「後期印象派・ポール・セザンヌ 1839-1906 年」~口語短歌と写真で綴る「世界文化紀行」
2022-01-15 06:31:43
近代絵画の父と呼ばれ、20世紀絵画の扉を開いた後期印象派を代表する画家です。
独自性に溢れた革新的な表現方法によって絵画を制作、「印象派より永続的で堅牢なものを」と、造形的な画面の構成に力を注ぎました。セザンヌは静物画や風景画を好み、これらの画題で幾多の作品を残していますが、肖像画や自画像、水浴図に代表される作品でも優れた作品を手がけています。1880年代以降はエクスに戻り、プロヴァンスの風景画、人物画、静物画、水浴画など、後にセザンヌを代表する作品を制作することに専念しました。1890年代後半から次第に評価を得るようになり、晩年期には高額で絵画が取引されるようになりました。
「リンゴとオレンジ1895-1900年オルセー美術館(パリ)」
口語短歌
「不自然に 果物水指 配置され 安定感と 調和の世界が」
「りんごとオレンジ」はセザンヌの静物画のなかでもっとも華やかで迫力ある作品で、セザンヌの代表作です。不自然に盛り上がったテーブルの上に、これまた不自然に果物と水指が配置されており、白いクロスの幾何学的なジグザグのラインが全体の構図に調和と安定感をもたらしています。一見すると不安定な構図にもかかわらず、見る物に不思議な安定感と調和を感じさせるのは、単に色彩の統一感によるものではなく、画面の中の幾何学的な要素が安定感のある配置で組み込まれているためです。
「アンブロワーズ・ヴォラールの肖像1899年プティ・パレ美術館(パリ)」
口語短歌
「ヴォラールに 不動の姿勢 要求し 姿勢が崩れ 酷く叱責も」
アンブロワーズ・ヴォラールは、19世紀末から20世紀初頭の画商です。セザンヌの他にもピカソ、ゴーギャン、ゴッホなどの画家を援助し、世界に知らしめました。パリのラフィット通りにある小さな画廊、初めてでセザンヌの個展を開いたのが、モデルの画商ヴォラールです。セザンヌはリンゴと同じようにモデルに不動の姿勢を要求し、ヴォラールは忍耐強く、この肖像画のために実に150回以上もポーズをとらされた上、ポーズ中に居眠りをして姿勢が崩れると「リンゴは動かない!」と酷く叱責されセザンヌはこの絵を投げ出して帰ってしまったと後に著書で書いています。
「女性大水浴図1898-1905年フィラデルフィア美術館」
口語短歌
「描かれた 想像上の 楽園に 三角形の 配置意識も」
描かれているのは想像上の楽園。楽園に裸体の女性が集まっている様子が描かれており、左右に木々が描かれています。雲や青空も描かれています。セザンヌがイメージした「地上の楽園」はこんな様子だったのでしょう。構図としては三角形の配置を意識して描かれています。セザンヌは「近代絵画の父」と呼ばれるように、絵画の見たまま描くよりは構図を意識して配置して描きました。セザンヌが画家として初めて作品に取り入れて描き、ピカソなどの後世の画家にも継承されました。このように絵画をただ見たままに描くのではなく、作品の構図をきちんと考えて描いたのがセザンヌでした。「水浴図」にも、セザンヌのこだわりが沢山詰め込まれています。
「サント=ヴィクトワール山1900年エルミタージュ美術館」
口語短歌
「正面に 迫るような山 描くとき 色彩による 遠近感を」
この作品は晩年の少し前に描かれたもので、丸みを帯びた輪郭線が特徴的です。また、サント=ヴィクトワール山が遠景ではなく正面に迫るような迫力で描かれている点も、この作品の大きな特徴です。画面下の中央にはやはり丸い輪郭で農道が描かれており、輪郭線によってこの道の険しさを表現しているかのようです。セザンヌは構図や陰影ではなく色彩によって遠近感を表現しようと試みましたが、この作品はまさにその集大成と言えます。
参照
https://media.thisisgallery.com/works/paulcezanne_04
「2021年軽井沢レイクガーデンに咲いた薔薇たち」
「エル・ディ・プレスウエイト」2021年8月7日撮影
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