譲二の勝手に3年後編も今回で完結です。
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前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。
久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。
『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。
そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。
航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。
だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。
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いつまでも~その5
〈百花〉
今日は朝から譲二さんと料理を作っている。
日本に帰ってきた両親がクロフネを訪ねてくることになっているのだ。
床はチリひとつ落ちていないし、テーブルも綺麗に拭きあげ、ハルくんちから届いた花が花瓶に飾ってある。
デザートは一時間前に一護くんが届けてくれて、冷蔵庫に入っている。
譲二さんと一緒に作った料理はほぼ完成し、グリルで焦げ目をつければいいようになっている。
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メールで連絡してくれた時間より、少し早くお父さんたちは着いた。
良子「久しぶりねぇ。クロフネも昔のままで懐かしいわ」
父「そうだね。最後に来たのは吉祥寺に住んでいた頃だからね」
譲二「それは先代の頃ですね。まだ漢字の『黒船』だった頃だ」
百花「お母さんたちが前のマスターの頃の『黒船』に来たことがあったなんて、初めて知ったよ」
父「そうだな…百花を連れてきたことはなかったかなぁ?」
良子「そうねぇ、百花を連れて、一回くらいは来たんじゃないかしら、まだ赤ちゃんだったけど」
百花「ほんとに?」
父「ああ、そういえばマスターに『可愛い女の子だね』って褒めてもらったのを思い出したぞ」
良子「そうそう、マスターはとても喜んでくれたわね」
譲二「先代は赤ちゃんの時の百花ちゃんを知ってるのか。羨ましいなぁ」
(私が『黒船』の頃に来たことかあったなんて、なんだか不思議な気がする)
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食事もデザートになり、寛いだ雰囲気の中、譲二さんがお父さんに話があると伝えた。
父「譲二くん、どうしたんだね?改まって」
譲二「佐々木さん…。僕たちは3年前から、お付き合いをしています」
父「そうらしいね。母さんから聞いたよ」
譲二「僕はつい最近まで、実家の茶道院グループの経営を立て直すために全力を尽くして来ました。かなり厳しい毎日でしたが、ずっと頑張れたのは百花さんの応援と励ましがあったからです」
譲二「この店に帰って来て、グループの仕事とクロフネの営業を両立させるのは本当に大変でしたが、百花さんは店のことも手伝ってくれ、忙しい僕の心の支えにもなってくれました」
譲二「そんな百花さんをこれからも恋人として大切にしていきたいと思っています」
父「そんな風に娘のことを褒めてくれるのはありがたいが、百花はまだ学生だ」
譲二「はい」
父「だから、学業がおろそかになったり、途中で辞めなければならなくなるような、無様なことにはならないよう気をつけてくれ」
譲二「はい、それはもちろん、そのつもりです」
父「君は百花と違っていい大人なんだから、自重するところは自重して欲しい」
譲二「分かりました」
いつもは余裕のある譲二さんが、お父さんの前では緊張しているのがわかる。
それでも、私と視線が合うと譲二さんはにっこり微笑んでくれた。
父「百花のことを頼んだぞ」
譲二「はい、百花さんのことは大切にします」
譲二さんにはいつも大切にしてもらっているけど、口に出して言ってもらえるとなんだか嬉しい。
その6へつづく