店によってビルを出ると、土砂降りだった。
傘は持ってるけど、隣のビルに入るのに差したくない。
屋根と屋根はつながらず、隙間がある。
多少濡れても、走り抜けるか?
ふと、エスカレーターが目に入る。
ここ、下りると、地下でつながっているんだよ。
土砂降りだし、気づいたから、下りた。
あんまり通らない道なので、下りた後「あれ? どっちに進むんだ!」と思った。
スタスタではなく、おろおろと歩き出す私。
後ろから女性が降りてきていたし、ついていけばいいのでは!
むしろ、その女性、私見てついて来たぽいんだよね……なんか、そう感じた。
こっち見て、やはり、歩き方がおろおろなんだよね……。
たぶん、同類。
そんな匂いがした。
まぁ、通なので間違ったら引き返せばいいから、なんとなく進んだら、そうだった。
後ろの女性も、こっちに来た。
その歩みが迷いなくなっていたのは――私と同じ状況のような気がするのだった。
道があるって知っていても、使わないと忘れる。