小馬太郎兵衛@タコのイカ踊りぃっ!!

ブログの老後をユラユラ楽しむ悦楽ブログって言ったけどさ、もう一発くらい狙ってもいいのかな。やってもいいかな?

リストラに遭うということ

2008-06-11 03:00:36 | Weblog
予めお断りしておきますが、このエントリを持って、秋葉原通り魔事件の犯人を肯定しようという意は全く御座いません。 
どうかその点の誤解の無きよう、予めお断り申し上げた上で、当エントリをご高覧頂ければ幸いに存じます。よろしくお願い申し上げます。

先月末、人員削減の説明=加藤容疑者に派遣工場-静岡(時事通信) - goo ニュース

東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、逮捕された派遣社員加藤智大容疑者(25)が5月30日、派遣先の自動車車体製造「関東自動車工業」東富士工場(静岡県)から人員削減の説明を受けていたことが10日、分かった。

 同社によると、同工場は生産調整に伴い、約200人の派遣社員を50人まで減らすことを計画。同月26日、各派遣元に今月末での契約解除を申し入れた。

 工場内で人員削減がうわさになったため、現場責任者の工長が30日午後3時から、勤務を終えた派遣社員15人をミーティングルームに集め、人員見直しや残業が減ることを説明した。

 加藤容疑者は作業で遅れたため、ここには加わらず、午後3時10分すぎから別の派遣社員とともに同様の説明を受けた。

 工長はだれが契約解除の対象かを把握しておらず、話していないというが、加藤容疑者と同席した派遣社員は事件後「契約解除の話と感じ取った」と同社に話したという。


このエントリを書いている11日未明現在、このリストラと凶行に及んだ因果関係は全く立証されていない。
もちろん、彼自身にどのような、彼自身に於いての「正当」な理由があったとしても、及んだ凶行の全てが償えるわけでも、ましてや罪が消え去るわけでも断じてないし、当然の事ながら許される事ではない。

これを書いているおいら自身も、決して彼の心の内は分からないし、分かろうとも思いたくもないし、共感を覚えることすら許し難いことだとさえ思う。
決して共感したくはない。
ただ、もし、事件にこのような背景が存在したならば、「やっぱりね…」という、ある種共感にも似た気持ちを禁じ得ないのは、おいらもまたリストラ体験者だからだ。

世間では、簡単に「リストラ」とか「首切り」とか「人員整理」とか、或いはプロの世界では「戦力外通告」という言葉が毎年使われているが、かような体験をされた方も、このご時世かなりの数に上るのではないだろうか。

折角どんな試練にも困難にも、歯を食いしばって頑張った先に、告げられた言葉が、「あなたに2ヶ月後、我が社でご用意できる仕事はありません」という時の心境は、皆さん想像されたことはあるだろうか。
どんな状況か、パニックで突然目の前が真っ暗になりながら、更に「あなたがいくら我々にしがみつこうとも、我々はあなたの上を踏み越えていきますよ」と告げられた時、あなたは正常な心理状態でそのまま面接を続けることが出来るだろうか。

詳しくは、2005年2月21日付エントリ、「会社、辞めます」に綴っているので、そちらも併せてご一読願えれば幸いに存じます。当時は現在ほど多くの方々の目に触れる(今でもその数は大したものではないが)ことがないブログだったし、こちらもそんな意識など欠片もない状態で思いの丈を書き殴っているから、全く同じ状況を今の状態で書くより、格段にあけすけに、赤裸々に書きつづっている。今だったらあんなに怖いもの無しに赤裸々に綴る事なんて、恐れ多くてとてもできたものではない。

勘違いしないで欲しいのだが、こういった話に関しては、自分でもびっくりするほど、かなり左寄りなことを書き続けているおいらも、「事業再構築」という本来の意味から、ただの人員整理の代名詞にまで堕してしまった「リストラ」という事自体は、おいらは全く否定はしていない。会社とて屋台骨を揺るがすわけにはいかないし、人を雇っていくにも相応の限界があるからだし、個人事業主、いわんやプロスポーツの世界など一寸先は闇。いつどこでお払い箱になるか分かったものではないし、ましてや仕事を請け負って生計を立てている人達からすれば、己の身体と技術が生き残る術そのものなのだから。

この容疑者にも、派遣でリストラされそうな時、受け皿になる間口が、容疑者にも、そして世間にも残っていたら、この容疑者もこのような凶行には及ばずに、細々と仕事をして生きて行けたかもしれないのに、現状は悲しいかな、ゲスな言葉と何度も何度も書いているが、「勝ち組、負け組」でしか物差しが無くなってきているような気がしてならない。決して「そんな社会が悪い」というわけではないが、彼自身にも、世間にも、リストラをも受け流すほどの間口が存在すれば、このようなことは、ひょっとしたら起きなかったかも知れない。
「年収ウン百万円」或いは「公務員」という響きだけが世間の「勝ち組」だとするならば、我々のように必死になって社会にしがみついて捲り一発を夢見る大多数の「負け組」の存在は、即座に消えて無くなればよい…とこの容疑者が思ったかどうかは分からないが、それだけがこの先を生きてゆく上でのボーダーラインだとするならば、こんなに生きにくい世の中などないだろう。

かくいうおいらも、いくら冗談半分とは分かってはいながらも、酒の席で「○○は公務員だから金持ってそうだよ」という言葉だけで「電話番号横流ししてくれ」と、餌を目の前に置かれた犬のように反応する輩を見ては、これ以上飲めぬ酒を無理矢理飲んでやさぐれることの多いこと多いこと。外見と金だけが判断基準なら、性格も理想も何も必要はない。

一つ間違えれば、リストラなど、どこにでも転がっている話。
あなたはそのような話が来た時の想像が出来ますか?

リストラは決して「負け組」ではないし、してはいけない。例え今現在のみを切り取った中での「勝ち」「負け」が存在していたとしても。
そのような間口が、あなたの中にはありますか?

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2 コメント

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いつも不安。 (Fumi)
2008-06-12 21:50:05
自分はリストラにあう事はないけれど、何か問題が起きたときは、自分の責任。
三年分の生活費を常にプールしているけれど、それでも不安。

東横インクラブカードの審査に落とされたり(退職して1年後)、三菱UFJ信託銀行のローン審査で蹴られたりした時には負け組だなーって思った(笑)。

小馬氏の言うとおり、リストラにあうって事は、会社と自分との条件が合わなくなったってだけの事なので、イコール負け組ではないと思うけど、リストラにあった後どうするかで決まるのかも。
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自営業の皆さんは (小馬太郎兵衛)
2008-06-12 23:31:56
たえずその不安と背中合わせだからねえ…。

世の中、「リストラ=負け組」というレッテルが貼られてやいないかと。
確かにリストラされる憂き目にあって、所帯持ちはこんなに困ることはないのは確かなのだけれども、誰もがもしかしたら通らなければならない道だとしたならば、あまりにも「リストラ」という言葉に対して冷たすぎやしないか…と思っちゃったりするわけですよ。
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