■1-48 【経営者分析】 ステークホルダーに対する関心度
ステークホルダー、すなわち企業の関係者といいましてもいろいろとあります。そのステークホルダーに対する重要度は、企業の経営理念や経営戦略などにより異なります。その様な状態の中で、最重視している企業が多いのが顧客でしょう。
アメリカ的経営の発想では、株主を重視しますが、大手企業などの資本が入っている企業は別として、一般の中小企業では、同族経営や経営者と関係深い人、社員が株主であることも多く、ここでは省略させていただきます。
顧客につきましては、すでに簡単ではありますが触れていますし、営業管理編で詳細に触れる予定でいます。ただ、直販一本の場合には、売上がある程度安定しますが、売上高の大幅な増加は望めません。代理店経由の場合には、代理店との関係の強さ、信頼度などの関係から経営者としても接触をとる必要があります。
代理店の育成などの計画や、そのプログラムがどの様になっているのか、経営者として指示・命令を出す必要がないほど、充分なのかも判断できるようにしなければなりません。
「利は元にあり」といいますように、経営者として、顧客と共に重視しなければならないのが、仕入れ先でしょう。仕入れ先の状況についてどの程度の知識や情報をお持ちかは、今後の商品戦略面からも重要です。
下請け企業などでは、原材料や部品を支給される場合もありますので、自社調達との比率がどの程度あるのか、それが、仕入原価率にどの程度影響が出ているのかを把握していなければなりません。
仕入の方法も計画発注ができる状態なのか、その比率を高めたり、大量仕入をしたりして原価率を下げることはできないか、逆に、大量発注によるロスは出ていないのか、売上総利益率との関係で、経営者は状況把握をしておくべきです。
仕入れ先との信頼関係ができていませんと、経営環境の急変時に仕入が途絶えてしまうというリスクがあります。信頼関係を一部の社員に任せきりですと、その社員が転職したり、引き抜きにあったり、何か想定外のことが発生したりして、自社での業務を継続できなくなるリスクもあります。その様なことがないように平素から対処しておくと共に、経営者同士の信頼関係も強固にしておく必要があります。
自社の関係者というのは、意外なところにもいらっしゃいます。
某中小企業は、産業用の計測器のメーカーです。自社にサービス部門を持ち、アフターサービスの良さでも知られ、根強い顧客層を持っています。
しかし、中小企業であるために、納入した機器の細かい操作や、そのデータの活用法の支援まで手が届きません。それを補うために、定期的に技術講習会を開いています。
その講習会を受講したある技術士の先生が、ご自身の業務の中に計測機器の高度な活用法のコンサルティングを始めました。
上記のメーカーは、この先生に、その様や業務を委託したわけではありませんが、この先生もステークホルダーの一人といえます。
この様に、ステークホルダーというのは、見えないところにも存在します。これからの企業というのは、ステークホルダーズ・サティスファクション(SS)にまで配慮をしていく時代でのありかたも考えるべきではないでしょうか。