見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

医療の収益をめぐる微妙な問題

2007-02-14 23:07:58 | 政治・社会
赤字に悩む自治体経営の施設は少なくない。
顧客意識の欠如や、マネジメント能力の不足を指摘されるサービス分野の施設については「まったくその通り」と頭を下げるしかない。が、病院の経営には、やや異なる趣の課題が内在している。

多くの自治体は、年々増す医療保険の費用負担に頭を抱えている。医者にかかる市民が増えると、自治体の支出も増えるしくみだ。

高齢者がサロン代わりに病院へ通う、必要以上の薬が処方されている、という話が聞こえるたびに、「医者は患者に適切な処方をしているのか」「もっと高齢者の健康づくりを」などの疑問は出るが、確実な対策はまだ見えない。

一方で、患者数や薬剤処方は病院の「経営」を左右する。

我が自治体も合併によりいくつかの医療機関を抱えるようになった。病院収支が報告される。
「新任の先生は大変評判がよく、地域の人たちに信頼されています」という言葉と共に、昨年より収入が減っている状況が報告された。患者数も減っている。
「毎日通っていた高齢者が、週に数回で良いと言われ喜んでいます」
「薬の処方を必要最小限に吟味されているようです」
「そういえば、今はジェネリック医薬品もあるようですね」
「赤ひげ先生、ですかねえ(^^)」
と、場は一時和んだが、再度収支状況をじっくり見て沈黙。
「それでも、赤字はねえ」
「確かに」
「収支を考慮して・・・いうことでしょうか」
「うーん・・・」

医療機関の診療報酬が減ると、公費負担も減る。が、公設医療機関が赤字になると、補填のために公費負担が増える。そもそも過疎地の医療機関は順風な経営が可能なのか、適切な治療方針を堅持すれば赤字になるのか、行政が優先すべきもの、見据えるものは・・・
病院を経営する自治体は、医療制度の根源的課題と大きな矛盾にぶつかる。


↓「経営ブログ」には町医者院長が医院経営の日常を包み隠さず綴る日記も
ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへ
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 公務員のプロ意識 | トップ | 個人情報と地域コミュニティ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんわ (八方)
2007-02-20 22:08:07
教育も、医療もチケット制にすれば良いと思います。
税や保険ではなく、チケット。
そうすれば、横の競争が可能になります。
返信する
教育のバウチャー制 (ワイン)
2007-02-24 00:46:05
10年ほど前にニュージーランドの公立学校を訪問したとき、バウチャー制度を知り、感動しました。海外からの留学生をホームステイで招致して「国際理解を推進する校風」を売りにしている学校で、プロモーション担当職員も配置していました。
でも、今、日本の一部学校選択性では、新しい課題に気づきました。今まで「私たちの地域の学校」と考えていた地域の人たちの意識が遠ざかっているという変化です。「地域の学校」で繋がっていた部分が切れていく不安を、どう解消するかが次の課題といえます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・社会」カテゴリの最新記事