ハルルートの譲二さんの話の続編
ヒロインと暮らすことができるようになったのに…。
ヒロインの妊娠が発覚。春樹は離婚を認めてくれず、それでも二人を守ろうと譲二さんは決意した。
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決意~その6~その10の続き
決意~その11
〈譲二〉 離婚届を出して、晴れて美緒は1人になった。
しかし、俺と結婚するにはまだ半年待たなければならない…。
それでも、もうハルの妻ではないのだと思うとほっとしている自分がいる。
一時期は、美緒が俺のものになるなんてあり得ないことだったし、美緒との結婚だって考えられないことだったのだから…。
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美緒のお腹はますます大きくなって、何をするにも大儀そうだ。
朝もなかなか起きられないみたいで、すやすやと眠っている美緒の額にそっとキスしてからベッドを抜け出すのが日課になった。
その朝、俺がキスすると美緒は目を覚ました。
美緒「譲二さん…、おはよう…ございます…」
譲二「いいよ。まだ起きなくて」
美緒「…ごめんなさい…。この頃全然…朝食の支度が手伝えなくて…」
譲二「今は体が辛いんだから仕方ないよ。朝ご飯ができたら起こしに来るからね」
美緒「…ありがとう…」
けだるそうな美緒の様子をみると愛しくなって抱きしめたくなる。
そして…できることなら…。
いやいや。
俺は邪念を追い払うと美緒の頬にそっとキスして1階に降りた。
最近、美緒のことがますます愛しくなって、どうしても抱きたいという衝動が増えて来た。
以前そういう気持ちをうまく抑えれていたのは、離婚前で「美緒はまだハルの妻だ」という意識があったためらしい。
その抑えが無くなって、「美緒を抱きたい」という衝動に悩まされている。
そろそろ産み月も近づいているから、今こそ変なことをするわけにはいかないのに…。
美緒の体は変化して来ていて、お腹だけでなく胸も大きくなっている。
ネットで調べてみると胸への刺激もよくないらしいので、本当にキスと抱擁しかできない。
それが尚更俺の欲望を煽っているようだ。
美緒はもう実質的に俺のものなのだから、焦ることはないのにと苦笑いした。
譲二「とにかく。夜は特に気をつけないといけないな、俺の理性が飛ばないように」
気がつくと独り言を言っている。
これからしばらく、夜は別々の部屋で寝るようにした方がいいだろうか?
しかし、美緒に何かあった時に気づいてやれないしな…。
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夜中に体の火照りで目を覚ました。
時計を見ると午前1時。
美緒を起こさないようにそっとベッドを抜け出し、冷たいシャワーを浴びにいく。
部屋に戻って、ベッドに潜ろうとすると美緒に声をかけられた。
美緒「譲二さん…」
譲二「あ、ごめん…。起こしちゃった?」
窓の外の月明かりに照らされた美緒の顔は俺を気遣わしげに見ている。
美緒「譲二さん、…体が辛いんじゃないの?」
この間からの俺の状態を言い当てられてドギマギする。
譲二「い、いや、別に…」
美緒「ねぇ…、こっちへ来て」
美緒は上目遣いに潤んだ瞳で見つめる。
(もしかして、俺を誘ってる?)
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まだ、明け方の薄やみの中、美緒を起こさないようにベッドを抜け出した。
昨夜のことを思い出すと照れくさくて、今の顔は美緒にとても見せられない。
端的にいうと、昨夜美緒は手と口で俺を慰めてくれた。
そして、それは…かなり上手い方の部類だった…。
(あー、今の俺ってまるで初めて男と一夜を共にした乙女みたいだ…)
かなり恥ずかしい。
以前、まだハルの妻だった時にも一度こんなことをしてくれたことがあった。
俺は昔ある女性に弄ばれたことがあって、その女性はこういうことが得意だったので、あえて美緒には教えて来なかった。
だから、その時は自分の教えたことの無い性癖を持った美緒を知って、
「ああ、やっぱりハルの妻なんだ…」と少し落ち込んだっけ…。
あの時美緒は… 美緒『時々ハル君がして欲しがるから』 って言っていたな…。
それが今、俺を慰めるために使われるとは…。
昨夜…最初の体勢だと、美緒のお腹を圧迫するからということで、
美緒を横向きに寝かせて、俺の方がまたがって…って、
…うわぁ思い出すと顔がニヤけて止まらない。
ダメだ!このままだとこの顔を美緒に見られてしまう。
そうだ!
あれだ!
いつもの「昨夜は何もありませんでした~」ていう顔をすることにしよう…。
美緒が起きて来るまでにまだ2時間はある…。
それまでに顔のニヤケを戻すんだ…。
がんばれ! オレ。
『決意』おわり
続きは『ハル』~その1~その4です。