頼れるみんなの兄貴として、ヒロインと幼なじみたちとの恋愛模様を応援しつつ、自分の気持ちには蓋をして、ちょっと落ち込んでみたり…。
そんなちょっと情けないけどラブリーな譲二さんを王道のいっちゃんルートでウオッチングしてみようと思う。
自分のルートのヒロインにも自分から告白できない譲二さん。
そんな譲二さんが他人のルートのヒロインに気持ちを打ち明けられるわけも無く…。
☆☆☆☆☆
譲二さんの愚痴(一護本編13話)
放課後のクロフネ、ハルとりっちゃんがいるところに、一護と百花ちゃんがやってきた。
何日かぶりの百花ちゃんの顔を見て、安心する。
なんか元気そうでよかった。
俺はいそいそとコーヒーを淹れながら、みんなの話に耳を澄ます。
話題はカフェの話になり、百花ちゃんは「いっちゃんはカフェに出すケーキの練習をしているんだ」とうれしそうに話した。
百花ちゃんのうれしそうな様子から、一護は一人ではなく、百花ちゃんを助手に練習してるだろうことは容易に想像がついた。
春樹「へえ、一護、ケーキ作りの練習してるんだ」
一護「ああ。やるとなったら中途半端なことはできねぇしな」
理人「いっちゃんのケーキ楽しみだなー」
一護もいつものふてくされた様子ではなく、覚悟のほどが窺える。
ま、百花ちゃんにいいところを見せたいからなんだろうけどね。
理人「ていうかさー。いつの間に、百花ちゃんもいっちゃんって呼ぶようになったの?」
百花ちゃんの顔が赤くなる。
百花「えっと…それは…」
百花ちゃんは助けを求めるように一護を見た。
しかし、一護はわざと気づかないフリでメニューを眺めている。
春樹「りっちゃん、そーいうのはわざわざ聞かない」
理人「えー…やっぱりそーいう関係なの?」
だよね…。好きな男の子と一緒に暮らしてるんだし…。
二人の間はかなり進んでるよね…。
百花「違うよ」
理人「本当? じゃあなんでいきなり呼び方変えたの?」
りっちゃんはさらに追求する。
百花「それは…。ほら、もともと一護ちゃんって呼んでたじゃない? でも、それがどーしてもダメって言われたから…」
理人「それで、いっちゃんになったの?」
百花「そう」
理人「ふうん…」
りっちゃんは納得してないようすだ。
たまりかねたのだろう一護が口を挟んだ。
一護「そんなこと、どーでもいいだろ、理人」
理人「えー、よくないよー。だって大事な百花ちゃんだもん」
りっちゃん…もう、それくらいにしてあげとこうよ…。
やれやれと思いながら声をかける。
譲二「また百花ちゃんの取り合い?人気者だねぇ」
俺の言葉に百花ちゃんはますます真っ赤になっている。可愛い。
百花「マスター」
俺がちょっと浮かれているのには、実はわけがあるんだ。
譲二「みんなに恨まれちゃうかもしれないけど、お知らせ。明後日には床の修理終わるよ」
百花「そうなんですか?」
譲二「うん。だから明後日以降なら戻れるからね」
百花「はい…」
う…。ちょっと残念そう?
春樹「寂しそうだね。佐々木」
ハル、お前もそう思うんだ。
百花「う、うん…佐東家のみんなにはよくしてもらったから…」
一護「けど…直ってよかったな。百花」
百花「いっちゃん…」
一護「ずっとウチじゃ百花の両親も心配するだろうし。早く直ってよかったな」
百花「うん」
ああ、2人だけの世界だ…。羨ましい…いや。とにかく。
譲二「焦らなくていいけど、戻って来る日が決まったら教えてね」
百花「はい」
やっと、やっと二階の修理が終わるよー。長かった。
これでやっと百花ちゃんがクロフネに戻って…きてくれるよね?
少し不安だ。