恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

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茶倉譲二 続編ハピエン~その7

2016-03-23 07:53:03 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。 

☆☆☆☆☆

以前予告した譲二続編のハピエンです。

譲二続編のスパエンは京都に、ハピエンは兵庫県の姫路城に行きます。

スパエンのヒロイン好みの内容に対して、ハピエンは譲二さんがとっても楽しんでる。

姫路城エピは譲二さんらしさが出ていて、私的には好きな話です。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二 続編ハピエン~その7
〈譲二〉

百花ちゃんをバルコニーに誘ってみた。

おくれ毛をなびかせて、彼女は歓声を上げる。


百花「わあ…ここからだと、夜景がさっきよりももっとキレイですね」

譲二「外に出ると、景色が近くなったような気がしない?」

百花「はい! こうしてみると、手が届きそう…」


百花ちゃんは夜景に向かって手を伸ばした。

俺はその手を取った。


そして、クロフネを閉店した日に百花ちゃんに言ったことを覚えてるか尋ねた。


譲二「夢ができた、って言ったでしょ」

百花「はい」

百花「もちろん覚えてます。ずっと気になってました」

譲二「昔の俺の夢はね…たくさんの思い出が詰まった吉祥寺で」

譲二「喫茶店のマスターをやることだったんだ」

百花「じゃあ、その頃の譲二さんの夢は叶ったんですね」

譲二「うん、そうだね。…あと…今の夢はね…」


軽く深呼吸すると、百花ちゃんの瞳を真っ直ぐに見て言った。


譲二「思い出が詰まった吉祥寺で、大切な彼女とクロフネを再開させること」

百花「譲二さん…それって」


俺は決意を込めて数字を口にする。


譲二「2年」

百花「え?」

譲二「…2年、待ってて」

譲二「2年で茶堂院グループを立て直して、戻ってくる」


(必ず戻って来るから…そして)


譲二「今度こそ、自由の身になって…吉祥寺に、クロフネに」

譲二「百花ちゃんのところに戻ってくるから」

百花「譲二さん…」

譲二「2年経ったら、必ず迎えに行くから」

譲二「だから、それまで…」


百花ちゃんは両手で俺の手をぎゅっと握りしめた。

ぎゅっと握りしめたまま…クロフネで…俺をずっと待ってくれると言ってくれた。

その言葉は俺の胸を熱くした。


『待ってます』…そう言ってもらえるとは思ってた。

だけど、百花ちゃんを一人残していく俺への恨みごと一つ言わずに、待っていてくれるというその健気さがとても嬉しかった。


百花「私…待ってますから」

百花「吉祥寺で…クロフネで…あの場所で、譲二さんのこと」

譲二「うん…ありがとう」

譲二「こんな口約束だけでごめんね」

百花「いいんです…この約束があれば、2年間がんばれるから」


目をうるうるさせて百花ちゃんは俺を見つめてくれいてる。

それは俺も同じだ。

百花ちゃんとの約束さえあれば、どんな困難だって乗り越えてみせる。

だけど…。


譲二「俺の方が…百花ちゃんに毎日会えなくて辛いかも」

百花「そんなこと…」


クロフネで再会して分かったことだけど、女の子はちょっと会わないうちにあっという間に成長してしまう。

俺のほうが大人だ大人だと思っていても、いつか大人になった百花ちゃんに頼りない男だと思われてしまうかもしれない。

それに…。


譲二「うかうかしてると、他のヤツに取られるかもしれないし」

譲二「とりわけ…あの商店街には、たくさんライバルがいるからね」


不思議そうに百花ちゃんが聞き返した。


百花「ライバル?」

譲二「そう。強力で大切なライバルたちがね」


みんな、百花ちゃんのことが大好きなんだよ。

俺は彼らに決して負けてないつもりだけど。

百花ちゃんの気持ちが揺らいでしまったら…俺にはどうしようもない。

その俺の不安な気持ちを打ち消すように、百花ちゃんはしっかりと俺の手を握って誓ってくれた。


百花「どんな人が来ても…私、ずっと譲二さんのこと待ってます」

百花「そして、私も頑張ります。譲二さんと並んでも恥ずかしくない人になるために」


そんなふうに言ってもらえてすごく嬉しい。

本当は俺なんか、そんなすごい人間じゃないんだけどね。

でも、俺もそんな百花ちゃんにふさわしい男になれるように、努力し続けるよ。

 

その8へつづく


茶倉譲二 続編ハピエン~その6

2016-03-22 07:33:49 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。 

☆☆☆☆☆

以前予告した譲二続編のハピエンです。

譲二続編のスパエンは京都に、ハピエンは兵庫県の姫路城に行きます。

スパエンのヒロイン好みの内容に対して、ハピエンは譲二さんがとっても楽しんでる。

姫路城エピは譲二さんらしさが出ていて、私的には好きな話です。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二 続編ハピエン~その6
〈譲二〉

レストランで食後のコーヒーを飲んでいる。

百花ちゃんは夜景をうっとりと眺めていた。


その柔らかな眼差しを見ながら、ここを予約して正解だったなと思う。

ネットで色々と調べた甲斐があった。


(百花ちゃんはちょっと大人びた雰囲気のレストランに憧れていたものね)


譲二「今日は疲れさせちゃってごめんね」

百花「でも、すごく充実してました」

譲二「そう?」

百花「やっぱり歴史のことを話したり、見たりしてる譲二さん、素敵です!」


百花ちゃんは満面の笑みで断言する。


百花「前に『魅惑の三国志展』に連れて行ってもらった時みたいでした」


うわぁ。今回もやっぱり子供みたいにはしゃぎ過ぎてたのか。

歴史のことになると周りが見えなくなるクセをなんとかしないと。

そんな俺を呆れもせず、許してくれる百花ちゃん。


百花「だけど…たまにはああいう子供っぽいところも見たいです」


10歳も年上なのにちょっと恥ずかしい。

恐る恐る聞いてみた。


譲二「頼りないと思わない?」

百花「そんなこと思ったことないです。譲二さんは、いつも大人だから」


そして、百花ちゃんは頬を少し染めながら言った。


百花「少し…っていうか、もっと可愛い部分を見たいです」


俺の可愛い部分か…。

百花ちゃんのこと、ついこの前までは小さい女の子だって思ってたけど、いつの間にか…俺が思うよりずっと成長してた。


(こんなに、百花ちゃんにドキドキするつもりなかったんだけどな)


その7へつづく


茶倉譲二 続編ハピエン~その5

2016-03-21 07:35:44 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。 

☆☆☆☆☆

以前予告した譲二続編のハピエンです。

譲二続編のスパエンは京都に、ハピエンは兵庫県の姫路城に行きます。

スパエンのヒロイン好みの内容に対して、ハピエンは譲二さんがとっても楽しんでる。

姫路城エピは譲二さんらしさが出ていて、私的には好きな話です。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二 続編ハピエン~その5
〈譲二〉

白鷺城をバックにして立つと、百花ちゃんを呼んだ。

彼女の腰に手を添える。


老人「はい、撮りますよ」

譲二「お願いします」


自然と俺に寄りかかる体勢になった百花ちゃん。

身体が強張ってるみたいでぎこちない。


譲二「百花ちゃん、緊張してる?」

百花「ちょっとだけ…こんなふうに写真を撮ることってないから」


(なんて、可愛いんだ!)


譲二「ははっ、旅行に来たのも初めてだしね」


カメラを持つご主人の隣では、老婦人がニコニコしている。


老人「はい、撮れましたよ」


譲二「ありがとうございました」

老女「お2人とも、仲よくね。よい旅を」

百花「ありがとうございます」


老夫婦は程よい距離をとりながら、2人で歩み去った。


(いつか俺たちもあんな夫婦になれたらいいな~なんて)


ちょっと照れながら百花ちゃんの方を見ると、彼女も2人の後ろ姿をじっと見ている。

時計を確かめてみた。


(さてと…そろそろ予約の時間だな)


譲二「百花ちゃん、そろそろおなか空かない?」

百花「あ、そう言えば…」

譲二「じゃあ行こっか」


そっと彼女の手を繫いだ。


百花「この辺にお店あるんですか?」

譲二「泊まるホテルの近くにね」


(今から移動したら時間的にもちょうどいい)


彼女の柔らかな手をしっかりと握って、歩き出した。

 


その6へつづく


茶倉譲二 続編ハピエン~その4

2016-03-20 07:29:51 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。 

☆☆☆☆☆

以前予告した譲二続編のハピエンです。

譲二続編のスパエンは京都に、ハピエンは兵庫県の姫路城に行きます。

スパエンのヒロイン好みの内容に対して、ハピエンは譲二さんがとっても楽しんでる。

姫路城エピは譲二さんらしさが出ていて、私的には好きな話です。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二 続編ハピエン~その4
〈譲二〉

天守閣の回廊を一通り巡って外に出た。


百花「ほんとに見応えありますね」

譲二「一日じゃ足りないでしょ」

百花ちゃんはこっくりと頷いた。

本当は四季折々の姫路城の姿を2人で見たいところだけど、それはまたいつか来よう。



姫路城に来た時にはいつも写真に残してあるスポットがいくつかある。

同じ場所からの写真ではあるけど、来る度に季節も天候も違うから城は毎回違う表情を見せてくれる。

まして、今回は平成の改修後なので、より白鷺城らしい優雅な姿を見せていた。

ちなみになぜ姫路城が白鷺城と呼ばれるほど白いかというと、屋根の瓦の間に漆喰を塗っているからなんだ。

姫路城のように瓦部分に漆喰を塗ってあるのは全国の城でも珍しい。

しかし、この白さも漆喰にカビが生えていくことで、徐々に黒ずんでいく。

今回の改修工事では漆喰に防カビ剤を塗ってあるので、3~5年は白さが持つらしいが。

つまり、この白鷺城本来の白さを実感できるのは今だけなのだ。



そんな説明をしながら、姫路城の写真を撮っていると、百花ちゃんにそっと袖を引かれた。


譲二「どうしたの?百花ちゃん」

百花「あの…一緒に撮りませんか?」

百花「譲二さんと2ショットって持ってないので…」


あ、そっか…。そう言えば、そうだよね。

クロフネで写真を撮る時は、大抵俺がカメラマンだし、2人で出かけた時も歴史的な建物の前に立つ百花ちゃんを撮ることが多かった。

だから、待ち受けは百花ちゃんだし、俺の机の上には百花ちゃんの写真も飾ってある。

だけど、2人一緒に撮った写真というのは持ってなかったな。


それにしても…俺と一緒に写った写真が欲しいだなんて…。

なんか…可愛いな。

そして、そんなふうにねだってもらえて、すごく嬉しい。


百花「だめですか?」


上目遣いに甘えるように尋ねてくる。

本人は無意識なんだろうけど、この仕草もいつも好きなんだよね。


譲二「いいよ、一緒に撮ろう。誘ってくれてありがとう」


そんな会話をしていると小天守で出会った老夫婦のご主人が「よかったら私が撮りましょうか?」

とニコニコしながら声をかけてくれた。

俺たちのやり取りをさっきから見ていたみたいだ。

その言葉に甘えて写真を撮ってもらうことにした。

その5へつづく


茶倉譲二 続編ハピエン~その3

2016-03-19 07:32:14 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。 

☆☆☆☆☆

以前予告した譲二続編のハピエンです。

譲二続編のスパエンは京都に、ハピエンは兵庫県の姫路城に行きます。

スパエンのヒロイン好みの内容に対して、ハピエンは譲二さんがとっても楽しんでる。

姫路城エピは譲二さんらしさが出ていて、私的には好きな話です。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二 続編ハピエン~その3

〈譲二〉

週末になった。


譲二「百花ちゃん、こっちだよ」


百花ちゃんはパンフレットを手にして俺の後を小走りでついてくる。


百花「さすがに広いですね」


彼女が追いつけるように歩む速度を少し緩めた。


譲二「有名な城って、たいていは焼失しちゃってるものが多いんだけど」

譲二「姫路は天守とか櫓が江戸時代初期に建てられた状態のまま残ってるんだよね」

百花「江戸時代から…」


江戸城は明暦の大火で天守閣が焼失している。

だから時代劇によく出てくる江戸城の天守閣のショットは大抵姫路城が使われている。

そんなうんちくを話しながら、百花ちゃんを連れてまわる。


何しろ姫路城は広い。


天守閣だけでも大天守と小天守が三基もある。

それらは渡櫓によって環状に繋がっている。

それが青空を背景にそびえ立っている。



まずは入り口から白壁の菱の門をくぐる。

時間が無い時は『いの門』『ろの門』『はの門』をくぐって天守閣を目指すんだけど、今日はじっくりと見て回れるから菱の門からすぐに左手に折れた。

こちらは千姫ゆかりの西の丸・化粧櫓を巡る西の丸ルートなんだ。


建物の見どころを説明しつつ、順路にそってぐるぐると歩き回った。

小天守の展示物を説明していると一緒に展示物を見ていた老夫婦に「いやぁ、あなたの説明は分かりやすいですね。郷土史家の方ですか?」なんて尋ねられるし。

で、一人でしゃべりまくってるのに気がついて、百花ちゃんのことが心配になる。


譲二「百花ちゃん、大丈夫?疲れちゃった?」

百花「そんなことないです」

譲二「ごめんね、俺ばっかり楽しんじゃって」

百花「いえ、譲二さんを見てるの楽しいですよ」

譲二「そ、そう?」

百花「だって展示物のたびに嬉しそうだし」

百花「わからないことがあっても、すごく詳しく説明してくれるし」


うん。いい子だなぁ。

単に、歴史のこととなると一度しゃべり出すと止まらないだけなんだけど。

それをいいように言い換えてくれる。

俺に気を使わせないように、ごく自然に。

本当にいい子だ…百花ちゃんは。

そしてそういうところが彼女を好きな理由の一つなんだ。

あ、ちょっとのろけちゃったかな?


百花ちゃんは、俺の話は「教科書に載っていないものが多いから、聞いていてためになります」とも言ってくれた。

俺の知識はほとんどが雑学なんだけど、その教科書には載らない部分が歴史の最も面白い部分だったりする。

その歴史の面白さの何分の1かでも百花ちゃんに味わってもらえたとしたら、姫路城に来た甲斐があったというもんだ。

ただ広いだけではなく、姫路城には刑部姫や皿屋敷の井戸、宮本武蔵の妖怪退治など、いろんな伝説があって、それを片っ端からしゃべり通しに喋ってしまった。

 

その4へつづく