見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

サッカー国内戦、試合スタートは22時

2007-10-10 01:48:29 | スペイン
日本では、連日BSでスペインのサッカー試合が放映されているという。チケットが簡単に手に入るというので、スペインの国内リーグを観戦することにした。

日本では縁のないスポーツ観戦だが、「白熱に満ちる」というスペインサッカーの臨場感に触れたくなった。興味があるのは試合より、観客の方だ。

日本のことを知らないので、スポーツ観戦について比較することはできない。が、スペインでは、チケットを①ネット②チケットショップ③試合競技場④その他で手に入ると聞いた。ネットで調べると、幸運にも、地元FCバルセロナの試合がちょうど明日あることがわかった。日本では、ブラジルの有能なサッカー選手が所属するチームということで有名らしい。そして、プログラムに記載された試合開始時刻を見て驚いた。「22:00」(!)
何かの間違いではないだろうか。それともプロスポーツの試合は、そのくらいの遅い時間にプレイされるものなのだろうか。日本の野球中継のTV放映時間を思い出しながら、「通常の設定で、試合が終われば真夜中なんということはあるのだろうか」と疑問は募る。

学生寮ホステルのスタッフに聞くと「間違いない。この時間スタートの試合は珍しくないけど、どうして?」と反対に質問された。うーん・・・。明日の試合なので、競技場のチケット売り場で買うのが一番だと彼に言われる。ホステルから地下鉄を乗り継いで20分ほどの市内に競技場はある。場所を確認するにもちょうどいい。競技場のチケット販売所へ行くことにした。
<競技場外のチケット売り場>

地下鉄駅から外に出て、5分ほどで大きなスタジアムに着いた。チケット販売の小さな窓口のどこに並べばいいのか思案しているところで、青いポロシャツのさわやかな笑顔の男性が流暢な英語で話しかけてきた。
「明日のFCバルセロナの試合なら、私のチケットを買いませんか、安くします」
こういう人をダフ屋というのだろうか。手に複数のチケットを持っている。値段を聞いてみるとどの席も半額に近い。どうして売り場の前で半額のチケットを売るのだろう。どうしてそんなに安いのだろう。率直に聞いてみた。
「様々なルートや事情で大量に買った人たちが、結局売りさばけなかったんです。試合はもう明日なので、この価格です」と、彼は率直に答えた。
数種類の席のどこが一番いいのかと聞くと、「好みです。近くで選手の表情を確認したいという人もいれば、遠くから全体をしっかり見たいという人、ゴール裏からひいきのチームのキックを見たいという人も。でも、私が今もっている中で一番のお勧めは・・・」と言いながら、彼は2番目に高いエリアのチケットを選び出した。「これは両サイドもはっきり見える位置です」と。
なるほど。チケットを手にとって見るが本物らしい手触り。何の確信もないのだが、値段の安さと誠実そうな彼の笑顔にひかれ、予定より安い支出で予定よりいいエリアのチケットを買うことになった。
<ダフ屋は当たり前の風景?>

試合は、本当に22:00にスタートした。どうしてこれほど遅いのかは、後にスペイン人の生活時間を知ると納得できるのだが・・・。
30分前に会場に入ったときは、まだ観客席の多くが空いており、FCバルセロナのスター「ロナウジーニョ」が怪我で欠場しているからだろうと思っていたのだが、試合開始直前には、会場はほぼ満席に近い熱気に包まれた。FCバルセロナのユニフォームを来た観客も大勢いる。
観客はほとんどが本拠地バルセロナ市民、FCバルセロナの応援団である。
なので、試合運びでも相手チームは気の毒なほどのはかない応援。
相手チームの反則時には、会場中がブーイングに満ち、FCバルセロナの見事なドリブルには会場中が拍手と声援で一杯になった。
初ゴールはメッシーという選手。スポーツに疎い私でも、ゴールしたとたんに観客がみんな立ち上がり、礼拝のように両手を上下に仰ぎ「メェェッシィィー! メェェッシィィー!」とコートに向かって拝むシーンに出会えば、選手の名前は覚えられる。感動と声援を表す不思議な観客の動きだ。

不思議といえば、観客のマナーは予想外に整然としていた。ゴールと選手交代の時以外は、立ったりせず、後ろの観客に迷惑をかけることもない。興奮して歓声は出すが、禁止されているアルコールを飲むこともなく、度を越して騒ぐ人もいない。音出しや声援も、試合や観戦の妨害にならないように見えた。
以前、サッカーの試合で騒然となったシーンをいくつか見ていたが、試合終了まで観客席が一帯となって観戦を楽しんでいるかのようだった。

結局、4-1で地元FCバルセロナの楽勝。間近で選手の表情やゴールのシーンを楽しむことができ、スポーツ観戦も時には悪くないかもしれないと思う夜だった。

試合終了後、一斉に地下鉄の駅に向かって走る観客集団の一人になった。終電時刻がわからないまま、スタジアムから500メートルほどの歩道をばたばたと走っていく集団の姿は可笑しい。息を切らしながら地下鉄に乗り込んだとき、すでに夜中の1時に近かった。












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4 コメント

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バルサとファンタジスタ、メッシ (badboy)
2007-10-22 20:40:07
リオネル・メッシは若干20歳のアルゼンチン代表FWですが、04,05年と2年連続でFIFA選出の世界最優秀選手に選ばれたブラジル代表のロナウジーニョの存在を脅かすほどの天才です。
幼い頃から背が低く、11歳のときホルモン分泌の異常と診断されたメッシは、治療費を工面する為になんと13歳のときにバルセロナの入団テストを受験し、合格。
合格後は同クラブが治療費を全額負担し、現在も小柄ではありますが、一般的な身長169cmまで成長しています。
その後、メッシはFCバルセロナの最年少得点記録、2006年ドイツワールドカップ予選リーグ対セルビア・モンテネグロ戦ではアルゼンチン代表として、最年少初出場・最年少初アシスト・最年少初得点を成し遂げています。
今シーズンのスタート当時、故障で出場できなかったロナウジーニョの穴を埋めて余りあるほどメッシは活躍している。
FCバルセロナのFWには、ロナウジーニョの他カメルーン代表サミュエル・エトー、フランス代表ティエリ・アンリ、スペイン代表サンティアゴ・エスケロ、ボヤン・クルキッチと粒ぞろいというか世界選抜みたいなメンバーが揃っている。先発で出場するだけで難しそうですよね。
おそらく、メッシはクラブ史上最高の選手として名を残すのではないかと私は期待しています。
それにしても、生でFCバルセロナの試合を見ることが出来たワインさんが羨ましい(^^)
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あまりに詳しい解説 (ワイン)
2007-10-23 05:03:55
badboyさん、ありがとうございます。観たことの価値が深まったような思いです。メッシは、それほど注目されている選手で、彼の試合を見れたことは幸運だったのですね。そうと知っていたら、私も市民と一緒に彼を拝んだかもしれません(^^!)彼は、2得点も入れ、後半残り10分に選手交代で退場しました。退場時にも観客総立ちでメッシには大声援です。試合中は、こうしたバルセロナファンの動きを見ているだけで十二分に臨場感あふれる感動を得ました。
それにしても、badboyさんは、相撲にサッカーに野球にと、スポーツ全般に大変詳しいのですがスポーツ解説員を目指したことがおありでは?。今後、マドリッドにも入る予定があるのですが、マドリッドのFCの試合も機会があれば観る価値はありますか。
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マドリッド(^^) (badboy)
2007-10-23 21:39:25
ヨーロッパはどの国もサッカーが人気ですが、3強はイングランドのプレミアリーグ、イタリアのセリエA、スペインのリーガ・エスパニョーラですよね。
そしてマドリッドと言えば、レアル・マドリッドとアトレティコ・マドリッドの2チーム(日本では圧倒的にレアル・マドリッドが有名ですが)。これにFCバルセロナを加えたのが3大名門クラブと言われているそうです。
(因みにリーガ・エスパニョーラの現在の首位はレアル・マドリッド、FCバルセロナは勝ち点2差の4位、得点王はメッシです。)
レアル・マドリッドは、UEFAチャンピオンズリーグの優勝は9回と最多を誇り、FIFAによる20世紀最強クラブと認められています。
今世紀に入っても、数年前までラウール・ゴンザレス、ジネディーヌ・ジダン、ルイス・フィーゴ、ロナウド、デビッド・ベッカム、マイケル・オーウェンといったスタープレーヤーを擁し、在籍している選手の豪華さはバルセロナを凌ぎ、「銀河系軍団」と呼ばれていたけれど、攻撃陣の凄さに較べDFが見劣りしバランスが良くなかった。
今は攻守のバランスを考えた要員になっていて、派手さはないが強いチームに変身している。しかし、強ければ良いというわけではなくて、「守備的過ぎるなど」と批判が強く、レアル・マドリッドはスペクタクルで攻撃的でなければならないという宿命を抱えているようです。
今のチームにもビックネームは一杯いて、主な選手だけでも、
DF ファビオ・カンナヴァーロ(イタリア代表)
MF アリエン・ロッベン(オランダ代表)
FW ロビーニョ(ブラジル代表)
FW ルート・ファン・ニステルローイ(オランダ代表)
FW ハビエル・サビオラ(アルゼンチン代表)
FW ラウール・ゴンサレス(スペイン代表)
と、超豪華です(^^)
特にファビオ・カンナヴァーロは、06年ワールドカップ・ドイツ大会で優勝したアズーリ(イタリア代表)の中で最も輝いた、世界最高のDFで、06年のバロンドール(欧州年間最優秀選手)を受賞しています。DFとしてはドイツ人のベッケンバウアー、マティアスに続く3人目の受賞です。
バロンドールはMFとかFWのように攻撃的ポジションの選手が受賞するケースが多いことを考えれば、カンナヴァーロが如何に卓越したDFか分かるというものですね。
以上、マドリッドにもお勧めのクラブチームがあるので、機会があれば楽しんでください(^^)
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なるほど (ワイン)
2007-10-25 00:32:10
ますます詳しい情報をありがとうございました。そうなると、観戦チケットの入手も難しそうですね。こちらでは、公園で親子がサッカーボールを相手に遊ぶ姿が目立ちますが、日本ではさしずめキャッチボールというとことでしょうか。一時野球をしのぐと思われた日本のサッカーは、野球ほど支持が大きくなりませんでしたね。どうしてでしょうか。
こちらのサッカーニュースを見る観点が少しできました。ありがとうございます(^^)
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