北風小僧の貫太郎

北風小僧★新発売★貫太郎

喪失感?

2013-06-16 17:29:42 | 小説
ホームに下り立つ

日本では見られないかなり広い構内

列車が横一列に7,8台の車両が見える

おそらく少人数で郊外に向かうのだろう

どことなくかわいらしい車両がまるでバスの発着場のようでもある

一番左の車両を彼女が指差し

「これっ!この列車に乗るの。そうすれば無事目的地にたどり着けるわ。」

きっと本人は微笑んで言っているつもりなのだろうが

健康的な性格がそれ以上に笑顔が弾けるように見える

これは、目的地にたどり着くには他の駅で乗り換えていくのかな?

ドアを見ると中近東の黒い衣装の若い女性が乗ろうとしている。

「ううん。乗り換えなくてもいいの、寝てる間にでも着くわ。」

えっ?躊躇すると

「いいから早く乗って!そうしないと列車が出発しちゃうよ。」

急かされるが

違う、目的地への列車は出発したんだ

確認しているし、それに同じ目的地なのに、違うホームから出ることはないよ

他の車両も確認してみよう!ひょっとしたら目的地まで乗換えで行ける車両があるかもしれない


喪失感?

2013-06-16 15:56:04 | 小説
彼女は一体どこへ連れて行ってくれるのだろう?

アドレナリンが出ているのか、多少ではあるが自分で興奮しているのがわかる

思い切り鼻から息を吸い込んでみる

彼女の上品なきっと柑橘系の香りがくるだろう

ん?まったく匂ってこない

もう一度息を鼻から大きく吸い込んだとき

埃っぽいディーゼルのような匂いにスパイスが混じっている

アジア特有の雑踏の匂い

さらに傾いた夕日が突き刺す