『200万部突破!!』・・・東海林さだおの文春文庫「丸かじり」シリーズ。との赤い帯を巻いた本が今年初めに届きました。積ん読こと7カ月、ようやくの読了です。 (文春文庫「コロッケの丸かじり」)
相変らずの「食べ物」シリーズ。人間、何時でも何処でも必ず必要なも、それが「食べ物」ですね。このシリーズも27巻目だそうです。ボクは内16巻を読了。
◆まず巻頭で「ビーフン」についての一言。しかし、最近「ビーフン」って言葉自体をあまり聞きませんね。ボクは子供の頃に時々食べた記憶があります。今もスーパーの棚には乾燥ビーフンが並んでいます。それを戻して、色んな具と炒めると下の写真のような焼きビーフンが出来ます。ところで、日本人は、米の国の人なのに米で出来ているビーフンが最近どうしてこんなに冷ややかな扱いになったのかを作品では考えます。
(焼きビーフン)
そして、本質にたどりつきます。「農業国だった日本人は腰を非常に大切にする。鍬をふるって大地を耕すには腰がすわっていなければならない。相撲も腰が大事だ。うどん、そうめん、中華そば、いずれも腰がないと日本では評価されない。ビーフンにもう少し腰があればよかった」のだと。この辺が如何にも東海林流解釈ですね。
◆続いてボクの好きな「ハヤシライス」が、なぜカレーのように大衆を獲得できないか?についての考察です。
(ハヤシライス)
日本人なら一度はハヤシライスを食べたはず。日本人にあまねく知られているハヤシライス。なのにハヤシライスをメニューに載せている店が少ない。たしかにそうなんです。ボクはこれが好きなんだけどホントにお店が少ないです。
その理由を東海林氏の分析によると「・・・これがどうにも要領を得ない味なんですね。決してまずくはないのだが、うん、これこれ、この味、という決め手がない。これだけは主張したい、ということが見えてこない。肉汁をよく煮詰めて作ったドミグラソースの美味しさはよくわかる。玉ねぎやマッシュルームなどの野菜のダシもよく出ている。トマトの酸味とケチャップ風の甘味もある。ワインやマディラ酒の風味もほのかに感じるハヤシのソース自体も美味しい・・・牛肉の薄切り肉も確かにおいしい。ハヤシにはいろんなおいしい要素がいっぱい詰まっている。・・・」それぞれは美味しいけどグサグダと要領を得ない味のハヤシライスにはまさに要点がない。
カレーライスだったら「辛いです」と、ひと言、きっぱり。ハヤシとビーフシチューはよく似ているが、ビーフシチューのほうは、「ようく煮こんだ牛肉の塊の美味しさです」とずばり。
ここに於いて、“ハヤシライスは何を主張したのかよくわからないという疑惑”というものが発生した。・・・この疑惑を解明するため、衆議院の特別委員会にハヤシ君を参考人として呼び出し、質問人とハヤシ参考人の国会質疑風な掴みどころのない、まさに要点を得ない国会風景的な描写でもって、明確な結論を得ないお話となってこのハヤシライス問題は意味不明で終っています。(ちょっと不満)
こんなことを書いていると話は前にすすまなく、最終的にこの本をすべて移さねばならなくなるので、以下簡潔に進めます。
◆馬鹿鍋のお話。横浜市野毛町の「浜幸」の馬鹿鍋のお店が紹介されています。
(馬鹿鍋)
ご覧の通り、馬肉と鹿肉を半々に入れ、玉ねぎ、ねぎ、豆腐、ゴボウ、クズキリ、麩などが入ったすきやき風の味付け鍋料理です。「馬鹿タレが馬肉と鹿肉とによく合ってなかなか馬鹿にできない鍋」となっているそうです。
なお、このお店の箸袋の隅「当店はあの浜幸とは全く関係ありません」。「あの」がいいね。東海林流ですね。
◆杏仁豆腐のお話。杏仁豆腐といえば中国料理店でデザートとして出てくるあれですよね。最近あまりお目にかかたことが無いけど・・・と思いつつ読んでいると、コンビニの棚にプリンやヨーグルトやゼリーのカップと一緒に並んでいるとのこと。ボクは早速コンビニへ走りました・・・ありました!。
(カップ入り杏仁豆腐)
本格中国料理店の杏仁豆腐の高貴な姿やその香り、味覚を東海林氏風に述べコンビニ杏仁豆腐との違いの大きさはを語っておられるが、この作品を読まずともこのコンビニ購入のカップ入り杏仁豆腐を一口頂くと、即了解できますよ~。
◆次に、お雑煮の悲運のお話。お雑煮は日本人としてこんなに素晴しい食べ物を作っておきながら、年に一度のお正月だけしか、食卓にあがることのない不運を嘆き悲しんでいる東海林氏の姿が目に浮かぶ傑作のひとつです。
(お雑煮)
◆次に、チャンポン麺のお話を講演風に物語っています。
(チャンポン麺)
今や、ラーメンは全国的に圧倒的なブームを呼び、テレビ等でもその話題が出てこない日はないという盛況ぶり。それに引き換え、同じ中華麺仲間のチャンポン麺は長崎でのマイナーな存在になってしまったことを心から嘆いておられる東海林氏のチャンポン麺講演です。
先を急ごう!
◆本書の題名になっているコロッケのお話。いきなりコロッケパンで話は始まります。ボクはまたまた近所の焼き立てパン屋さんへ・・・買って来ました。
(コロッケパン)
コロッケパンのコロッケはなぜパンに浅く腰かけているのか・・・という姿から、いつでもどこでもコロッケが堂々と振舞っているのを見たことがない。というお話に展開。
定食屋のコロッケ、立ち喰いそば屋のコロッケそば(そんなのあるんですか)もしかり。コロッケはお惣菜の世界で負け組に入っているというのが東海林氏のうんちくでありました。(これも面白いお話)
◆最後のご紹介は、佐世保バーガーへの想いが綴れています。ボクはこの佐世保バーガーとい存在そのものを今回まで知りませんでした。
(佐世保バーガー)
終戦後、基地の街、佐世保で米軍兵士を相手に売り出され、やがて郷土食として定着したそうです。その後テレビでも紹介され、各地で売り出されているそうですね。その大きさが先ず第一の特技。直径18㎝、高さ8㎝。パンを鉄板にのせて焦げ目をつけ、ハンバーグを焼き、ベーコンを焼き、ちょっと黄身をくずした目玉焼きを焼いて、チーズ、トマト、玉ねぎ。レタス、そしてマヨネーズ、ケチャップたっぷりのハンバーガーだそうです。これだけ書けばあとは東海林氏特有の表現でもってこれを食する風景が実に愉快に綴られています。
そのはかに、元首相行きつけの焼き鳥屋さんのお話や鰻丼の立ち喰い、バイキングのマナーも面白かったです。とにかく「食」にまつわるエッセー作品今回は全35話。それぞれがなんとも味のある文章に東海林氏のステキなイラストが添えられて、もう一話一話がひとつの料理になっていて、ページをめくるたびに違う味が口の中に広がります。そのまま本ごと食べてしまいたくなる530円の満腹本でした。
おいしそうです。
佐世保バーガーは テレビで見ました。
おいしそうですが 食べるのに苦労しそうですね。
おいしそうな ブログ ありがとうございました。
ごめんなさいね、なんだか催促したみたいで、
佐世保バーガーの食べる光景が面白く描写
されています。
ままは絵で描写するけど、作家は文章で描写
だよね。どちらも表現力+創造力かな~
東海林さんはこのバーガーを一口噛んで、あたり
一帯が混乱を極めたんだって。そして
「人間は混乱を目のあたりにすると、とりあえず秩序の維持を目指すが、それが不可能と知ると・・・・」と述べています。
コメントありがとう。
凄いボリュームですね~
私には、絶対食べられないけど
だから、余計に見てるだけで幸せになれます。
佐世保バーガーって、これなんですね?
コレはかぶりつけないです(^^ゞ
ナイフとフォークがいりますね( ̄ー+ ̄)キラッ
「丸かじり」シリーズを初めて知りました。
食に関する本って買った事が…あっ、レシピ
本は買ってるかな(笑)
それにしても本当に美味しそうな写真ばかり
で、一瞬 本の事も忘れちゃいそうです^^;
因みに佐世保ガーガーは食べましたよ♪
私の住む町に長崎の方が地元料理中心の可愛
いレストランを開業 その時に長崎ちゃんぽん
や佐世保バーガーも^^v
1度目に苦戦した私は2度目からは先に切って
小分け状態にしてもらいましたです(笑)
あっ、長々と余計なコメで済みませんです--;
これから食欲の秋を迎えます、しっかり
三度の食事を召しあがって元気を出して
素敵な今年の秋が送れるよう願ってます。
佐世保バーガー、「つぶしながら食べる」
そうですよ。ごちゃごちゃになるでしょうね。
コメントありがとう。
知識とはあまり関係ないですよ。
週刊朝日に連載されている
「あれも食いたい、これも食いたい」という
シリーズが初出誌のものを本にまとめた
ものです。
いろんな料理のレシピ的な内容もあり、
勉強しながら笑える本ですよ。
佐世保バーガー、小分けしたら駄目ですよ(笑)
コメントありがとう。
面白そうですね
今日は久しぶりに外で遊んできました。
だいぶ爽やか。
また蒸し暑くなるみたいだけど・・・・
コロッケパンいいかも~
パン作りブームが続いているうちに
コロッケ作ってコロッケサンドかコロッケパン作ってみようかな~。
あ、うちは妙にお雑煮食べたくなる時あって
お正月に限らずお雑煮食べてます。
静岡はお雑煮醤油味です。
岡山はどうですか?
一度京風白味噌のお雑煮食べてみたいです。
食べ物の話は尽きませんね
こんなに沢山の料理の写真撮ったのですか。
すごいです。
このシリーズはとにかく全て「食」が
テーマですから、興味はあります。
面白い本です。ボクは寝る前に気分を
ほぐす目的で毎日一話読んでます。
コメントありがとう。