映画
『コンフィデンスマン/ある詐欺師の男』
映画の冒頭、主人公の非常に印象的な独白がある。
「同じことを繰り返していたら、人は一生変わらないままだ。
変えようとしない限り何も変わらない」
これが映画の中で何度か出てくる。
エンドロール直前のラストにも生き残った主人公の娘が独白する。
「同じことを繰り返していたら、人は一生変わらないままだ。
変えようとしない限り何も変わらない。
何それって感じだけど、毎朝目覚めるたびに、その本当の意味を考えてる。
変わろうとしない限り、人は変われないから」
映画は凡作、このセリフだけが輝いている。
すべての人間は、動物として生まれた時の初期設定がそうなっているので、必ずそのように死ぬしかない、自分で設定値を変えた人間以外は。
変えようとしない限り何も変わらない。
欲望というものは、人間の一生を徒労に終わらせる。
さあいよいよ死ぬというその瞬間になれば、(認める気さえあれば)誰でも自分の一生によって、このことを痛感する。
というのも、欲望のプログラムは、いまや死なんとする個体を、役立たずのものと見限って、
欲望から自由な認識
を、その瞬間初めて彼(彼女)に許すからだ。
どんな欲深い人間でも、死ぬ前には、それまで気づけずにいた存在の意味に卒然として目覚めかける。
残念ながら、その直後に何もできず死ぬのだが。
すべての人間は、動物として生まれた時の初期設定がそうなっているので、必ずそのように死ぬしかない、自分で設定値を変えた人間以外は。
変わろうとしない限り、人は変われない。