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くもわ、10丸シートⅡ

2022-04-17 11:46:51 | 学習

算数がわからない、といえば『「%」わからない大学生』(光文社新書:芳沢光雄 著)にもあげられている「く・も・わ」や「は・じ・き」の図の弊害があります。これらは、「割合」や「速さ」の問題の答えを導くために用いられるものです。

 

小学校の算数の教科書には載っていません。中学校の数学の教科書に「参考」として載っていました。(令和3年時点)

 

算数をわかりやすく学ぶためのホームページでも用いられています。

しかし、私も芳沢先生の考え方に賛同します。受験算数などのためには有用かもしれませんが、「割合」や「速さ」の理解に結びつかないと考えます。

 

 

「く・も・わ」では、どれが「比べられる量」か「もとにする量」なのか分かる子にとっては、便利でしょう(教える側も)。しかし、そもそも、「比べられる量」という言葉に躓いてしまう方が自然かもしれません。しかも教科書によっては、「比べる量」となっています。

 

「比べるって、何と比べるのか」「AとBを比べるときに、AはBと比べられるし、BだってAと比べられる」・・・。と考えてしまう私のような子もいるような気がします。

 

問題が、いつも「Aをもとにすると、比べられるBは、何%か」と、指摘してあれば、式に当てはめられますが、そんなうまくは行きません。

 

ある教科書では、「割合」の単元の指導の前に、低学年で学習したはずの「倍」の復習にページを割いています。「倍」の考え方の延長に「割合」があるのだという編集者の丁寧な意図が感じられます。

 

算数は、具体的なイメージ(ものの数や量)を抽象化した数(数字)として扱うと考えられますが、具体的なイメージそのものが抜けてしまうと、単なる公式主義となってしまいかねません。

 

 

さて、10丸シート、次の段階です。

 

形は前回と変わりません。ただ、黒丸が5つ固定されています。それは、「5+○」の有効性を知らず知らずのうちに身につけてもらうための意図が入っています。

 

また、問題数を20問にしました。

 

【10丸シートⅡの例】(※PCでの閲覧推奨)

  • の数を( )の中に書きましょう

 

1 ●●●●● ●○○○○ (  )

2 ●●●●● ●●●○○ (  )

3 ●●●●● ○○●○○ (  )

4 ●●●●● ○●○●○ (  )

5 ●●●●● ○○○●○ (  )

6 ●●●●● ○○○○● (  )

7 ●●●●● ●○●○○ (  )

8 ●●●●● ○●○●● (  )

9 ●●●●● ○○●○● (  )

10 ●●●●● ●○●●○ (  )

11 ●●●●● ○●●○○ (  )

12 ●●●●● ○○○●● (  )

20

 

 

これも、1枚1枚、時間を計って取り組ませます。そして、同じようにすぐに採点し、合っていれば100点をつけてあげます。同じ問題を3回程度繰り返し、頑張ったことを認めてあげます。

 

間違えたところは、チェックしておきます。単なるミスだったのか、その子の癖や認識の仕方の偏りなのか見極めることが必要です。


10丸シート

2022-04-15 14:06:43 | 学習

算数がわからない子は、自分自身、何がどう分からないのか、きっと分かっていません。教える側も、分からないのは、どうしてなのだろう。自分の説明が悪いのかと、迷路に入り込んでしまいがちです。

 

何番目とか順番としての数を認識している子に、いくつ分として数の認識で算数(ここでは、計算)を教えようとしても、理解させることは難しいでしょう。

 

そこで、順番としての数(序数)の考え方を「いくつ分」としての数(基数)に変換させる練習として「10丸シート」なるものを考え出しました。

 

過去、担任した小学3年生、4年生、5年生の何人かに試して効果を得たと確信しています。ですから、ブログで公開しようと思ったのです。

 

基本的な考え方は、数概念の変換を図るものなので、取り組む子にとってハードルが高いものでは敬遠されてしまいます。ですから、できるだけ短時間で、ゲームのように取り組むことができるものとして考えました。

 

「ちょっと、簡単なゲームに取り組んでくれないかな?」などと声掛けして取り組ませます。

 

具体的には下記のようなものです。

 

【10丸シートの例】(※PCでの閲覧推奨)

  • の数を( )の中に書きましょう

1 ●●●○○ ○○○○○ (  )

2 ○●○●○ ○○●○○ (  )

3 ●○●●○ ○○○○○ (  )

4 ○●○●● ○●○○○ (  )

5 ●●○○○ ●●○●○ (  )

6 ○○●○○ ○●○●○ (  )

7 ●○●○● ○○○●○ (  )

10

(最初は10問)

 

上記の例を見ていただけるとわかるように、10個の丸が並んでいます。そのうち黒丸の数をかっこの中に記入させるのです。やり方を説明したら、ストップウォッチを持って「よーい、スタート」で始めさせます。初めてのときは、やり方を間違えていないか本人も不安でしょうから、2~3問まで教えるなどして補助してあげてもいいでしょう。

 

1シート(10問)やらせてみて、かかった時間を記入し、一つ一つ、合っているか赤ペンで丸をつけてあげます。きっと、全部正解ですから、大きく100点を書いてあげるのです。「頑張ったね!」「丁寧だね。」など、その子に合わせた声もかけてあげるのが大切でしょう。

 

思ったより時間がかかっていると感じても、そのことには触れません。

さらに、「じゃあ、もう一回やってみようか?」と、同じシートをもう一回やるように促します。

 

一回目より、時間が短縮できていれば、「お、速くなったねぇ。やり方が分かった?」など、本人の表情を確認しながら声をかけます。私の経験では、大概ニコッとしてくれました。簡単ですぐに終わりますから。

 

たった、これだけのシートですが、順番としての数(序数)から、いくつ分としての数(基数)の転換が始まりかけるのだと、私は考えています。ただ、「始まり」ですから、だんだん、シートの丸の並びを工夫してレベルアップさせていくのです。