恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

『それは突然の告白から始まった…』

2014-06-08 10:03:28 | ハル君ルートで茶倉譲二

 譲二さんには「女々しい」とか「ヒロインに先に告白させるな」とか「ヒロインをさっさと抱いてやれよ」とかいう巷の声がある。
 で、譲二さんがもう少し積極的でヒロインに手を出すような人だったらという仮定の妄想を考えてみた。それも、譲二ルートではなく、春樹ルートで。
 譲二さんルートとの混乱を避けるため、ヒロインの名前は佐々木美緒とします。



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 好きになったヒロインに迷わず告白し、実力行使にでてしまう男らしい譲二さん。
 ただやっかいなのは、ヒロインが好きなのは譲二さんではなく、別の男の人だった。そう…、たとえばハル君。


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茶倉譲二: 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg


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『それは突然の告白から始まった…』その1

〈譲二〉
 美緒ちゃんとハル。この頃2人は急接近している。

 美緒ちゃんはまだ高校生だし、もう少し大人になってから、俺の気持ちを伝えようと思っていた。でも、このままではハルに先を越されてしまう。そう考えるといても立ってもいられない。

 美緒ちゃんとの間に既成事実を作ってしまい、俺のものにしてしまおう。その誘惑がここ数日どうしても頭から離れない。

 俺はそれを今夜決行しようと決心をした。


〈美緒〉
 みんなが帰り、closeの札をドアにかける。
 マスターにおやすみなさいを言って自分の部屋に入った。
 しばらくして、ノックの音。

譲二「美緒ちゃん…、まだ起きてる?」
美緒「はい。何ですか?」
譲二「ちょっと入っていい?」
美緒「どうぞ」

 私がドアを開けると、マスターは部屋に入り、直ぐにドアを閉めた。

美緒「マスター、こんな時間にどうしたん…」

 私が言い終わらないうちに、マスターは私を抱きしめた。

美緒「マスター?」
譲二「ごめん…。今まで我慢していたけど、どうしても気持ちが抑えられなくて…。」

 私を抱きしめるマスターの手に力が入る。

譲二「美緒ちゃん、俺はずっと前から君のことが好きだった…。
 10歳も年上だし、美緒ちゃんは高校生だし、本当はもう少し美緒ちゃんが成長するのを待ってから告白しようと思ってた…。
 でも、ライバルは多いし、このままだと美緒ちゃんを他の男に取られてしまうと思うと、もう自分を抑えることができなくなってしまった。」

美緒「そんな、マスターが私のことを好きだなんて…。」

 マスターの思いがけない言葉に私は戸惑った。

譲二「美緒ちゃん、大好きだ。俺のことを好きになってくれとは言わない。でも、俺の気持ちを受けとめて欲しい。」

 マスターはそう言うと、私の唇にキスをした。何度も何度も…。その内にキスはだんだん深くなって…。

美緒「…マスター、苦しい。」
譲二「ごめん。逸ってしまって、息ができなくなった?」

 そう言いながらも、マスターは抱きしめるのをやめてくれない。私はさっきの激しいキスに頭がぼーっとしていた。

 もしかして、さっきのは…。私のファーストキス…。
 そのことに気がつくと静かに涙が溢れてくる。

マスターはちょっと慌てた。

譲二「ごめん。乱暴にしてしまって…。泣かないで。」

 そして、私の涙にキスをすると唇で吸い取った。そのまま私の頬に首筋にキスの雨を降らせた。

 キスの合間にマスターは優しく囁いた。

譲二「美緒ちゃん…、大好きだよ。…それに…とってもきれいで…。可愛い…。」


 私はただただ初めてのことの連続に茫然自失で、マスターにされるがままになっていた。

私を抱くマスターの顔は真剣で、今まで見たことがない表情だった。

 マスターが私の中に入って来る時、ハル君のことが思い浮かんだ。
 そして、「ああ、これがハル君だったらいいのに」と思いながら、マスターを受け入れた。

 私はまた静かに涙を流し、マスターはそれを唇で吸ってくれた。




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『それは突然の告白から始まった…』その2


〈美緒〉
 翌朝目覚めると、ベッドに1人で眠っていた。

 昨夜のあれは夢じゃないよね。体は少しけだるく、体の奥にはかすかな痛みを感じた。

 机の上には
『美緒ちゃん。俺を受け入れてくれてありがとう。大好きだよ。
                        譲二』
というメモ。

 1階に降りると、マスターはいつも通りに朝食を用意してくれていた。

 朝食の時はあまりにもいつも通りのマスターに、恥ずかしくて昨夜のことを言い出すことができなかった。
 そして、マスターはいつもと変わらない様子で私を送り出してくれた。


 学校に行って、いつものようにハル君が話しかけてくれるけど、まともに顔を見て話すことができない。

 だって、もう私は昨日までの私じゃないもの…。クラスメイトの女の子たちとは違う。
 私はもう女になってしまった。

 ハル君のことが好きでも、ハル君に好きになってもらう資格はない…。ハル君の優しい目をみたら、私はきっと泣いてしまう。

 いたたまれなくなって、授業が終わるとすぐに学校を後にした。でも、クロフネに帰って譲二さんと顔をあわすのもなんだか気まずい。

 いつもより遠回りをしたり、タコ公園によってみたり、でも結局他に行くところはなくてクロフネについてしまった。


 部活のある剛史君とハル君以外はもうみんな集まって来ていた。みんなと話しているといつもと変わらない。マスターの様子も変わらないので、店をいつも通り手伝う。

 そのうちにハル君と剛史君も来て、とりとめのない話題でもりあがった。

 …でも、やっぱりハル君とだけは目を見て話すことができなかった。

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『それは突然の告白から始まった…』その3

〈譲二〉
 翌日の夕方、みんなが集まり出したのに、美緒ちゃんがなかなか帰って来ない。

 『やっぱり昨日無理に抱いたのが良くなかっただろうか』と心配しているうちに、やっと帰って来た。
 みんなとやり取りする様子はいつも通りで、ほっと胸を撫で下ろした。


 みんなが帰って2人っきりになると、美緒ちゃんを後ろから抱きしめた。

譲二「美緒ちゃん、早く2人だけになりたかった…。」

 美緒ちゃんを振り向かせると、両手で頬を挟んで顔を覗き込む。
 ちょっと困ったような美緒ちゃんの顔。ほんのりと頬が赤い。

百花「マスター…」
譲二「大好きだよ…。」

 俺は熱いキスを繰り返した。美緒ちゃんはもう諦めたのか俺のなすがままだ。
 
 深くキスしながら、愛撫を繰り返した。

 俺の火照りは限界に達して来たので、耳元でそっと囁いた。

譲二「2階へ…いこうか?」

 美緒ちゃんがそっとうなずいた。

 俺は彼女を抱き上げると、階段をゆっくり上っていく。
 美緒ちゃんが俺の首にしがみついた。

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『それは突然の告白から始まった…』その4

〈美緒〉
 今日は私の部屋ではなく、マスターの部屋に入った。
 熱いキスを繰り返しながら服を脱ぎ捨てていく。

 マスターは、
私をじっと見つめた。
 私は恥ずかしくて手で体を隠し、赤くなりながら顔をそらした。

譲二「美緒ちゃん…。とてもきれいだよ。」

美緒「マスター…。恥ずかしい。」

譲二「美緒ちゃん…、もしよかったら、その…、マスターじゃなくて名前で呼んでくれる?」

美緒「…じょ、譲二さん」

譲二「うん、それでいいよ。2人だけの時は名前で呼んで」

 その夜も譲二さんは優しく優しく私を抱いた。

 恥ずかしくて、声を我慢していると譲二さんは言う。

譲二「もっと、声を出していいよ。可愛い声だからもっと聞きたい」

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 譲二さんと初めて結ばれてから、1週間がたった。

 ほとんど毎晩2人だけになると譲二さんに抱かれている。
 はじめは苦しくて、痛いだけだった営みも少しずつ心地よいものになっている。譲二さんに抱きしめられるのも、キスされるのも、肌と肌をあわすのもどこかで待ち望んでいる自分がいる。

(もしかしたら、私は譲二さんのことを少しずつ好きになっているのかな?)

 もちろん、ハル君のことを思い出すと胸がつぶれそうになるので、なるべく考えないようにはしている。

 でも、譲二さんに抱かれている時に、ふとハル君に抱かれているつもりになっていることがある。
 そんなこと、ハル君にも譲二さんにも申し訳ないから、急いで打ち消すのだけど…。


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 机の引き出しの奥、手帳を引っ張り出した。
 その手帳に挟んであるのは、ハル君と一緒に撮ったプリクラ。ハル君と変顔で写った私はとても幸せそうに見える。

 あの頃のことがもう随分昔のことのように思える。ほんの1、2週間くらい前のことなのに…。
 このプリクラと携帯につけた四葉のクローバーのストラップだけがハル君との思い出。

 また、涙が溢れてくる。

 プリクラを元通り手帳に挟むと引き出しの奥にしまった。


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『それは突然の告白から始まった…』その5

〈譲二〉
 あれから毎日のように美緒を抱いた。

 少しずつ体はなじんで来て、美緒も気持ち良く感じることが増えたように思う。俺の腕の中で喘ぐ姿は本当に可愛い。

 無理矢理抱いて、彼女を傷つけてしまったけど、この姿を他の男には見せたくない。

 (あれからもう一週間以上経ったな…)

 彼女を抱いた後、やさしく抱き寄せた。俺は前から気になっていたことを聞いてみる。

譲二「美緒…。無理やり美緒を女にした俺のことを恨んでる?」

美緒「え…」

 あまりにも強引なやり方だったと、少し反省している。自分に余裕がなかったからなんだけど…。
 俺は大きくため息をついた。

譲二「俺は美緒がハルのことを好きなことを知ってる。知ってて自分のものにしたんだ…」

美緒「…」

譲二「美緒のことはずっと前から好きだった。美緒はまだ若いし、一緒に暮らしているんだから、少しずつ俺の方に振り向かせようと思ってた。
 でも、ハルも一護も、りっちゃんやみんなも美緒に気があるみたいだし、このままだと他の男に取られてしまうと思ったら、どうしても美緒を自分のものにしたくなった。美緒の気持ちは無視してね…」

 俺は自嘲気味に笑った。

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『それは突然の告白から始まった…』その6

〈譲二〉
美緒がハルのことを好きだと知っていて抱いたのだという俺の告白に
、美緒は戸惑ったように俺の名を呼んだ。

美緒「譲二さん…」

 俺は思い切って聞いてみた。

譲二「さっきも、美緒は俺に抱かれている時、ハルに抱かれているつもりになってたでしょ?」

美緒「!! どうして?」

譲二「やっぱり…。それぐらいわかるよ…。美緒のことが大好きで、いつも美緒のことを見ているから…。」

 ハルを好きなんだから当然だよな。ほんの一週間俺に抱かれたぐらいで、ハルのことを忘れられるわけはない。

美緒「…ごめんなさい。」

譲二「謝らなくていいよ。もとは俺が悪いんだし…。でも、たとえ美緒に恨まれても、抱いている時にハルを思い浮かべられても、俺は美緒を手放すつもりはないから…。」

 俺は美緒を抱きしめた。
 美緒の体を知って、前にも増して愛しくてたまらない。
 もう、俺には彼女無しの毎日なんて考えられなかった。

譲二「そして、いつか本当に俺のことを好きにしてみせるから」

 必ず、ハルのことを忘れさせる。俺だけを見つめさせてみせる。
 どんなに時間がかかっても…。


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『それは突然の告白から始まった…』その7

〈美緒〉
 譲二さんに「俺のことを恨んでる?」と聞かれた。

 譲二さんを恨む…。
 そんなこと考えたこともなかった。

 突然のことで驚いたし、ハル君のことを思うと悲しくなるけど…、譲二さんを恨んだりはしていない。
 それより、少しずつ好きになっているかもしれない。

 譲二さんは私を抱きしめて言った。

譲二「いつか本当に俺のことを好きにしてみせるから」

 譲二さんの整った顔を見つめる。

 ハンサムでかっこ良くて、頼りがいがあって優しい譲二さん。
 こんな素敵な恋人はいないよね。こんな人がイヤだなんて、贅沢だよね…。

 譲二さんに不満があるとしたらただ一つ…。ハル君ではないということだけ…。



『それは突然の告白から始まった…』おわり


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 『譲二さんに不満があるとしたらただ一つ…。ハル君ではないということだけ…。』

 この言葉って、譲二さんにとっては残酷ですよね。どんなに努力してもハル君にはなれないのだから…。

 このヒロインはハル君ルートのヒロインなので、基本ハル君のことが好きで好きでたまりません。このことがずっと後までこの話の譲二さんを苦しめていくことになります。


 こ
の続きは『秘密のデート』になります。


次回はまた、譲二さんルートの譲二さんの高校時代のお話の予定


『秘密のデート』へ



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