前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。
久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。
『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。
そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。
航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。
だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。
☆☆☆☆☆
揺れる心~その5
〈譲二〉
実家での仕事が長引いて、慌ててクロフネに帰る。
桃護さんにクロフネを任せるようになって、店の心配は無くなった。
しかし、今度は別の心配が出てきた。
夕方、百花ちゃんが帰って来た時、俺がいないと桃護さんと2人だけになってしまう。
桃護さんは一護の兄だけあって、男の俺から見てもかっこいい。
それに一護よりは手がはやそうだ。
百花ちゃんに限って誘惑されたりしないとは思うが…思うけど、心配なことに変わりは無い。
こんなふうに焦るのなら、最初から桃護さんに頼まなければいいのに…。
そう、自分で突っ込みを入れたくなってしまう。
☆☆☆☆☆
今日も慌ててクロフネに駆け込んだら、すでに百花ちゃんが帰っていた。
桃護さんと2人だけではなく、りっちゃんも一緒だ。
ホッと胸を撫で下ろした。
もしかして、りっちゃんも百花ちゃんを桃護さんと2人きりにしたくなくて、来てくれたのかな?
考えすぎ?
桃護さんは俺に会いに来た客がいると告げた。
百花ちゃんが指し示す方をみると、サラサラの茶髪を肩まで伸ばした細身の人物が座っていた。
誰だろう?
考えてみたが、心当たりはない。
戸惑っていると、その人物が振り返った。
薄い色の瞳は切れ長で、細い眉、薄い唇。
大層美しい人で一見女性のように見えるが、明らかに男性だ。
彼女、いや彼は振り向いて髪を掻き上げると名乗った。
玲「アタシは有栖川玲といいます。今日はクロフネのマスターにお願いしたいことがあって来たの」
譲二「俺に?なんでしょう?」
玲「この店をアタシに譲って欲しいの」
臆することもなく、彼はそう言ってにっこり笑った。
その6へつづく