士業の事務所について、特に開業時には「事務所を(自宅とは別に)もうけるべきか」、「自宅でもできるものか」というのもよく話題になる。
また、士業に限らず、ホームページ作成の事業や通販の事業などで個人で始める時にも、特に顧客を招かずにできるものなら、最初の経費を浮かせるべく「自宅で」という人も多い。
会社でも社長の自宅を会社の住所としてる人も多いし、ま、事業がそれで支障なくやっていければそれはそれでいいとこもあるかと思う。
士業に関しても、「別に自宅でも全然できる」とも言える。
ただ、現実的には、俺らが「どういうとこでやってるのか」を、顧客の人が見たがる、気にする、よって、こちらの事務所に来所したい、と言われるケースもある。
そういうので、俺の顧客でも、最初は「(俺の方の)事務所に書類持って行きますよ」と来所を希望する人もいる。
俺からは「ご足労いただかなくてもこちらからおうかがいしますよ」とは言うんだけど、顧客がそういうこちら側の事務所を見たいという意図があるのも知ってるから、顧客がそう言ってくる場合はご足労願って来所してもらうこともある。その後、2回目、3回目とその顧客に会う時には俺から訪問したりもするんだけど、最初は、まずはこちらに来所したいと言う人もいる。
まあ、その顧客(社長)自身が外をよく回ってるからとか、(俺の事務所の)近所をよく知ってるから、ということで来てくれもするんだけど、俺もそこまで立派な事務所ではないだけに、内心、顧客の人が来てくれるにあたっては気が引けるとこもある(笑)。
でも、一応は座って面談できるだけのスペースはあり、狭い事務所でも、今はひとりだしそれが俺の現状なんだから、そこも開き直って「こんな事務所です」と言うことにしてる。
しかし、それで俺の事務所に来てもらい案件が断られたこともないんで(笑)、特に問題ないと感じる。
むしろ、それでも一応でも俺個人の事務所をもっててそこに顧客を招いて打ち合わせもでき、案件をもらい、信用もしてもらったろうし、それでよかったと感じる。
開業するとか移転するとかで、事務所について考えるのは誰しもぶつかるポイントでもある。
家賃は当然として、その立地や環境、間取りなどは、そら、ぜいたく言ったらキリがない部分でもある。
打ち合わせはレンタルスペースでとか、喫茶店で、という人もいるかもしれんけど、俺個人としては、せっかく自分で開業したなら、せめてボロっちくても(笑)自分の“城”、職場は確保したいと思う。でも、そう思ってても予算や状況がそれを許さないこともある。それで間に合わせのレンタルスペースとかレンタルオフィスとか、打ち合わせも近くの喫茶店で、という人もいるんだろう。それもわかる。
もちろん、「打ち合わせ」、「仕事」ができればそれでいいとこもある。
でも、案外、俺らへの依頼を前提に考えてる人は「この人(俺ら)がどういう事務所でやってんのか、自分で開業してるならどういうとこか」というのは、やはり暗に気になるとこでもあるよう。
依頼する方としては、喫茶店などで打ち合わせするにも、こちらへのイメージや事務所自体のこともイメージできんかったり、周りの人もいて話を聞かれることにも当然抵抗もあったり騒がしいこともあったり、落ち着かなくもあるだろう。そんなかんじでの打ち合わせでは、顧客の人も安心できんだろうし、「この人、大丈夫かいな?」という印象になるかもしれん。紹介されて会うことができた人でも、そういう印象を損ねてては逆にソンでもある。事務所をもうけてないことでそういう現実的なデメリットもあると思う。
こちらとしても事務所について別にカッコつけなくてもいいし、オフィスビルの立派な、キレイな、広い、観葉植物なんかもたくさん置いてある、デスクもいくつかあって従業員もいてそうな(笑)、そんな空間でないといけないこともない(笑)。そういうかんじのとこなら“稼げてる”アピールには有効だろうけど、それこそそういうとこで最初っから見栄を張ってては自滅する。
なもんで、俺はボロっちい居住用のとこを、「事務所(事業用)」として使う大家さんの了解を得て、それで今に至ってやってきてる。応接用のソファーがあるわけでもなく、来客へのお茶も小さな冷蔵庫から軽く入れて出すかんじだし(笑)、それでもせめてもの俺なりの“おもてなし”で来客を迎え入れてる。
さすがにそんな自分の事務所に人を招くのは抵抗がないわけではない、でもほぼこちらから顧客んとこに訪問するスタイルだから、俺んとこに来たことがない顧客も多いし、普段はもはや気にしてない。それでも、前述のように顧客から「まずはそちらに行きます」と来所を希望する人もいるわけで、そんな時は普段来客がない事務所をそれから掃除したりもする(笑)。そんな俺ももはや来客があるからと事務所について今さらカッコつけてもしょうがないわけで、開き直るしかない(笑)。それでも来た人は実際はそこまで事務所自体について気にしてないようだし、そこで落ち着いて話せるかどうかの方が大事でもあるわけで。
でも事務所をもってたら、結果として、家賃は確かに(高くなくても)毎月かかるし、現実的に、そりゃ、自宅でやるより当然カネの面では負担はある。
安くても電気代もネット代も自宅とは別にかかるわけで。
さらには、その部屋用の火災保険とかの保険料も先日払ったとこだし。
まだ事務所も小さいから経費もそうかからんけど、自宅と事務所とで、ひとりで世帯を「1.5世帯」もってるようなもんだ。
それでも、たとえば、事務所には営業も(電話でもFAXでも)来るし、来客があった時に自宅に家族がいたらさらに気を遣うとこもあるから、俺は最初はムリしても自宅とは別に事務所を持っててよかったと思う。そのカネ以上のメリットはあると俺は思う。
資料やファイルやらも増えてきて、自宅の一室でやるにも、そうなればその部屋がひとつ、事業のためにつぶれることにもなる。俺が開業当初から自分で事務所をもとうと思ったのはそれが一番大きい要因だ。自宅も広くはないのに、ひとつの部屋を資料やら書棚やらパソコンやらデスクやらで事務所用で使ってては自宅のモノも収まりきらんかったり、で、前述のような支障もあるんで。
俺も開業前には、事務所についてかつてこのブログでも書いてさんざん迷い、悩んだけど、でも自分が本格的にやるなら、安いとこでも事務所を確保した方がいいとも思え、不動産屋にもムリ言って安いとこを借りることにした。
また、事務所を自宅とは別にもうけることでプライベートと仕事との“オン・オフ”も切り替えられる。出勤こそ、ゆっくりまったりで、自宅から遠くない事務所であれど、「事務所に出る」ということで、事務所にいたら仕事のことへイヤでも意識が向く。別に事務所で寝たりすることもないし(笑)、その応接のスペースでアルコールを飲んだりすることもないし(笑)。事務所にいればなんかしら「やらなあかん」という意識も働くし、たまにはこうやってブログなんかものんびり書いたりもするけど、家族がいる自宅などでは電話の対応ひとつ、顧客の急な来客ひとつにも対応しにくくもなる。
そういうことをトータル的に考えると、やはり事務所を自宅と分けてよかったとは思う。
「事務所で使える」部屋は、一般的に「事業用」でもあるから、敷金やら家賃やらが高い傾向もあると思う。
でも、月に10万以上の家賃なんて、最初はとても出せない。8万くらいの家賃でも高い。駅が近かったりフットワークよく便利なとこはそこまで広くなくてもさらに高いこともある。でも、従業員もいないなら、多少駅から遠くても、自分の机や書棚なんかが置けるくらいの広さでいいし、最初は来る顧客もいないだろうから(笑)、自分の満足のいくレイアウトで自分の“城”を作ったらいいとも思う。
そこで、「居住用」のマンションなどの一室を、当然大家さんからの了解は必要だけど、事務所、事業用として借りられるなら、さらに安価に使えるようになることもある。今の俺がそう。ずっと人が入ってなかった部屋で、「事務所でもいいから借りてくれ」と言われたくらいだから(笑)借りられた。大家さんからすれば、空室で家賃がないより事務所としてでも借りてくれて家賃を得られた方がいいわけで。近所のおばあさま方とも仲良くなれ(笑)、別に周りが騒がしいわけでもないし、一応落ち着いて仕事もできるし電話もできる、そんな俺の事務所だ。
一応でも駅に近いし、でも電車の音や踏切の音がうるさいとこでもないから、今のとこでよかったと今は思う。それで多少なりとも稼げても今のところをすぐすぐ出ようとも思わないけど、いつまでも今のとこで、とも思わない。従業員を雇えるくらいになったら、まあ、ひとりくらいなら今のとこでもまだいけるだろうけど、自分の次のステップとして事務所を別のとこに借りることもそうなってから考えるべきかなという程度。なにより、名刺や封筒にも今の事務所の住所も当然記載してるから、安易に事務所を移転することも考えてないし、その影響もあれこれあるから、ホント、遠い将来に、いつかは、というかんじ。
まずは今自分がいるこの事務所でどんだけやっていけるか、だ。
事務所を構えて自分でやってるという実感もあり、家賃のためにも毎月稼がないといけないという危機感もあり(笑)、まあ、俺は自分で事務所をもってよかったとは思う。
こんなとこでも自分の“城”。今日もそんな俺の事務所に午後から来客がある。
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