哲学日記

谷崎潤一郎「人面疽」

 

朗読:谷崎潤一郎「人面疽」


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 この特異な小説「人面疽」は、まるで現代の最新AIテクノロジーを前提として作られた映画用シナリオのノベライズのようだ。そこが気になって、いささか調べてみた。

 

谷崎の映画製作に対する情熱と天才は本物だ。戦前の映画黎明期に自ら(主にシナリオとコンテ書きとして)参加した4本の先駆的映画製作に全身全霊を傾けた。しかし、谷崎の映画人としての才能は、十二分にあったにもかかわらず、様々な時代的制約に阻まれ具現化しきれなかった。一言でいうなら、少し早く生まれ過ぎたのだ。谷崎はやむをえず映画への情熱と才能のすべてを小説の中に注ぎこむほかなかった。かれの天才はここで変則的だが見事に開花した。だから谷崎の以後の諸作品のほとんどが、映像化と強い親和性を持つのは、決して偶然じゃないのだ。

 

この「人面疽」は、今こそ映画化されるに相応しいとおもう。現代の最新AI技術を待って初めて完全な映像化が実現できる内容だからだ。

(ちなみに、1983年に「人面疽」の劇中劇(あやめ太夫と物乞いの物語)のみを「華魁」の題で映画化されてる。1983年の動画加工レベルでは「人面疽」丸ごと映像化はまだ不可能だったからだろう)

 

 

 

 

 

 

 

(My Favorite Songs) 
Janis Joplin "Summertime" (Live -1969)
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