譲二さんルートとの混乱を避けるため、ヒロインの名前は佐々木美緒とします。
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好きになったヒロインに迷わず告白し、実力行使にでてしまう男らしい譲二さん。
ただやっかいなのは、ヒロインが好きなのは譲二さんではなく、別の男の人だった。そう…、たとえばハル君。
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茶倉譲二: 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
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『紗枝ちゃんの誕生日』の続き
『クロフネ勉強会』その1
〈譲二〉
中間テスト前、恒例のクロフネでの勉強会。
譲二「…ったく、なんでお前らはいっつも俺の店で勉強会するんだ」
理人「だって、ここなら騒いでもしかられないし」
一護「売り上げ貢献してやってるんだからいいだろ」
譲二「…まあ、他にお客もいないしいいんだけど…」
美緒が楽しそうだから、いいか。
時計を見て、休憩にコーヒーと一護の店のケーキを出した。
電話がかかって来たので、その応対をしていたが、勉強会とは思えないほど何か騒いでいた。
〈美緒〉
みんなで勉強会してるとなんだか楽しい。なぜかりっちゃんがリュウ兄に勉強を教えたりしてるけど…。
私もハル君に数学を教えてもらった。
ハル君はスパルタで時間制限付きの問題を出されたりした。
一護君には相変わらず意地悪されるし…。
でも、この前の夜一護君に言われたことが気になって、一護君とはちょっと気まずい。
譲二さんがコーヒーと一護君ちのケーキを出してくれた。
ハル君のチーズケーキがおいしそうと何気なく言うと、ハル君は一口くれた。自分のフォークで…。
これってちょっとまずいよね。
譲二さんを目で探すとカウンターの中にいるみたいだったので、思い切ってパクッと食べた。
剛史「犬の餌付けみてーだな。」
みんなから見るとそう見える?
一護「…美緒。これもやる」
一護君がくれたアップルパイにはタバスコがかかっていた!
いつにも増して意地悪な一護君。
一護「お前がぼーっとしてるからだろ」
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『クロフネ勉強会』その2
〈美緒〉
ハル君に口をゆすいで来るように言われて洗面所に行った。口をゆすいでいると、ハル君が心配して見にきてくれる。
まだヒリヒリすると言うとハル君は私の頬を手で包んで覗き込んだ。
これって、いつも譲二さんにキスされるときと同じ…。私は思わず目をつぶってしまった。
春樹「えっ、佐々木?」
そのままじっとしていると、ハル君のもう片方の手が、肩に置かれた…。
理人「…あのさぁ、いくらなんでもこんなところじゃマズイんじゃない?」
私たちは慌てて跳び退いた。
美緒「り、りっちゃん!?…いつからそこに…」
理人「まあ、いつ誰が来るかわからない中でキスするのって、スリルがあっていいけど」
確かに…、譲二さんはそんなところではキスしない…。
春樹「し、しないって!」
理人「あははっ!ハル君、思った以上にいい反応してくれるね!」
春樹「その…佐々木が、口が痛いっていうから、大丈夫かと思って…」
美緒「う、うん。そうだよ!」
でも、もしりっちゃんが来なかったらキス…してたのかな…。
扉の向こうには譲二さんだっているのに…。
ハル君のことあきらめたって言いながら、私全然あきらめてないじゃない。
春樹「もう大丈夫なら、戻ろう?」
美緒「うん。来てくれて、ありがとう」
春樹「どういたしまして」
ハル君はやっぱり爽やかだ。こんなに爽やかなのは反則だと思う。
みんなはまだ雑談をしている。
剛史君の前を横切った時。
剛史「佐々木、おまえこの頃色っぽくなったな。」
ポツリと言う。
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『クロフネ勉強会』その3
〈譲二〉
やっと電話を切り、みんなの様子に聞き耳をたてる。
剛史「佐々木、おまえこの頃色っぽくなったな。」
剛史「なんかあったのか?」
剛史のその一言で、俺は凍りついた。美緒ちゃんが心配そうに俺を見ている。
竜蔵「タケ、それはセクハラって言うんだぞ!」
一護「こいつが色っぽいわけねーだろ。」
理人「美緒ちゃん、恋をしたら色っぽくもなるよねー。」
りっちゃんのフォロー(?)も打ち消すように、タケがまた言う。
剛史「なんか体も丸みを帯びてきた気がする」
(いや…確かに毎日愛撫してる俺もそんな気はするが…、服の上からしか見てないタケがなんで気付くんだ?)
理人「タケ兄、なんかヤラしい言い方」
一護「甘いもんの食い過ぎで太ったんじゃね?」
美緒「ふ、太ってないよ! 」
春樹「タケも一護も女の子に言う台詞じゃないだろ?」
理人「それより、美緒ちゃんて好きな人いるの?」
美緒「いるよ。好きな人くらい。」
理人「その人案外近くにいたりして」
その言葉で、美緒とハルと一護が固まっている。
理人「…3人とも、なんで固まっちゃってんの?」
(りっちゃんも鋭い。)
理人「こういうのって楽しいね」
なんとか、美緒が色っぽくなった話から話題がそれて、ほっとした。
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『クロフネ勉強会』その4
〈美緒〉
休憩が終わってまた勉強を始めた。
でも、ハル君と一護君に挟まれていると、なんか気まずくて集中できない。
一護君に肘をつつかれる。見ると、ノートの端っこに『七夕祭り行かね?2人で』と書いてあった。
これって…デートだよね。私、どうしたらいいんだろう…。2人っきりなんか、譲二さんは許してくれないよね。
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みんなが帰った後、七夕祭りに行きたいと譲二さんに話した。もちろん、一護君に2人で行こうと言われたことは内緒で。
譲二「七夕祭りかぁ。もうそんな時期なんだね。いいよ、みんなで行っといで。俺は店があるから、美緒を連れて行ってやれないし…」
美緒「譲二さん、ちょっぴり悔しい?」
私は譲二さんの顔を下から覗き込んだ。
譲二「ちょっぴりじゃなく、すごく悔しい。」
そう言いながら、笑った譲二さんはそれほど悔しそうでもない。
この頃2人だけの時は、私が思いっきり甘えているから、ハル君たちのこともそんなに気にならないのかも…。
少し後ろめたい。
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『クロフネ勉強会』その5
〈譲二〉
その夜、美緒の体を優しく撫でながら囁いた。
譲二「タケは時々鋭いことを言うから…。今日は本当にドキッとしたよ。」
美緒「私が色っぽくなったって言ったこと?」
譲二「うん。確かに毎日触れていると、美緒の体つきは女らしくなったって思うよ。胸も少し大きくなった気がするし…、腰も…」
美緒「やだ。それ、太ったってことかな?」
譲二「そうじゃないよ。俺とエッチすることで、女性ホルモンかなんかが出てるのかも。」
美緒「…」
譲二「俺の腕の中で喘いでる美緒はもっと色っぽいけど。」
美緒「……譲二さんのいじわ…」
キスで美緒の唇を塞いだ。
『クロフネ勉強会』おわり
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この続きは『七夕祭りの夜』です。