■1-46 【経営者分析】 経営者としての経営管理への取り組み姿勢
問題を抱えていない企業はない
この言葉もしばしば聞きますし、当シリーズでも何度か用いています。
ところが、意外と多くの経営者が、表層的にしか自社の現状を捉えていないような気がします。一方で、自社の問題点をわかっているけど、どのように対処したらよいのかで困っている経営者もいます。
顕在的な問題だけではなく、潜在的な問題までを自社内で把握することは大変なことです。社内にはびこる、人間関係や慣習など、オリのようものが疎外していて、問題を解決できないでいる企業もあります。
中には、自社の問題点もその解決方法もわかっていながら、社内の人材不足や、日常業務に追われ、そちらまで手を回せないでいる企業もあります。
私は、経営コンサルタントとして、初めての企業の経営者とお話するときには、「御社の強味は何ですか?」という質問を投げかけ、そのやりとりの後、「大変失礼ながら、御社が抱えている問題点とは、どのようなものですか?」と問います。
多くの経営者が、スラスラとは回答してきません。ここで、私達経営コンサルタントが知りたいのは、トップの問題発見・課題解決意識のレベルを知りたいのです。
経営理念などを確認すると共に、多くの中小企業が、後継者難で困っていますので、後継者育成に対して、どの様な取り組みをしてきているのか、具体的な候補者は決まっているのか、引き継ぎの計画はどの様になっているのか、これらを確認します。
管理の室を感じ取るために、職務権限に関する規定ややり方も、経営者のレベルを確認するためには必要です。
ものさし主義が、どの程度理解され、どのように進められているのかも企業の経営品質を知る上では大切なことです。ものさし主義が理解されている企業では、「例外処理」に対する管理職の権限についても確認します。「管理職とは、規則を破ることができる人」というお話をして、その真の意味を理解できるかどうかで、その企業の管理のレベルもわかります。
それに関連して、規定類を見させていただき、なぜその規定が必要なのか、現状と共にその規定ができた経緯についても、キチンとした回答が返ってくるのかどうかも重要な質問の一つです。
「経営は数字である」という面源があります。ところが、別項でも触れていますが、計数意識の低い、どんぶり勘定の経営者もいます。
資金繰表の利用度合いは、経営者の計数意識を測定するのに大変有効です。売上高や利益だけではなく、代金回収の状況や支払手形の割引状況など、資金繰りの余裕度測定もさせていただきます。
それと共に、経営計画への関与度や活用度も、その経営者の姿勢やレベルを知ることができます。役員会などを覗かせてもらい、そこではどの様なテーマが、どの様に話し合われているのかを知りますと、役員さん達のレベルを知ることができます。
経営コンサルタントとしては、役員会の開催頻度や議題のレベル・質を知ることも重要です。裏を返しますと、経営計画の進捗状況は、経営者の経営姿勢を見るのに大変便利な方法なのです。
また、経営者が、社員研修ととおに、社員との接触をどのようにしているのかも重要です。時々、予告なしに部門会議を除いたり、社員とパーソナルな会話の機械を意識的に作ったりして、社員からの評価を高めている人もいます。
他の項目とも重複する事項もありますが、攻めの営業も、守りの管理面も経営者にとっては重要です。