見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

市民活動へ税金を当てることの懸念

2006-10-03 00:10:41 | 政治・社会
非営利組織が行政のできない公共サービスの隙間を埋めるという解釈がありますが、行政に長くいた理事者の発言には、驚かされることが多々あります。

市民活動団体が提案してきた事業に対し、市民審査員の審査を経て助成金/補助金を出すという施策は、最近多くの自治体で見られるようになりました。

今日、そうした事業企画を提出した職員に対して、「意地悪な質問だが」と前置きして理事者の一人が言いました。
「市民活動に補助金を出すとなると、行政内部で必要としなかった活動まで公共サービスだと認めることになり、税金を使わなければならない事業がどんどん広がっていくということになりはしないかな。」と。

うーん、言われてみれば何となく腑に落ちる理論立てです。
つまり、市民活動団体が自前でやっている事業にあえて税金を投入する必要はなかろう。行政が気づかなかった(=必要と考えなかった?)ことに税を用いると、そういう要求がどんどん拡大し、税金がいくらあっても足りない。
というような意味でしょうか。

恐らく、「私たちが持っている財布の中身の使い方は、私たちが決める権利と義務をもっている」という確信の下にある論理だと思われますが、なるほど、公共サービスの実施の有無を決めるのは自分たち以外にいないと考えれば、確かにその通りかもしれません。

昨夜は、非営利活動団体の力量をもっと高め、行政からの委託事業の受け皿として相応しい力をつけさせたい、という非営利組織応援派の研究者たちと夕食を共にしました。彼らは非営利組織が行政に依存しきって弱体化している現状を嘆き、打開したいと力を入れて論じました。
研究者たちのその意識と動きを、今の行政は諸手を上げて歓迎するでしょう。


しかし、この国の行政優位性は、長い長い歴史によって築かれてきたということを改めて痛感し、また深いため息が出てしまうのでした。



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