珍客（？）の来客、

　先日、珍しく俺の事務所に顧客の来客（？）があった。
　俺はほとんどが顧客のとこに行くから、俺の“こ汚い”事務所に人が来ることはそうない、というか、めったにない。
　でも、そこの社長は、以前も俺の事務所に来てくれ、ま、それも、その会社が社長の自宅だからということで、落ち着いて話すとこがなかったりで俺の事務所に案件のたびに来る。

　そういや、別の顧客で、こちらから訪問したとこは、社長の“自宅、民家”が会社の住所で、その社長が（年配の、気さくな女性なんだけど）寝室を事務所にしてるから、と、寝室に案内され（笑）、その一角にある机で書類にハンコを押したりした。
　「会社」とイメージしてオフィスビルなどを想像してても、そういうとこもある。
　自宅の居間だったり食卓で書類にハンコ押したり、難しい打ち合わせをしてるとこに子供が駆け回ってきたり（笑）、兄弟でケンカしてたり（笑）、それを社長がなだめたり（笑）、あるいは、猫がヒザの上に乗ってきたり（笑）、会社によって“事務所”がそういうとこもある。
　それでも、当然こちらとしては“仕事”さえできればなんの問題もない（たまに問題があることもあるけど（笑））。
　そんな顧客の事務所についてのネタもいろいろある。

　・・あ、で、冒頭の、先日の来客。
　ピンポーンと鳴り、俺が事務所のドアをあけると、社長がなかなか入ってこない。
　ん？、と思ってると、ちょっと見えた社長、なにやら金属の黒いフレームみたいなのを抱えてて、それをどう俺の事務所のドアから中に入れようか四苦八苦してた（笑）。
　え、なに？、何やってるの？、と思ってると、全体が見えて、社長が抱えてんのが「自転車のフレーム」だとわかる。

　で、あいさつもそこそこに、「これ、持ってみて」と社長。
　俺も言われるままに持ってみた。
　軽い・・！！
　結構骨太なフレームだったから重いだろうとウデに力を多少入れてたのが拍子抜けしたようになった。
　カーボンの黒い、ツヤ消しのカッコいい、スポーティーなタイプの競技用のような自転車のフレームだ。
　で、「買ってきましてん」と自慢げに社長。
　まだタイヤもペダルもついてなく、チェーンもだらーんとなってて、ハンドルやサドルはすでにあるけど、あとはかろうじてブレーキがあるくらい。
　・・な、なんでこんなものをここに？、と思うも、クルマで来た社長、クルマの外側の後ろ（ブレーキランプとかがあるとこ）にそのフレームを専用のフックにひっかけて乗せて来たものの、駐車場に停めてそのままだとさすがにとられるかも、ということで俺の事務所まで持ってきたそう。

　持ってきたのも驚いたけど、さらに驚いたのは「なんぼやと思います？」と聞かれてのその値段。
　俺は「・・２０万くらいっすか？」と答えるも、その倍、“４０万”だそう（笑）。
　俺は思わず、「もう道楽っすね・・」と唖然（笑）。
　
　で、今回も社長は俺への案件の書類に押印のために来てくれたんだけど、押印やら手続きの説明やらは２０分そこそこ、あとはその後１時間以上は自転車の話（笑）。
　なんでも、社長、トライアスロンをしてるとかで、体も鍛えてて、日々トレーニングもしてるよう。何十キロも自転車でこいだり山道を走ってるんだそう。
　そういう世界の話も聞いて、そして自転車について熱く語る社長・・奥が深い。
　ここでは書ききれんくらいに興味深かった。
　でも、俺はやろうとは思わんけど（笑）。
　社長も、「おススメは決してしませんけど」と（笑）。社長自身もしんどいなか「なんで俺はこんなことやってるんやろ」なんても思うそう（笑）、でも使う自転車にそれだけカネかけるのもすごい・・。
　それを買ったあとにそのまま俺んとこに来てかついで持ってくるのも驚いたけど（笑）。

　夕方から来たんだけど、社長が「長々としょーもない話してすんません・・」と恐縮しつつ帰るころには外は真っ暗（笑）。
　でも、俺もいろいろ新しく知ることがあって「いやあ、おもしろかったっす」とフレームを抱えて帰る社長を見送る（笑）。

　いやはや、趣味にしても高額な買い物にしても、いろんな道、いろんな世界があるもんだ。
　それで仕事をいくつかもらった（笑）。これも６月早々にやらねば。
　これもまた、おもしろい俺の仕事の一面だ。