ヒットした短歌: 24件
霜ふかき花すてどころ目につきて南天の実は鈴の赤玉
北原白秋 『白南風』, 1926-1933, 1934
南天は紅つやつやし照る玉の一房が揺れてまたしづまりぬ
北原白秋 『渓流唱』, 0000, 1943
この真昼我楽しめり南天のほのけき花もふふみたらしも
北原白秋 『風隠集』, 1925, 1944
ほのぼのと南天の花咲きしかばひとつきの酒けさはいただく
北原白秋 『渓流唱』, 0000, 1943
やさし手に成りし小兎南天の愛らしひとみものは云はずや
萩原朔太郎 『短歌』, 1903, [1903]
硝子窓の外の面くれなゐの南天に雀動きて冬の日かげる
島木赤彦 『氷魚』, 1916, 1920
墓原の花すてどころ目につきて南天の実の数冴ゆるなり
北原白秋 『昭和2年2月1日「近代風景」2巻2号』, 1927, [1927]
昼ふかき日の照りながらほのぼのと南天の花はいまだふふめり
北原白秋 『風隠集』, 1923, 1944
槙垣にまじりて赤き南天の二えだ三えだ目にしまつりぬ
北原白秋 『夢殿』, 1927-1939, 1939
積藁に南天の実のかげ揺れて子ら騒ぎ出づる日の暮の晴
北原白秋 『風隠集』, 1923, 1944
霜の凍みいたもきびしき土のうへに南天の紅葉はらら散りたる
北原白秋 『白南風』, 1926-1933, 1934
南天は雨もみぞれも沁み入らぬ朱のこちたさを歎くみづから
与謝野晶子 『太陽と薔薇』, 0000, 1921
田舍屋の南天垣の實を並めし赤けに目につくたそかれにして
伊藤左千夫 『[左千夫全集]』, 1905, [1905]
那智の山南天の箸手にしつつ眼にうかべ見る家びとの數
窪田空穂 『冬日ざし』, 1940, 1941
追補 千勝三喜男「現代短歌分類集成」より
二つ三つ咲きてはすぐる南天の白か花房まど近くあり
今井邦子『紫草』
北原白秋は植物に愛情をこめた短歌を作っていますね。「墓原の花すてどころ目につきて南天の実の数冴ゆるなり」は、ちょっともの寂しい風景ですが、そのなかに立つ南天を非常によくみていると感じ入りました