご覧いただきありがとうございます。1〜5話も是非。