■1-49 【経営者分析】 経営者自身の自己啓発
「企業は、経営者の器で決まる」といいます。器が大きいというのは、人間的なスケールの大きさを表現したものでしょうが、その一つが知的な雰囲気といえます。
逆に、知性が前面にですぎますと、嫌味にもなってしまいます。
「知と情」という言葉がありますように、知性と「情け」がバランス良く備わっていることが、人間としての大きさを感じさせてくれるのかもしれません。
企業経営というのは、経営理念実現という「目標」を明確にすることが前提です。人生もまた、「自分の人生をどの様に生きるか」という目標を持つことが、人間性形成に繋がるのではないでしょうか。
そのために、経営者・管理職といえども、「自己啓発」「自己研鑽」は不可欠です。有名な匠が、「終生修行です」というようなことをおっしゃいますが、その言葉を謙虚に受けとめたいと思います。
経営コンサルタントという立場からしますと、【心 de 経営】を、管理会計を取り入れて、論理思考をしながら自分を育てて行って欲しいと願います。
管理会計は、市販書をたくさん買い込んでも、実務に活かすことは困難でしょう。なぜなら、市販書の大半が、アカデミックなアプローチを中心に既述していますので、頭の訓練や知的欲求を満たすということには繋がりますが、本を読んだからといって、実務に使おうと思っても、なかなかうまく行きません。
財務会計を専門としている先生の著書は、管理会計とは何かを理解するのは適しています。しかし、経営コンサルタントなど、管理会計の現場で支援されている先生が、実務に直結した視点で書いた”良書”を見つけ出すことをおすすめします。
管理会計を活用しますと、社内でのコミュニケーションの質が高まり、実践的になります。そのコミュニケーションの効果を上げるためには、論理思考が身についていることが必要です。
論理思考というのは、持って生まれた人もいますが、大半の人は、訓練により、後天的に身に付けることで、論理思考ができるようになります。
論理思考を身に付けるには、ロジカル・シンキングを利用することをお勧めします。管理会計の仕組みをロジカル・シンキング的な発想で創りあげ、ロジカル・シンキング・ツールを使いながら、実務をこなします。
実は、その実践が論理思考を訓練することにも繋がり、わざわざロジカル・シンキングを、時間をかけて、改めて勉強するという、トレーニングにつきものな重圧感なしに、論理思考が身につくのです。
それには、上述のように、管理会計の仕組みがロジカル・シンキングをベースにしていることが肝要です。上述の実務に適した書籍で管理会計を学ぶと書きましたが、ロジカル・シンキングがベースになっている管理会計の実務書が、それに相当します。
しかし、残念ながら、この条件を満たす書籍は、それほど多くありません。セミナーなどを受講して身に付けようと考えても、この条件に即したセミナーが少ないのが現実です。
【心 de 経営】の「心 of 経営=経営の心」というのは、上述の方法が一例です。
「心で経営」、すなわち人間性を重視した経営というのも、上述の「管理会計+ロジカル・シンキング」を「温かい管理」を用いて運用することにより、身に付けることができます。
私は、「重考高盛」ということを「ものさし思考」と共に実践するようにしています。
「重考」というのは、「重い」の「重」ではなく、「重ねる」の「重」なのです。すなわち、「重考高盛」というのは、「考えを重ねる(繰り返す)ことにより、高く盛り上げることができる」という意味になります。
スピードの時代ですので、即決することが求められます。一方で、自己研鑽という視点では、時間をかけませんと、なかなかホンモノの実力として身に付けることは難しいです。
「重考高盛」というのは、「一つのテーマを、時間の間隔を開けたり、環境を変えたりして、繰り返し考えることにより、そこから生まれる果実は、高く盛り上がるほど豊かな物になる」ということです。
私は、「重考」をものさし主義で思考するようにしています。そのときに、その最上位概念として「人間性」という「ものさし」を当てるようにしています。この繰り返しが、「心で経営」に通じるのです。
「自己啓発」、「自己研鑽」というのは、一朝一夕にしては成せません。時間がかかるという前提で、自分のテーマを持ちましょう。
その手法としては、ビジネスパーソン・ドックとかクリティカル・シンキング法などがありますので、それを体得することも必要ですね。