見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

地縁団体の「会員」の不思議

2006-08-17 21:16:44 | 政治・社会
都市内分権の流れを受け、町内会等の地縁団体と行政との関係については、ますます課題が表面化されていくと思われます。

これまで任意団体として設立・解散も自在に活動していた町内会(町会/自治会)が、公民館などの不動産取得に際して、行政の指導により法人化するケースが増えています。

法人認可には、規約等書類の提出が必要となるので、行政の用意した雛形に沿って既存の規約を改正するなどの作業が求められます。

日本社会の中の町内会の位置づけは、非常に曖昧模糊としており、組織を規約に文字化すると矛盾が見えてきます。組織の構成員である「会員」の定義が曖昧なのです。

地縁組織の加入率低下については、全国的な課題となっていますが、申請されている地縁組織の加入状況の報告数値は、規約に規定される「個人」会員ではなく、「世帯」がメインのようです。

『282世帯816人(住民登録数)のうち、加入は177世帯606人』

さらに、会員に関する規定を見ると、会員が個人であるのか「世帯」なのか混乱する表記です。

『区域に住所を有する個人、または、隣接する住居地での加入希望者はだれでも会員となることができる。持ち家のある者の会費は年額9,000円』

規約上は、「会員=個人・住民」として明記されているのですが、他の条項には、「会員=戸主・世帯主」と解釈せざるを得ない規定がいくつもあります。

例えば、会費を納める会員の定義。
例えば、会長を選出する際の会員の投票権。
世帯単位なのか、世帯にいる全員が権利と義務をもつのか明記された規約はひとつもありません。
「構成員名簿」と書かれて添付されたリストには、各世帯主に続いて配偶者・子どもの名前も記載されていますので、それが「会員名簿」と同義と考えられます。
しかし、名簿に搭載されている子どもが会員として扱われ、様々な権利と義務をもつかどうかについては、規約のどこにも規定されていないのです。

転入者に、この規約をもって組織加入を要請するのにはかなりの無理があります。

町内会(町会/自治会)とは、会員として規定されている個人の集合体ではなく、多くの場合、年長の男性である世帯主(戸主)が集まってできた柵と情で固められた不思議な非営利組織であり、「暗黙の了解」「阿吽の呼吸」が理解できないものにとっては、入っていくことのできない敷居の高い共益組織なのかもしれません。

これまで、行政が都合よく付き合ってきた町内会(自治会/町会)との関係について、いよいよ手をつけなければならない覚悟の時期に来ているのですが。



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1 コメント

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Unknown (パパイヤ)
2006-08-18 13:20:08
ぜひ手をつけていただきたい。行政の側が勇気をもってやるしかないと思います。私の住む地区でも春には評議員選出で名簿に○をせよと回ってきますが、この土地で生まれ育っていない私は誰も知りません。ですから毎年「知らないので選びようがない」とコメントしていますが、翌年からプロフィールや方針が配布される、なんてことはなく同じことが続いています。ただ、これをもって住民の意思を確認したという言い訳にされるのだろうなあ、とは思います。中身を変えずに都市内分権が始まっています。ですから、一住民としては根拠のない強制からいかに逃れる道があるかを探る、という悪循環にならざるを得ないのだと思います。
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