頼れるみんなの兄貴として、ヒロインと幼なじみたちとの恋愛模様を応援しつつ、自分の気持ちには蓋をして、ちょっと落ち込んでみたり…。
そんなちょっと情けないけどラブリーな譲二さんを王道のいっちゃんルートでウオッチングしてみようと思う。
自分のルートのヒロインにも自分から告白できない譲二さん。
そんな譲二さんが他人のルートのヒロインに気持ちを打ち明けられるわけも無く…。
☆☆☆☆☆
譲二さんの愚痴(一護本編14・15話)~その2
百花「どうしよう…」
桃護「ごめん、百花ちゃん。俺のせいで…」
百花ちゃんと桃護さんは一護にどう説明するか話し合っている。
しばらくして…、桃護さんがクロフネを出ていく気配がしたので、俺はホットミルクを作って百花ちゃんのところへ行った。
譲二「大丈夫? 百花ちゃん」
百花「マスター…話、聞こえちゃいましたか?」
譲二「うん。狭い店だから…ごめんね」
百花「私の方こそ…うるさくしちゃってごめんなさい」
百花ちゃんは瞳を潤ませて…今にも涙がこぼれそうだ。
譲二「とりあえず、座って。ホットミルク飲む?」
百花「はい」
まずは百花ちゃんの気持ちを落ち着かせよう。
百花ちゃんはゆっくりとホットミルクを飲みほした。
譲二「少し話聞いてもいいかな。話したくないことはそう言ってくれて構わないから」
百花「はい…」
譲二「百花ちゃんと一護は付き合ってるの?」
俺は前から気になっていたことを尋ねた。
俺の問いかけに、百花ちゃんは首を振った。
譲二「あれ? てっきりそうかって思ってたんだけど…違うんだ?」
百花「その…まだハッキリそういうことを言われたわけじゃないので…」
譲二「ああ…なるほど…。微妙な時期なんだね」
もう少し進んでいるのかと思ってたけど…。
そうか…。だから、一護が桃護さんのことを誤解して、あんなにフテたりしたんだ。
百花「いっちゃんが私を好きかどうかも分からないし…」
いやいや、百花ちゃんしか目に入ってないでしょ、一護には。
譲二「その辺りは態度を見てれば、一目瞭然だと思うけど…百花ちゃんは?」
百花「え?」
思い切って尋ねてみる。
譲二「百花ちゃんは、一護が好き?」
百花ちゃんが、コクリと頷く。
そうだろうなぁ。
でも、あからさまに肯定されると百花ちゃんのことがちょっと気になる俺としては…。
譲二「そっか。何だかちょっと寂しいなぁ」
百花「どうしてですか?」
譲二「うーん…何だか可愛い娘を取られちゃった気分?」
百花「娘…ですか?」
譲二「うん。それか妹。あー、なんかリュウが妹の心配する気持ちわかるわ」
俺は苦笑した。
譲二「とにかく、俺は百花ちゃんの味方だから、困ったことがあったら、何でも相談して。できる限り力になるから」
百花「ありがとうございます」
譲二「それじゃあ、今日は眠りなさい」
百花「はい…」
百花ちゃんは素直に頷くと階段に向かった。
俺は百花ちゃんの落ち込んだ様子が気になって階段を上がって行く百花ちゃんの後ろ姿に声をかけた。
譲二「心配しなくても大丈夫だよ、百花ちゃん」
譲二「一護は百花ちゃんにメロメロなんだから。」
百花ちゃんは俺の言葉に少し微笑んだ。
百花「おやすみなさい、マスター」
譲二「おやすみ、百花ちゃん」
あーぁ、端から見ていたら、一護が百花ちゃんのことを大好きなのは一目瞭然なんだがな…。
なんで相思相愛なのにこう気持ちがすれ違うかな…。
一護はもう少し素直になれないものか…。
まあ、俺も人のことは言えないか(苦笑)
それにしても、百花ちゃん大丈夫かな…。
人のことばかり気にして、色々思い悩む子だからな。
百花ちゃんのことが気になって…、その夜は俺も寝付きが悪かった。