全知全能の神は、昔の人間に必要だったから作られた道具だ。
今は、昔ほど必要とされてない。
遠くない将来、もう一度必要になる時が来る気がする。
そのとき人間は、科学と矛盾しないリニューアルした神をやすやすとでっち上げるに違いない。
しかし、神が最初に発明された時にそうであったように
「これは、人間が生きるために必要だから作った道具だ」
とは決して言わないし、神が必要だと感じているうちはそんなことを夢にも思わないだろう。
のみならず、神を「この目で確かに見た」と言う者さえ、あちこちから競うように出てくるだろう。
そういうしたたかな欺瞞性が、人間の変わらぬ特徴なのだ。
遺伝子のプログラムの中に、この強靭な欺瞞性が最初から組み込まれているに違いない。
ちなみに、全知全能神の原型は我妄想だ。