恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

『紗枝ちゃんの誕生日』

2014-07-06 10:00:00 | ハル君ルートで茶倉譲二

 譲二さんルートとの混乱を避けるため、ヒロインの名前は佐々木美緒とします。


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 好きになったヒロインに迷わず告白し、実力行使にでてしまう男らしい譲二さん。
 ただやっかいなのは、ヒロインが好きなのは譲二さんではなく、別の男の人だった。そう…、たとえばハル君。


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茶倉譲二: 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg

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『打ち上げで…』の続き


『紗枝ちゃんの誕生日』その1

〈譲二〉
 今日はハルの妹の紗枝ちゃんの誕生日をみんなでお祝いするからと美緒は出掛けていった。
 俺に気を使って押さえているのだろうけど、嬉しさが顔ににじみ出ている。

 美緒を笑顔で送り出して、俺はまた1人で落ち込んでいた。

 今夜も暗くなっても、なかなか美緒は帰って来ない。
 ハルが送りがてら、美緒と…。悪い想像ばかりが浮かんでくる。

(自分が美緒にそういうことをする男だから、ハルに対しても信用できないんだな)

〈美緒〉
 紗枝ちゃんのプレゼントを買う暇がなかったので、パーティに行く前に一護君の店でケーキを買って持っていった。
 珍しく一護君が店番をしていて、色々と意地悪はいわれたけど、可愛くラッピングしてくれた。一護君も後で来るという。

 紗枝ちゃんは7才になったそうだ。ケーキをとても喜んでくれて、とても可愛い。


 みんなで集まってワイワイしているととても楽しい。

 紗枝ちゃんがハル君にもらった占いセットで遊ぼうと誘ってくれた。
 紗枝ちゃんに何を占って欲しいか聞くと「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになれるかどうか」を占って欲しいという。

美緒「紗枝ちゃんはお兄ちゃんのお嫁さんになりたいんだ?」

紗枝「そうだょぉ!お兄ちゃんてカッコいいし、頭いいし、強いし、優しいし」

美緒「うん、わかるよ。紗枝ちゃんのお兄ちゃん、すっごく頼りになるもんね」

美緒「頑張りやさんだし、人が嫌がる仕事まで引き受けちゃったり…自分が辛いときでも、人にすごく優しくできるし…」

理人「ふーん…」

春樹「あの…さすがに、そこまで言われると俺も照れくさいっつーか…」

 うわっ、みんなに聞こえてた。

美緒「って、みんな言ってるよ。アハハ」

春樹「大げさすぎだろ、俺そんなんじゃねーもん」

 ふと、一護君と目が合った。

(なんだか不機嫌そう。だけど、目をそらされちゃった。何だろう?何かいいたそうだったけど、気のせいかな?)


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『紗枝ちゃんの誕生日』その2


〈美緒〉
 お開きになって、帰る時、一護君が強引に私を送るといってさっさと引っ張っていかれた。


美緒「一護君…どうしたの?あんな急に」

一護「別に。そろそろ帰んねーと迷惑だろ」

美緒「それは、そうかもしれないけど…」

一護「…もうすぐ、七夕祭りだな」

美緒「え?…ああ、もうそういう季節なんだ」

一護「昔、みんなで祭りに行ったの、覚えてるか?」

美緒「うん、覚えてるよ。おっきな笹が飾られてて、出店がたくさんあって…楽しかったな」

一護「あの時、お前迷子になりやがってよ」

一護「みんな必死に探したのに、お前は笹見上げてぼーっとしてたな」

美緒「あ、あれは…あんまり大きいんで、空に続いてるのかなーとか…考えちゃって」

一護「何だそれ」

美緒「子供の考えることなんだもん、仕方ないでしょ」

 あの時、誰かが見つけてくれたよね。誰だったっけ? ハル君?

美緒「あ、でもあの時はハル君が探しに来てくれたんだっけ」

一護「……」

美緒「一護君急に止まって、どうしたの…?」

 一護君の手が伸びてきて、頬に触れる。

(な…何?なんでいきなり…)

一護「…お前、やっぱハルのこと…好きなのか?」

美緒「え…ううん!違うよ!もちろん、幼なじみとしては好きだけど…」

 私は慌てて否定した。

一護「……」

 一護君なんでそんな悲しそうな顔をするの? 一護君の手が離れた。

一護「…やっぱいいわ。やめとく」

美緒「…」

一護「帰るぞ」

美緒「うん…」

 もしかして、一護君も私のことを…? 譲二さんが私を好きだったことも驚いたけど…。一護君まで…。

 ううん。そんなことあるはずないよね。


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 ちょっと心配そうな譲二さんを安心させようと、「今日は一護君に送ってもらったよ」と言った。

譲二「…一護もなぁ…」

 やっぱり不安そうな顔をしてる。

 私は譲二さんを背中から抱きしめた。

「えっ」と驚く譲二さん。なんだか可愛い。

 こんな風に譲二さんのことだけ見つめていられたら…。

 きっとその方が楽しくて、幸せに暮らせるのにね…。


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『紗枝ちゃんの誕生日』その3


〈譲二〉
 やっと戻って来た美緒は、今日も楽しそうだ。

 俺の心の中を見透かしたのか、

美緒「今日は一護君に送ってもらったよ」と言った。

譲二「…一護もなぁ…」

 一護はハルよりもっと積極的だろうから、何かされてないか気になる。

 美緒が突然俺の背中から抱きしめる。

「えっ」と驚く俺の背中で「うふふっ」と美緒が笑っている。

 なんて可愛いいんだろう。

 俺は振り返って、美緒の顔を覗き込んだ。

 この頃、2人っきりの時には時々こんな風に甘えてくれる。

 俺は美緒の唇を奪いながら、このまま2人だけで遠いところに行ければいいのにと強く願った。



『紗枝ちゃんの誕生日』おわり

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この続きは『クロフネ勉強会』です。



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